ニコ中の香り
社会人になって3日目である。まだ最初の週で気を張っているからというのもあるだろうが、昨日は疲れに疲れて帰ってきて、まずは3時間ほど寝た。そして22時に起きてご飯食べたり、筋トレしたり、洗濯機を回したり、予習をしたりした後に、23時半にはまた寝た。
だいぶ寝たはずだったが、寝起きは最悪だった。まずは早く研修が終わってくれと思った。
暑苦しいマナー講師の話をウンウン頷きながら熱心に聞き、そのマナーのあまりの多さにまだ見ぬ失敗を夢想して謎に自信喪失するからだ。
やる気満々で自信満々な同期を見たりしていてもちょっとげんなりする。いや、やる気はあってしかるべきなのだが、我々は同期なのだから、もっと気楽に接しようと思う。
などと考えていたら、私の隣の二人の男子はいかにもやる気なさげで僥倖だった。
マナー講師に「効率よくやり過ごそうとしてないよな?」などと釘を刺され、一括りにされていた気だるげな二人だ。
休憩時間も「眠い」「疲れた」「だるい」が会話の始まりにある。
うーん。非常に良い。まさにオアシス。
私は本心からその二人に近づき、タバコに誘った。
同じニコ中の香りがしたからだ。
残念ながら一人は禁煙中だったが、もう一人は完全なニコ中で、二人で一服した。どこにでも我々の仲間はいるものだ。
そうして我々は仲良くなった。やはりタバコを吸っているやつとは気が合うぜ。そして我々を中心に何人かの輪ができた。
同期がいるって嬉しいなと月並みな感想を持った。
辛くてめんどくさくても、こいつらも一緒なんだよな(配属先は違うけど)と思うと、「まあ、やったるかな」と思えるのだった。