乱闘のウォーリアーズ(第2話)【漫画原作部門参加】
キャラクター紹介(その2)
アレント・ホール
性別:男
年齢:22歳
魂獣:鷲
容姿:銀髪オールバック、弓なりの碧眼、細身
身長:177cm
体重:70kg
ロルフ・グレイトス
性別:男
年齢:29歳
魂獣:狼
容姿:黄金色のウルフヘア、細い黒目、ツンと出た上唇
身長:164cm
体重:58kg
ラッテン・ヴァルシュタイン
性別:女
年齢:不明
魂獣:ラーテル
容姿:黒髪ボブ、紅色の丸い瞳、ぷにぷにの頬
身長:138cm
体重:35kg
本編
〇戦場都市の南西 バード会の本部
複数の鷹が上空から降りてくる
路地裏の目立たない建物の中に入っていく
建物の中は薄暗く、静か
ひとりの男の周囲に鷹が集まっている
アレント「よくわかった」
鷹「(パクパク)」
鷹をじっと見つめ、僅かに笑みを浮かべるアレント
それを見た会員のひとりが怪訝な顔をする
ファルコー「会長に許可は取ったのか?」
アレント「いいや」
ファルコー「勝手な真似をするな。お前のせいで連携が乱れるかもしれん」
アレント「俺のことなど気にするだけ無駄だ」
ファルコーの方をまともに見ず、上の空で答えるアレント
いつものことだと言うように、諦めた様子で首を振るファルコー
アレント「使えそうな鴨を見つけた」
ファルコー「つまり、そいつの魂獣は鳥だということか?」
アレント「残念だが、猫だ」
とっさに磨かれた剣を抜くファルコー
剣先が喉と1ミリの距離にあるというのに、アレントは動じない
冷たくクールな瞳でファルコーを見つめる
ファルコーがゆっくりと剣を下ろす
ファルコー「バード会には鳥系の魂獣を宿す者しか入会できない。それは絶対の掟だ」
アレント「くだらない掟だ。そんなものに縛られていては、いずれ他の派閥に滅ぼされる」
本部にいる残り13名の会員が殺気を放つ
アレントの表情に動揺は見えない
ファルコー「ルールはルールだ。会長がそう決めたのなら、その配下であるお前も従え」
アレント「会長の配下になった覚えはない」
ファルコー「黙れ! これ以上何か言えば斬る!」
瞑目し、口を閉じるアレント
鷹が1匹残らず外に飛び立つ
全員に背を向けたアレントは、トン、トン、と足音を鳴らして建物を出ていく
ファルコー(魂獣が猫だと? そんな弱者を入会させてどうする?)
〇闘技場Δの受付 マルジャと受付嬢の会話
傷だらけのマルジャ
血を流しながらも、清々しい表情を見せる
マルジャ「僕、今回初めて勝てました!」
受付嬢「凄いね、マルジャくんは」
マルジャが純粋な笑顔で勝利を喜ぶ
心配しつつも、優しい微笑みを向ける受付嬢
受付嬢「その怪我、治療してもらわないの?」
マルジャ「はい! これぐらい、すぐ治ります!」
受付嬢「んー、でも、やっぱり念のため――」
マルジャは受付嬢の言葉を聞いていない
受付スペースに出てきた少年に意識が向く
マルジャ「ラパン!!」
すっかり元気なラパンにマルジャが近づく
ラパンも嬉しそうに笑顔を見せる
ラパン「医務室まで来たのにその傷治してないのか?」
マルジャ「勝手に治るからいいんだ」
二人の様子を見て、受付嬢がふっと微笑む
いい友達ができたみたいね、と笑顔で見守る
〇闘技場αの観客席 冷静に観戦している者
観客の盛り上がりが最高潮に達する
ロルフはひとり、立見席で黙って眺めている
ポケットに手を入れ、仁王立ちするロルフ
戦闘中の戦士が起こした魔術の風で、金色の前髪が揺れる
アレント「傍観か?」
ロルフ「なんとなく立ち寄ってみただけさ。試合も終わったし、少しかっこつけるくらいいいだろう?」
腰に2本の拳銃を装備したアレント
後ろから声をかける
ロルフが振り返り、肩をすくめる
二人の間に緊迫した様子は一切ない
ロルフ「それより、オレは嬉しいよ。まさか君の方から話しかけてくる日が来るなんてね。アレントって、意外とツンデレ?」
アレント「殺すぞ」
軽くロルフを睨むアレント
すぐに元の冷静な表情に戻る
ロルフが急に真剣な表情を作り、緊張感が生まれる
小さく口を開け、ロルフが発言する
ロルフ「で、要件は?」
アレント「力を借りたい」
ロルフ「オレの力を?」
アレント「当然だ」
観客席の通路をゆっくりと歩く二人
気配が消えているため、周囲の観客には気づかれない
アレント「バード会の会長を殺したい。二人で殺れば容易なことだ」
ロルフ「なかなか大胆なことを言ってくるね。毎日虐められてるとか?」
アレント「くだらない規則に縛られている」
ロルフ「というと?」
すっかり空気が緩む
ロルフは背伸びをしながら気楽に歩く
アレント「実はある新人が気に入った。そいつを会員にしようとしたが――」
ロルフ「鳥ではないから断られた、って?」
アレント「(実際は会長ではなくファルコーだが――)そんなところだ」
