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乱闘のウォーリアーズ(第1話)【漫画原作部門参加】

あらすじ

 国家同士の戦争がなくなり、〈世界連合〉が戦場都市バトル・シティを設立してから、15年。戦場都市では世界中のエリートが自らの戦いの技術を確かめるため、もしくは単に戦闘を楽しむため、賞金のため、日々バトルロイヤルが開催されている。
 最強の戦士ウォリアーを目指す15歳の少年マルジャは、戦闘のプロが集まる戦場都市で、負け続ける毎日を送っていた。闘技場での33戦目、ようやく同年代の対戦相手とあたることになる。それでいて同い年である少年ラパンは、才能はあるが、高い志はなく、確実に勝てる相手と戦い、生活できるだけの金を稼ぐ生活をしていた。そんな二人の感情がぶつかり合い、物語は始まる。

世界観の説明

 舞台は戦場都市バトル・シティ。どこの国にも属さない、孤島にある広大な敷地に作られた。
 科学技術は現代と同じか少し進んでいる。
 戦場都市で戦いを繰り広げる者たちは戦士ウォリアーと呼ばれていて、世界中のあらゆるプロが集まる。言語は都市に入る際に特殊な装置で脳に刻まれるため、コミュニケーションに困ることはない。
 全人類に平等に与えられたものとして、魂獣スピリットアニマルというものがあり、それぞれ1種類の動物の魂獣を宿している。個人にはその動物にちなんだ特殊能力が発現し、戦いのバリエーションを増やす。武器はどんなものでも可。
 都市には飲食店や娯楽施設といった普通の都市と変わらないものもあるが、闘技場が至る所にあり、戦士の階級ランクに応じて対戦相手が制限されたり、賞金が変わったりする。

キャラクター紹介

マルジャ・フルト

性別:男
年齢:15歳
魂獣:猫
容姿:ツンツンはねた後ろ髪、橙色の髪、焦げ茶色の瞳
身長:168cm
体重:56kg

ラパン・イングルビー

性別:男
年齢:15歳
魂獣:兎
容姿:前髪を立てた短い白髪はくはつ、青色の瞳
身長:172cm
体重:62kg

ルナール・シュー・セルヴィス

性別:女
年齢:17歳
魂獣:狐
容姿:切れ長の赤い瞳、長い金髪、ハッとするほど整った顔立ち
身長:160cm
体重:40kg


本編

〇円形闘技場Δデルタの受付 マルジャが受付嬢と対面

自分の階級ランクカードを握り締めるマルジャ
次こそは勝利しようと、受付嬢に今日の戦闘を申し込む

受付嬢「マルジャくん、ちゃんと休んでるの? 毎日ボロボロになっていくのを見せられたら、私としても戦闘許可は出せないよ」
マルジャ「そこをなんとか、お願いします!」

全身傷だらけのマルジャを見て、受付嬢が首を振る
マルジャは頭をこれでもかと下げ、許可してくれるよう懇願する

二人の視線が絡み合い、沈黙が生まれる

受付嬢「……」
マルジャ(なんとしても――僕は――)

マルジャの強い瞳の輝き
美人な受付嬢は彼の頑ななまでに強い決心に屈する

受付嬢「わかった。でも、今日は昨日みたいに無茶しないでね」
マルジャ「はい!」

すぐさま待機室に駆け出そうとするマルジャ
受付嬢は椅子から立ち上がり、慌てて止める

受付嬢「昨日は審判が中断させなかったら右腕を失ってたんだからね! 約束して、絶対に無茶はしない、って」

マルジャはしばらく考え、ふんっとそっぽを向く
それに対して受付嬢は呆れた表情を見せる

受付嬢「すぐそんなして拗ねるんだからぁ」
マルジャ「僕はなんとしてでも、勝たなきゃいけないんです!」

またしても本気の表情で訴えるマルジャ
渋々頷く受付嬢

受付嬢「それじゃあ、いってらっしゃい」
マルジャ「はい!」

待合室に勢いよく駆けていくマルジャの背中を見つめる受付嬢
頬杖をつき、軽い溜め息をこぼす

受付嬢(万が一の時は審判が試合を終わらせるように指示してるけど……どうして、あの子はあんなに必死なのかなぁ)


