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しまわれてゆく
家からほど近いところにあるスーパーが、まもなく店じまいを迎える。
病院と中学校に囲まれた立地だからか、菓子パンの品揃えはこの町いちばんだった。
だって、ヤマザキの「薄皮シリーズ」を常に全種類、かかさず揃えていたのだ。
ちなみに現在発売中のラインナップはこちら↓
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全部で14種類もある。
通常のスーパーなら、2〜3種類しか置かない。
だから棚一面が薄皮シリーズ全種で埋まっているのを初めて見た時は、夢でも見てるのかと思った。
特に「グルメシリーズ」はまず置いてある店が少なくて、たまに見かけても「たまごパン」だけ。
この店で初めて他の味に出会ったのだった。
さらにすごいのが、別の場所に設置された【島】と呼ばれるワゴンも「薄皮シリーズ」オンリーだった事だ。
ワゴンは売れ筋コーナーとして使用しているらしく「つぶあん」「クリーム」「たまご」の3種類だけが置いてあった。
積み重ねずに平面置きでギッシリ並べられていたのは、薄皮シリーズがとても柔らかいためだろう。
担当者が熱心なファンなのかもしれない。
そう思うくらい、熱い売り場づくりだった。
その他にも他所では見かけない菓子パンがたくさん売られていたり、アイスや駄菓子の種類も豊富で、文具や日用品、肌着類までひと通り置いてあって、まるで大きなコンビニだった。
立地の特色を感じる店づくりに満ちたこのスーパーからは確かな体温が感じられて、私の気に入りスポットだった。
そんなスーパーがしまわれてゆくのを見に行って、写真を撮ってきた。
レジのおばちゃんから奇異な視線を感じた。
そりゃそうだろう、スーパーの中を引きで撮るだけでも珍しいのに、その風景は空っぽだ。
(何を撮ってるんだろう)と思うだろう。
でも、このスーパーの跡に新しい別のスーパーが建ってしまったら、私はここがどんなだったかを思い出せなくなるだろう。
だから、撮っておいた。
新しいスーパーはこの秋にオープン予定だ。
店員さんが変わっていなければ、あの見事な薄皮パンコーナーもそのまま引き継がれているかもしれない。
そんな期待を胸に、半年先を待つ。