ロルフがふんと鼻で笑う
ロルフ「鳥会だから当然のことだろ、それは」
アレント「このままではこの派閥も滅ぼされる。今の時代、派閥の勢力が最も重要視されていることがわからないのか?」
ロルフ「オレにはわからないね。知ってるくせに」
アレントが溜め息を漏らす
確かに、と呆れた様子で頷く
アレント「貴様は例外だ」
ロルフ「無所属でいる方が楽のような気がするがね」
――ロルフ・グレイトス、この戦場都市で多くの戦士が同盟を結び、派閥を結成する中、たったひとり、〈孤高の戦士〉としてその勢力を拡大する存在――
アレント「しかし……あのリオンの次に強いと言われる貴様なら、バード会の会長など――」
ロルフ「リオンの次、か。あんまり好きではないな、それ」
アレント「事実を言っているだけだ。貴様に対抗できるのはリオン・ボナパルトしかいない」
頭の中に思い浮かぶ戦場都市最強の存在
獅子を彷彿とさせる鬣のごとし黄土色の髪
ロルフ「オレは誰かと比べられるのは好きではない。確かにリオンのことは尊敬しているが、彼の次だと思ったことは一度もないね」
話しているうちに闘技場を出る二人
闘技場αの前で足を止める
ロルフ「それに、君、その会長のこと、知らないんだろ?」
アレント「――ッ」
ロルフ「正体を隠している会長はよくいるよ。オレはそういうのが嫌いだから組織には入らない。それに、相手の能力も知らないのに襲いかかることほど、愚かな戦いはない」
言い返せず唇を噛み締めるアレント
ロルフはさらに続ける
ロルフ「ひとつ興味があるのは、君が珍しく目をつけているという新人のことだ。オレも見てみたいね」
アレント「そうか」
ロルフ「ツンデレだなぁ。名前くらい教えてくれよ」
凍った瞳でロルフを見つめるアレント
上空を3羽の鷹が旋回している
アレント「マルジャという少年だ」
〇翌日 闘技場αの前 試合のないマルジャとラパンが一流戦士の集う最高闘技場に赴く
いつもの闘技場Δより遥かに大きな外観に驚く二人
マルジャ(――ここが、トップクラスの戦場!!)
ラパン(いつ見てもすげぇな)
マルジャ「ここって、A級以上の戦士しか戦えないんだよね?」
ラパン「最底辺F級の俺たちじゃ、あと100年かかるな」
ラパンの言葉に、顔を引き締めるマルジャ
マルジャは輝く瞳で、ラパンを見つめる
マルジャ「……1年……」
ラパン「?」
マルジャ「1年以内に、僕はここで戦う」
ラパンは呆れることも、笑い飛ばすこともできない
真剣な表情で頷くラパン
ラパン(そうだよな。マルジャのこういうところが、俺を動かしたのかもな)
溢れ出る興奮と共に、闘技場に入ろうとする二人
そこに背後から高いトーンの声がかけられる
ラッテン「キミたぁぁあああち! ちょっと待てぇぇぇえええい!」
マルジャ&ラパン「ひやぁぁあああ!」
いきなりの大声に飛び上がる少年二人
慌てて振り返り、声の主を確認する
目に映ったのは小さな黒髪ボブの少女
少女は丸い瞳をキラキラと輝かせている
少女の隣にも、金髪の美少女
年の差のある姉妹のような並び
ラッテン「わっちはラッテン! ズバリ言おう! キミたち、わっちが会長を務めるヴィーナス会に入るのだ!!」
ルナール「会長、二人とも困惑しています」
ラッテン「困惑してる少年! 可愛いぃぃいい!」
――ラッテン・ヴァルシュタイン、戦場都市最強派閥の一角であるヴィーナス会の長であり、重度の少年好きという少女。容姿は小さくて可愛い少女だが、実際の年齢は会員であるルナールですら知らないという――
目をハートにするラッテン
マルジャとラパンはさらに困惑する
ルナールもどうすればいいのかわからず、あわあわしている
すると、この混沌に、さらなる厄介者が投入される
ロルフ「あれ? 誰かと思えばラッテン・ヴァルシュタイン! 勧誘活動熱心だねぇ」
ラッテン「――げっ! ロルフ!?」
超実力者ロルフの登場に動揺するラッテン
他の三人もロルフの名を知っているため、瞠目する
マルジャ(やっぱりここには、いろんな実力者たちが集まるんだ。凄いなぁ)
ラパン(気さくな感じだけど、戦ったらヤバいっていう雰囲気がダダ漏れなんだよな)
マルジャを見て、面白そうに笑うロルフ
あの後アレントから聞いていた特徴と一致していて、マルジャだと確信する
ラッテン「ロルフ、キ、キミはわっちの獲物――じゃなくてダイヤの原石に手を出そうっていうのか!?」
ロルフ「被害妄想が激しいのではないかな、ラッテン? オレはたまたま君たちを見かけただけさ」
ラッテン(むー。ロルフに限ってそんなことない! どうしてなのだ!? どうしてこう、少年を勧誘する時は決まって邪魔が入るんだぁぁああああああ!!)
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