戦士ウォリアーの待機室 実力者たちが準備中

騎士のような甲冑男が剣を研ぐ
甲冑の隙間からはその危険そうな紫紺の眼光がちらっと見える

甲冑男に近づく何者かの影
漆黒のマントがその身を覆い隠し、不気味なオーラを漂わせる

甲冑男「俺の剣に何か用か?」
漆黒マント「これは警告だ、ジギル」

甲冑男の名がジギルだとわかる
漆黒マントが深くかぶっていたフードを脱ぎ、顔を露にする

ジギル「おっ――お前は……何があった、スラ?」
スラ「上のレベルに挑戦したことで洗礼を受けた、それだけだ」

スラの左目の眼帯がジギルの目に焼きつく
つい数日前に会った際になかった眼帯を見て、瞳に動揺の色が映る

ジギル「相手は誰だ?」
スラ「ルナール・シュー・セルヴィス――〈狐の女剣士〉」

ジギルが甲冑の中で瞠目し、研いでいた剣を地面に落とす
スラは再びフードをかぶり、顔を隠す

スラ「女だから、幼いから、経験が浅いから――そう言って侮っていた自分を呪いたいほどだ」

背中を丸め、亡霊のように静かに去っていくスラ
すっかり様変わりしてしまった知り合いの背中を、震えながら見つめるジギル

ジギル(嘘だろ……俺の次の対戦相手は、まさにその〈狐の女剣士〉だってのに……)


〇円形闘技場Δのバトルフィールド マルジャが対戦対手と対面

広大なフィールドに向かい合って立つ少年二人
客席は満席で、大歓声が上がっている

マルジャ(相手は僕と同年代。パッと見ただけだからまだわからないけど、勝てない相手じゃない!)

実況者のヨネズと解説者のタナカの声がマイクで拡張され、会場中に響き渡る

ヨネズ『さて、今回はなんと、少年同士の対決! イェス! これを待ってたぜ! データによれば、二人とも15歳で、最底辺のFランク! 解説のタナカくーん! どっちに勝ち目がありますかいな?』
タナカ『白髪はくはつの少年ラパン君はこれまで8回戦って6勝2敗と、なかなかの勝率。対するマルジャ君は33回連続敗退で1回も勝利なし――結果はわかりきっております』

会場中に響く実況開設を聞き、冷や汗をかくマルジャ
対するラパンはどこか納得したように頷く

ラパン「名前、マルジャっていうんだ。いいね」
マルジャ「……」

マルジャに話をする余裕はなく、ラパンを倒す方法を考えている
ラパンはそれが面白くないのか、顔をしかめ、マルジャを睨みつける

ラパン「33回連続で負けてるお前が、俺に勝てると思ってんの?」
マルジャ「僕は、勝ちたい」

答えになってない返答に苛立つラパン
腰に隠しているナイフの柄をギュッと握る

ヨネズ『それでは、ラパンVSマルジャ戦、開始!』

会場中に戦慄の空気が立ち込め、二人が勢いよく飛び出す
ラパンは上に、マルジャは前に

真上に高く上がったラパンは、空気を蹴ってマルジャに突撃
予想外の攻撃にマルジャの目が見開かれる

マルジャ(――空気を、蹴った!?)

咄嗟のことで対応できなかったマルジャ
ラパンによる強烈な蹴りが胸に炸裂する

勢いを殺せず、場外ギリギリまで飛ばされるマルジャ
また攻撃の的にならないよう、横に素早く移動する

ラパン「そんな単調な動きじゃ、簡単に当てられるっての」

先読みされていたとでもいうように、確実な一撃がマルジャを襲う
引き抜かれるラパンのナイフ

接近戦となり、ラパンがナイフで斬りかかる
マルジャは歯を食いしばり、3発続けざまに放たれた斬撃をかわす

ラパン(へぇ。戦闘感覚はピカイチなんだ)
マルジャ(速いけど、かわせる!)

