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サンライズ乗車体験記

寝台特急サンライズ出雲に乗った。
香川県の旅行が目的ではあるが、寝台特急に乗る経験をしてみたいということもあって、チケットが取れたら旅行計画を立てる形だった。

乗車するために色々情報を調べたりしたので、それをまとめておきたかった…のがこの記事である。


■サンライズとは

東京から中四国の区間を走る寝台特急の通称。
上り下り共に、22時頃に発車して翌朝7時頃に終着駅に到着。これが一日一便運行している。

サンライズには瀬戸・出雲の2種類が存在していて、東京駅からの下りの場合は岡山駅で前後の車両切り離しを行って分岐。それぞれの終着駅は瀬戸が香川県高松駅で出雲は島根県出雲市駅となる(東京駅に向かう上りは岡山駅で合流して連結する)。

区間途中の駅での乗車/降車も可能だが、深夜時間に到着するような駅は通過になる。例えば東京発の場合は、1時に浜松駅に停車したら次の停車は5時半の姫路駅という具合。

■サンライズの予約

予約方法は大きく2種類。
毎日午前10時に1ヶ月後の便の予約が可能になる。

・みどりの窓口(今も存在する?
・e5489でのネット予約

●みどりの窓口
いわゆる「10時打ち」と呼ばれるもので、駅員さんに事前に条件を伝えておいて、10時になった瞬間に駅員さんにチケットを押さえてもらうものである。駅員さんが独自UIから手続きをするので、個人のネット予約より早く完了できる可能性が高い。
が、ネット予約が存在しない時代からの手法であり、最近はみどりの窓口を持たなかったり10時打ち非対応な駅も増えているという。なので、まずはどこの駅でできるか調べる必要がある。

●e5489でのネット予約
JR西日本おでかけネットのサイトからの予約。
10時になった瞬間に「日付・発着駅を指定→座席種・人数の指定→決済手段の指定」という形で画面遷移して最終的な購入に至る。
座席は座敷と個室5種から種類を選ぶことになるが、個室は1分もしないうちに完売してしまう。座敷で特に平日なら余裕はあるかもしれない(実際乗車した際に満席というわけではなさそうだった
決済手段はあらかじめ登録しておいた方が良い。一刻を争う場面でクレジットの番号などを入力している暇はないからである。

・・・
自分の場合は、シングルツインの個室狙いでまず土日で何度かチャレンジするもあまりに難易度が高かったので「三連休明けの平日ど真ん中」に狙いを変更した。そして、2回目くらいのチャレンジで予約することができた(因みにサンライズツインなど更に激戦の個室個室はそれでも取れなさそうではあった)
ここはテクニックなどあるかもしれないが、それを大っぴらに開示する人は当然いないので、最初はとにかく数打つしかないか。

■サンライズの座席タイプ


全部で6種類ある。

●一人で乗るときの強い順(たぶん
・個室:A寝台シングルデラックス
・個室:B寝台サンライズツイン
・個室:B寝台シングルツイン
・個室:B寝台シングル
・個室:B寝台ソロ
・座敷:ノビノビ座席

座敷は最安だが、カーペット床に寝る形。
カーテンは通路側のみで隣の人との空間にカーテンがない(枕横は壁になっているので顔は見えないようにはなっている)

ソロは個室だが空間がカーペット床で埋め尽くされている。シングルはそれに対してベッド・テーブルが存在するが、靴を脱ぐスペースがギリギリあるくらい。

シングルツインはシングル個室が二段ベッドになったような形。
二人での予約も可能だが一人でも予約することはできて、車両上側の車窓がある席を確実に取れるのは縦に広いこのタイプしかない(他の座席は車両の上部/下部両方に展開されていて予約ではそれを指定することができない)

サンライズツインはホテルのツインルームのようにベッドが横並びになった部屋。これも一人で予約することはできる。因みに、ベッドは進行方向と平行に並んでいるので、窓は片方のベッドの横側にある。
二人で乗るならこの方がスペースに余裕があって良さそうだが、4部屋しかないので激戦。

シングルデラックスはテーブル・椅子・洗面台が個室についた一人用の豪華な部屋。
これも6部屋しかないので激戦である。

■乗車時に意識しておきたいこと
   

●ホームへの入線
発車時刻の25分前頃に電車は来るらしい。
ので停車中の電車の写真を撮るなどの余裕はある。

座席は全席指定なので急いで乗車する必要はないが、車内でシャワーチケットを先着で販売しているので利用したい場合は電車の入線前から並んでおく必要がある。
自分が乗った日は平日ど真ん中だが、入線タイミングでシャワーチケット販売車両には20人ほどの行列ができていた。

●乗車前に用意しておくべきもの

まず備わっているもの。
共通:枕、寝間着、ブランケット
個室:スリッパ、コップ、ハンガー、電源×1
(個室はシングルツインの経験則)

