大切な涙
娘が泣きながら電話かけてくるなんて、初めてのことだった。
小さい頃から懐いていた叔父に当たる人物=母親(元妻)の弟が亡くなってしまった。
私には、その場へ駆けつけ慰めることも許されない。
こんな時、なんて声をかけてあげたらいいのかな。
生きていれば、こんなこともあるよ……が心情なんだけど、娘はまだ若い。
人の死が受け入れ難いのは、本来の順番が守られなかった時だ。おじいちゃん(泰久)の時も悲しんだけど、順当だったし、準備期間もまぁまぁ長めだった。
私は2人の友人を病気で亡くした時、悲しむというより世界を疑ってしまった。こんな人生があるのかと。
娘も信じられないのだろう、彼は最も身近なお兄ちゃんだった。
近年、お酒に溺れているのを知っていて、よく心配していた。
知っていたのに、何もできなかったと責任を感じているみたい。
でも、それは違うんだよね。うまく伝えられないけど。
私も親友に対し、後半の接し方にだいぶ後悔したけれど、今はすべてを内包して愛しく感じるようになった。
娘に悲しんでほしくない。
でも、悲しみのない人生なんてないよね。
みんな笑顔の裏に涙がある。
そうやって、魅力的な人になっていく。
早く会って、抱きしめたい。