ラパン「面白いね。でも、反撃はこれからだろ?」

表情を変えるマルジャ
拳を握り締め、不安定な体勢からパンチを繰り出す

拳から煙が上がり、無防備なラパンに反撃を食らわせる
しかしラパンはまたしても空中を蹴り、軌道修正して着地する

ラパン「これが俺の能力さ。って言っても、大したことないけど。2回までなら、空気をあたかも地面みたいに蹴れる」

ヨネズ『出たー! ラパンの魂能スピリットスキル!  階級ランクカードの魂獣スピリットアニマル情報によれば、彼は兎の魂獣を宿しているそうだ! イェイ!』

歓声が上がり、場内が沸く
戦闘中の二人はお互いに距離を取り、再び警戒し合う

ラパンがすかさずナイフを投擲し、マルジャの頭部を狙う
何本も隠していたナイフが飛び出し、その全てがマルジャに吸い寄せられるように飛ばされる

マルジャ(――いける!)

覚悟を決め、ナイフの1本1本を見切るマルジャ
柔軟性のある動きでナイフを避け、最後の1本を右手で掴む

ヨネズ『予想外の展開! ままままさか、あのナイフを受け止めるなんて誰が予想できた!? これは大盛り上がりだぁぁああ!!』
タナカ『マルジャ君は猫の魂獣スピリットアニマルを宿しております。その柔軟性といい、彼のしなやかさは、猫の持つそれでしょう』

ラパン(あいつ――あれだけ飛び跳ねて俺の攻撃をかわしておきながら、着地の際に一切音がしてない……)

ラパンがニヤッとする

ラパン(まあ、所詮猫か。一瞬警戒したけど、大した奴じゃないみたいだな)


〇円形闘技場Δの観客席 ルーナルがマルジャVSラパン戦を観戦

艶ある金髪を揺らしながら、フィールドに体を傾けるルナール
表情に感情は出ていないが、瞳孔が開いている

ルーナルの視線の先には苦戦するマルジャの姿
マルジャの瞳を見て、ルーナルは何かを感じたように目を細める

ルーナル(あの子……)

観戦に集中するルナールの後ろを、一般客や観戦中の戦士ウォリアーが通り過ぎる
好奇の視線、警戒の視線、畏怖の視線が飛び交う

一般客A「あれ、ルナール・シュー・セルヴィスじゃないか?」
一般客B「べっぴんだなぁー」
一般客A「馬鹿、斬られてぇのか?」

一般客C「〈狐の女剣士〉――あいつには気をつけた方がいい。目が合ったら殺されるぞ」
一般客D「それは言い過ぎだろ」

ルナールがうつむく
落ち込んだように肩をガクッと落とす

ルナール(私、やっぱり怖がられてる?)


〇円形闘技場Δのバトルフィールド マルジャが不利な状況

ヨネズ『おーっとぉぉぉお! ラパンが一方的に攻撃を続ける! これはもう、勝負ありか?』

中距離からあらゆる方向に跳躍し、マルジャに隙を与えないラパン
マルジャの口から血が吹き出る

マルジャは血をだらだらとこぼしながらも、戦意を失っていない
攻撃に対処する術を考えている

ラパン「いい加減、諦めたらどうだ? 別に降参するのも恥ずかしいことじゃないし、むしろ賢いことかもしれないぞ」
マルジャ「それはない!」

余裕のあるラパンとギリギリで戦うマルジャ

観客は試合中止を求めるようにブーイング
ほとんどがラパンの勝利を信じて疑わない

ラパンの脚をオーラが纏う
魂獣スピリットアニマルのオーラがこもった必殺技をマルジャに食らわせる

マルジャ「――グハッ!」

膝をつき、血と汗を洪水のように流すマルジャ
それでも、瞳はまだ反撃のチャンスをうかがっている

マルジャ(相手は速い。それなりにパワーもある。その2つで僕は彼に劣ってる……でも……)

ラパンの攻撃が止む
マルジャがゆっくりと立ち上がり、戦いの構えを取る

まだ戦闘の意志を見せたマルジャに、瞠目するラパン
顔をしかめる

ラパン(こいつ、まだ痛めつけられたいのかよ)

