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ポスドクを、海外で(6)さぁ、出発準備だ—ビザの話とお金の話

海外ポスドク連載もいよいよ終盤に入りました。今回と次回の連載は、ポスドク申請が無事通り、いよいよ現地に出向く準備をする際のTipsや注意点についての内容になります。

ビザ申請は大仕事


海外への長期渡航の準備をする際、最大の難関とも言えるのがビザ申請かもしれません。筆者は幾度と国を跨いで移動したのですが、いまだにビザが実際に手元に届くまでソワソワドキドキが止まりません。

勝負は下調べから始まっている
日本国籍の方は、短期間の旅行でしたらほとんどの国ではビザ申請が必要ではないので、ビザ申請の流れに慣れない方も多いかもしれません。ですから、事前の下調べや資料準備にしっかり時間をかけるのは重要だと思います。

まずチェックするのが、各国の大使館・外務署から公開されている情報です。日本語版だけではなく、英語版や、もし現地の言葉がわかるなら現地語の情報もチェックすると良いでしょう。わからない点がある場合は、自分で解釈などをせずに、遠慮なく大使館などに問い合わせたほうが安全です。

次に確認するのは、インターネットなどで公開されている、実際にビザ申請を行った人の経験談です。外務署などの条文を読むだけではわからない、より詳細なことや、いろんな細かい注意事項について書かれているものも多いです。ただし、ビザに関する政策は数年単位で変化することも多々ありますので、収集した情報はいつの話なのか、ちゃんと確認しましょう。そしてこれらの「経験談」はあくまでも参考としてとどめておき、オフィシャルな情報を基準にすることを心がけてください。

早めに早めに準備を
ビザ事情は移動先の国によってさまざまですが、長期滞在ビザの申請は概して時間がかかると思った方がいいです。中には、まず現地の大学などから「外国人を招へいすること」を国の外務省に該当する機関に申請し、その許可が下りてから着任するポスドクの方が日本側で申請を始める、という2ステップ申請もあります。ちなみに日本もそのような流れです。

これらのステップは一つ一つ時間がかるものです。また、申請途中で「○○の書類を出してください」などの追加資料を求められるのも珍しくないので、出発予定日の数ヶ月前からプロセスを開始するのが普通だと思ってください。とにかく早めの動きが吉です。

申請が早すぎてビザの有効期限がすぎてしまうのではないかと心配する方もいるかもしれません。しかし、通常は、ビザが下りてから実際に使用されるまで1−2ヶ月は猶予があるはずです(各国の決まりが異なるので、必ずご自身で確認してください)。有効期限がすぎるリスクよりも、ビザ申請が間に合わないリスクの方が大きいと思いますので、うまくバランスを取りながら進めてください。

余談ですが、筆者がオーストラリアに向かうとき、大学側のビザ手続きに関する連絡がなかなか来ないという事件がありました。そもそも時間がかかる申請なのかもしれないと思い、ギリギリまで待ってから問い合わせると、なんと大学の人事担当の引き継ぎミスかなにかで、手続きが進められていなかったのです。その時点で出発予定日まで1ヶ月を切るくらいでしたので、そこからは怒涛のごとく申請作業を進めましたが、結局出発や入職日を遅らせることになりました。あの時のストレスは思い出すだけでもつらいものです。皆さんはぜひ早めに動き、頻繁に大学と連絡を取り合うことを心がけてください。

ビザ申請代行業者を使うべきか?
今では、さまざまなビザ申請を代行してくれる業者が存在しています。

業者の利点は、申請の流れを熟知している人が書類準備などについて教えてくれるので、準備作業が楽になるという点にあります。ただし、書類そのもの(銀行証明・学歴証明・健康診断結果など)は結局自分で記入したり調達したりするしかありませんので、楽になるといっても限度があります。

業者を使うことの欠点と言えるのは、「金銭的コスト」と、「業者の質を個人では判断できないために発生するリスク」です。これらの利点・欠点を踏まえて、業者を使うかどうかをご自身で決めるしかありません。

ちなみに筆者は「使わない派」です。現地に行った後もビザ更新やらなんやらで行政手続きをしなければならないことを考えると、早めに慣れておくのも悪くないと思ったのも一つの理由です。

お金がなければ一寸も進めない


海外に行く際に、もう一つ重要なのが「持っていくお金」です。そのうちお給料をもらえるとはいえ、移動した直後の家賃や生活費などは持参していくしかありません。衣食住行全部込みで、少なくとも2ヶ月分くらいの資金は確保しておきたいところですね。もちろん、安全上の理由や国間の移動で持ち込める現金の制限などを考え、全額現金でも持っていくことはおすすめしません。以下のいくつかの方法に分散して持っていくと良いでしょう。

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