相棒

こんな文章でも書かないといつまでも心がすっきりしないので、自分のためだけに書かせてもらう。

4年間、私の一番近くで一緒に音楽をやってくれた、相棒の話。


最初に会ったのは1年時の新歓コンパ。友達の友達、という認識でしかなかった。あと変わった苗字だなぁって。

その後はサークルの集まりがあるごとに顔を合わせて、若干会話をする、それくらいの関係だった。所謂、普通のサークル同期。


初めてバンドを組んだのが、1年の学祭前。これが人生の転機になったような気がしてならない。初めはパーカスなしのバンドだったようだが、流石にパーカスほしい、となって先輩が私にお声がけくださった。

彼はそこで(案の定)ベースをやっていた。その頃はまだアカペラについてよく知らなかったけど、「この人ベース上手いなぁ」と思った記憶はある。

そしてここで、彼の音楽変態性を初めて知った。こんなに音楽のことを考えて、自他の演奏にこだわりを持って、周囲の人間に音楽的なアドバイスをしていて。これまでまともに音楽をやってこなかった私、こういうタイプの人間に出会ったことがなかったので、ある意味衝撃だった。

このバンドの練習、楽しかったことと同じくらい(何ならそれ以上に)苦しかったことがたくさんあって。同期同士の衝突、先輩との衝突、自分との葛藤、みたいな。練習の度にそれがあったと言っても過言ではないのではなかろうか。

それでも、この日々を乗り越えて学祭のステージに立てたからこそ、先輩方や同期3人との絆が格段に深まったと思っている。特に彼とは、べーパーとして、同期として、友人として、色々な話をした。このバンドがなかったら、今頃彼に対してこういう感情を抱くこともなかっただろう。

6人でほうき星を追いかけた日々は、私にとってかけがえのない思い出になった。


その後はライブの度に一緒にべーパーをやってきた。1年冬ライブで2曲、50Fesで2曲。2年新歓期に3曲、スタバンの助っ人として1曲、夏ライブで3曲、冬ライブで1曲、卒業ライブ(開催はできなかったけど)で1曲。3年はリモートで2曲。4年学祭で3曲、卒業ライブで1曲。合計20曲。

複数回同じ曲をやったこともあったし、これ以外にもどちらかがコーラスでバンド組んだこともあったので、一緒にステージに立った数は30~35回くらいなんじゃないか。数え漏れがあるかもしれないが、それでも20曲もずっと同じパートで音楽作ってきたの、控えめに言って意味が分からないよな。2年の学祭でバンド組んでないことにはびっくりしたし、ちょっと心残りだけど。


本当にたくさん迷惑かけたなぁ、って、今振り返って思った。2年までの私は、パーカスとしてはあまりにも未熟だったから。今でこそいい音出せるようになったし、そこまでテンポが走らなくもなった。昔はそれができていなかったから、彼も私も満足いく音楽が作れなかった気がする。ごめんね。でも一緒にやってくれてありがとう。


2人だけで熱く音楽を語ったことはほぼなかったし、2人で遊んだことも最近までなかったし、お互いの思いを洗いざらい全部喋ったこともなかったと思う。それでも大体言いたいことが分かるの、あまりにも相棒すぎるよね。

元々の性格がかなり似ているのは、1年の頃からお互い分かっていた。それに加えて、べーパーという専門職を貫き通してきた。そりゃ仲良くなるよね、って感じ。同期が私たちに対して言った「熟年夫婦」という言葉、あまりにもしっくり来すぎていて、お互い深く納得してしまった。言わなくても全部伝わるんだもん、すごいよな。


たぶん私は同期の誰よりも彼に対する当たりが強かったと思うし、彼の知らないところで彼をいじったりする回数もかなり多かったと思う。だけどその分、誰よりも彼のことを信頼していたし、誰よりも彼の見ている音楽に寄り添えた自信がある。実際どうかは知らないが。

私の音楽観の形成には、間違いなく彼が一番大きな影響を与えている。だからいつの間にか、私もとんでもなく厄介な音楽変態になってしまったよ。彼の音楽観を鵜呑みにしていた時代も、それに反抗した時代も経て、今は私独自の音楽観ができたような気がするから、本当に感謝している。彼が音楽変態でよかった。


卒業ライブの中で特に「あー、いいなぁ」ってなったのは、ラスサビ「毎日の不安をかき消すほどずるい嘘が」のところ。私が編曲したんだが、みんなが字ハモしてる中、ベーパーは本家に準じて2拍目と4拍目だけ打つことにして、しかし渾身の力で打つことを狙った(汲み取ってくれてありがとう)。これを歌ってる時の「俺/私が隣にいるから大丈夫だよ」感、本当に幸せだった。すごいベーパーって動きも似るって聞くけど、あの時ほぼ同じ動きしてたんじゃないか。

あと、立ち位置隣にしてくれてありがとう。やっぱり安心感が違ったわ。


私のTwitterの下書きに1年以上残ってる「学生生活最後に相棒とベーパーできたら満足だな」という言葉。ちゃんと叶えられたよ、ありがとう。どうかな、私たちが4年間かけて培ってきた信頼と絆と愛に溢れた音楽、みんなに届いたかな。「やっぱりこの2人って本当にすげぇベーパーなんだな」、って少しでも思わせられてたら大成功だね。私たち、実際すごいし!


帰り際、エレベーターが閉まった瞬間涙が溢れて止まらなかった。まさか彼に号泣させられる日が来るとは思いもしなかったけど、それだけ彼の存在が私にとって大きいものだったことを再認識させられた。しばらく会えないなんて信じられないな。明日も練習やるんじゃないか?13時にセンパだった気がする。本当に気がするだけなんだけど。


たぶん私たち、一生ちょくちょく会って音楽やってるような気がする。本当にそれができるかは分からないけど、絶対にここで終わりにだけはしない。みんなもベーパーほしくなったら呼んでおくれよ、それぞれ辺境の地から飛んでいくから。


彼と音楽ができて本当に楽しかったし、本当に幸せだった。彼が私の相棒で本当によかった。こんな気持ちにさせてくれてありがとう。彼も同じ想いでいてくれたらいいなぁ。



なぁ相棒、きっとまたすぐ会えるよね。

だからその日まで、またね。

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