観客のブーイングも同時にピタッと止む
会場中の視線が不屈の精神を持つマルジャに集まる

ラパン「なあ、どうしてそこまでやれるんだ? 33回負けてきたんだろ? ならその記録更新するくらい簡単じゃねーのか?」

ラパンの表情は不快というより純粋な疑問
マルジャの必死さを理解できない、という気持ち

マルジャ「僕は……誰よりも強くなりたい! この戦場都市バトル・シティで1番の、戦士ウォリアーになりたい!」
ラパン「……」

声を張り上げるマルジャ
この言葉を聞いた観客の半数が大笑いし、残りはクスクス笑ったり、馬鹿にしたりする

目の前で聞いているラパンには笑えない
マルジャの瞳に映る遥か高みの輝きを覗いてしまう

観客席のルナールも笑うことなく、ただ少年を見つめる
屈することを知らない茶色の瞳に吸い込まれる

マルジャ「まだ戦える。反撃できる! なら諦める理由なんてない!」
ラパン「……なんで……」
マルジャ「僕は、リオン・ボナパルトのような、絶対王者キング・ウォリアーになるんだ!!」


〇回想1 マルジャ10歳の頃 戦場都市バトル・シティの門

謎の男「今日からここがお前の戦場ホームだ。ゼロから徹底的に鍛えてやる」
マルジャ「……」

屈強な男の前で、ガクガク震える10歳のマルジャ
何が起こっているのか理解できず、困惑と不安にのまれている


〇回想2 マルジャ10歳~15歳 貸し切り闘技場で、仲間と共に英才教育を受ける

戦闘の基礎を教わり、ロペス派と呼ばれる流派の型を叩き込まれる
何度も繰り返し構えの反復練習

同じ施設で生活する同年代の少年少女と戦うマルジャ
有能なマルジャは友人から妬まれ、嫌がらせを受ける

少年A「マルジャ、なにひとりで震えてんだよ」
少年B「おめぇばっか注目浴びてんじゃねーよ!」

友人からの嫌がらせも、マルジャは武力で潰す
たったひとりで5人を相手に勝利したマルジャ
育成施設内での評価が上がる


〇回想3 マルジャ15歳、今から半年前 闘技場での試合

ボロボロの状態でフィールド外に運び出されるマルジャ
25回目の敗北を悔やむ

プロの集まる現実の恐ろしさを知ったマルジャ
ろくに努力もせず、試合で負け続ける日々を過ごす

マルジャ(上には上がいる……わかってたけど……それが、現実)