踏まえて。
まずは飲食物。車内販売がないので事前に購入しておくべき。ラウンジっぽい空間がある車両一台にだけ自販機はある。
次に歯ブラシ。コップがあるのに歯ブラシがないのは謎だが、必要なら買う。シングルデラックスにはついてるらしい。
最後に余裕があるなら羽織りはあっても良いかもしれない。季節にもよるが、個室の空調はON/OFFのどちらかでしか制御できないので。

■乗ってみた感想

寝台特急の魅力はエンタメ性・ロマン性にあると思っている。車内よ探検や見知った駅をくつろぎながら眺める感じは面白かった。
それと同時に利便性で現実的に気になることも発見した。あまりここについて書いてる人を見たことなかったので、書いてみようと思う。


●スペースは広くはない

通路・個室内ともスペースにゆとりはない。
普段乗る電車と同じサイズの車両に個室を設けているのだから、それはそうだ。通路は譲り合いの気持ちが大事になるので、用事もなくふらふら歩いたり突っ立ってることはしづらく感じた。

因みに、個室は暗証番号で鍵がかかる。
ただ、音や匂いは多少漏れるので、あまり騒がしくしたりはできない(普通はしない)

シングルツインの通路
両サイドに個室がある
ノビノビ座席の通路
進行方向と垂直の向きで寝る形
サンライズツインの通路
手前に見える角を曲がると部屋のドア


●外を眺める楽しみも限られてはいる

夜行列車なので当然ながら外は暗い。
新幹線を思い返してもらうと分かりやすいだろうが、静岡県に入ると山道も増えて車窓からは文字通り一寸先は闇となる。
乗車体験記を書くひとの大半が「やることがなくなってきたし朝に備えて寝ようと思う」となるのはまあこれが理由ではないだろうか。

今回乗ったのは高松行きなので、朝は瀬戸大橋を渡る風景を楽しむことはできる。

23時半の熱海駅
朝、瀬戸大橋を渡る

●電車なので揺れる

日頃の電車や新幹線では気にならないが、いざ寝ようとすると揺れが気になってしまった。

夜行バスで問題なく寝れる人にとっては問題にはならないか。揺れや走行音は流石に高速バスの方がしんどい。
日頃の就寝時間もあるが、結局サンライズでは一睡もできなかった。車を運転する予定があるならリスクになる。

●座敷席に意外と女性がいた

意外と、というのは0だと思っていたのがそうでなかっただけで、割合が多かったわけではない。
単純に効率の良い移動手段として使う人もいることを考えれば、夜行バスみたいなものなのでぼちぼちいてもおかしくはないと納得した。

面白かったのはスーツ姿の男女組がいたこと。
出張の移動手段なのかなと思ったが、それぞれ個室を取るのはハードだし、かと言って座敷を2枠取って隣で寝るのもどうなのって。
(もしかしたら先に座席を確保してから出張の予定を入れたパターンもあるかもだが)

●瀬戸ならフェリー旅行との相性は良い

香川県の観光スポットとして瀬戸内海の島々が挙げられるが、島によってはフェリーの本数が限られているため、早朝から高松港に到着できる寝台特急は旅行計画の点で嬉しい。

例えば、今回自分は豊島(てしま)に行ったが、豊島行きのフェリーは9時,11時前を逃すと次は16時台になってしまう。
東京から高松への移動手段を飛行機にした場合は、8時半に着く最速の飛行機でようやく11時前のフェリーが検討できるくらいだ(空港から港まではタクシーで約30分で電車やバスならそれ以上かかる)

サンライズなら朝7時半には高松駅(≒高松港)にいることができるので、ホテルに荷物を預けたり朝ごはんを食べる余裕すらあり滞在時間をフルに活用できる。
ので島を往く観光がしたい場合はサンライズの利用価値は大きいだろう。

因みに、出雲市は旅行したことがあるが、市内を旅行するだけなら飛行機での移動でも十分だった。なので、サンライズ出雲もフェリー利用に活用できるかが気になるところか。
隠岐諸島に行くには七類港に9時前にいる必要があるが、これは松江市なので出雲市駅からタクシーなどでスピーディーに移動できればチャンスはありそうだ。

●その他

・岡山駅での連結/切り離しはその瞬間を一目見ようとたくさんの人が集まる、作業が完了したらすぐ出発するので、切り離しの場合は乗り込みの間違いがないようにしたい
・ラウンジ席なるものが存在するが、2席×4なので誰か先に座っている隣に座りにくいことを考えると実質4席しかない、岡山駅に着く30分前に訪れてみたが4区間とも誰か座っていて座れなかった
・トイレは各車両に二つずつ存在しているので、それほど苦なく利用できる

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