現実を見たことにより、諦めがついたマルジャ
戦場都市バトル・シティを出ようと決心する


〇回想4 マルジャ15歳、1週間前 闘技場からの帰路

大雨の中、暗い裏路地をひとりで歩くマルジャ
うつむいて歩いていると、大きな影にぶつかる

デス「……」
キル「このガキ、どうするよ?」

闇に覆われた二人の影に怯えるマルジャ
殺意のこもった視線を浴びる

デス「殺す」
キル「俺の相棒は容赦ないってことよ、ガキ」

乱暴にマルジャの首をつかみ、持ち上げるデス
その姿はマルジャには見えない

自分の力ではどうもできないと悟り、死を覚悟する
マルジャは目をつぶり、神に祈る

リオン「少年を放せ」

どこかから聞こえる太い声
デスとキルの動きが止まり、マルジャを放す

圧倒的な力の差による重圧を、デスとキルは感じる
本能的な実力の差に、マルジャも言葉を失う

デス「何者だ?」
キル「声聞けばわかるってことよ。こりゃヤバい。リーダーに怒られる」

動けない三人の前に現れるリオン・ボナパルト
戦場都市最強の存在に、鉢合わせてしまう

威圧感に負け、闇の中に消えるデスとキル
マルジャは地面に尻もちをついて呆然としている

荒れていた空が明るくなり、日の光が差し込む
はっきりとリオンの姿が見えるようになる

リオン「立て」

なかなか足に力が入らず、立ち上がることができないマルジャ
ただその瞳だけは、太陽の光をこれでもかと反射して輝いている

それを見たリオンは頷き、マルジャに背を向ける
筋肉質で大きな背中

リオン「気をつけろ。この辺りは殺し好きの狩猟者ハンターも多い」
マルジャ「あのっ――」

去ろうとする背中に、勇気を振り絞って声をかけるマルジャ
リオンは振り返らず、背中で聞く

マルジャ「どうすれば、あなたのように強くなれますか?」

僅かな沈黙
最後に少しだけ振り返って、リオンが告げる

リオン「自分より強い奴と戦え。そんな奴がいなくなったら、もうお前は最強だということだ」


〇闘技場Δのバトルフィールド 一気にマルジャの優勢へ

決意を口にしたマルジャ
目標から力を得て、攻撃の威力が増す

ラパン(どうしてこんな……強くなりやがった!?)
マルジャ(おぉぉぉおおおお!)

――マルジャの特殊魂能スピリット・スキル、《獣化》――
――逆境に立たされた時、一時的に攻撃力が倍増する。この魂能スキルは強さを渇望する対象にのみ発現する。ただし、《獣化》の際の防御力は著しく低下し、判断能力も落ちる。時間制限タイムリミットの目安は1分――

マルジャの拳がラパンの頬に的中する
その一撃でラパンは気を失い、マルジャの勝利が確定する

観客によるスタンディングオベーション
予想外の逆転勝利に、マルジャに賭けていた連中が雄叫びを上げる

ヨネズ『なななんとぉぉお! マルジャの大逆転勝利だぁぁぁあ!』


〇闘技場Δの上空 マルジャ勝利の直後

鷲が上空を飛び交い、興奮した様子で鳴く
何かの予感を与える


〇闘技場Δのバトルフィールド ジギルVSルーナル戦

ヨネズ『ルナール勝利! まさに瞬殺だぁぁあああ!』

剣を鞘に収めたルナールの後ろ姿
完全武装のスラは戦意喪失状態で地面に転がっている

ルナール(あの子……まだ闘技場Δここにいるかな……?)


〇闘技場Δの医務室 ある程度回復したラパンとマルジャが対面

天井を見つめ、ボーっとしているラパン
まだズキズキ痛む頬を撫でる

マルジャ「大丈夫?」
ラパン「自分で殴っておいて、よく言えるな」

ラパンはマルジャの言葉を笑い飛ばす
元気よくベッドから飛び上がり、起立した状態で向かい合う

罵倒されることを覚悟していたマルジャの気が抜ける
首を傾げるマルジャ

ラパンが自分の右手をマルジャに差し出す

ラパン「ありがとな」
マルジャ「えっ? 僕、何もしてないけど――」
ラパン「俺、実は結構感謝してるんだよな」


〇ラパンの心の声

(諦めてたんだよなぁ)

(ずっと、心のどこかで)

(勝てる相手とだけ戦って、わくわくした試合なんてなかった。なのにこいつは、俺に大切なことを思い出させてくれたんだ)

(――挑戦して上を目指すことの、楽しさを!)


〇闘技場Δの医務室 続き

マルジャとラパンが強い握手を交わす

ラパン「せっかくだからちゃんと自己紹介させてくれ。俺はラパン。15歳だ。よろしくな、マルジャ」
マルジャ「うん!」

戦闘時と変わらず輝き続けるマルジャの瞳
ラパンはそれを見て、自分も本気で上を目指すことを決意する


戦場都市バトル・シティの北西 ヴィーナス会の本部

玉座に座る会長に対し、正面から話を持ちかけるルナール
表情に緊張もなければ、油断も隙もない

ルナール「会長、ヴィーナス会の新人候補を見つけました」
会長「ふむふむ」

興味なさそうに答える会長
その姿は影に隠れて見えない

会長「ちなみに、その新人の年齢は?」
ルナール「15歳の少年です」
会長「おー! 今すぐにでもその少年を連れてくるのだ!」

玉座から立ち上がり、ルナールの眼前に出る会長
その正体は、小さな黒髪少女ロリである

会長「他の派閥に奪われないうちに、その初々しい少年ショタを仲間にするぞぉぉぉおおお!」


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