アートの力+キュレーターの想い
アカデミーヒルズと森美術館のコラボ企画「森美術館鑑賞+アフタートーク:『地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング』」を、MAMCメンバーとアカデミーヒルズのライブラリーメンバーの限定20名で、7月13日に開催しました。
前半は「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」の担当キュレーターの一人である熊倉晴子さんに解説をしていただきながら展覧会を鑑賞し、後半は参加者同士が感想などをシェアする交流会という内容でした。
「現代アートは、見ただけでは理解できず難しい」という話をよく聞きます。
表現方法の多様化で、「これがアート作品なの?」という境界線が素人にはわからないことや、「なぜ、作家はこの作品を創ろうとしたのか?」や「この作品に込めたメッセージは?」に至っては、作品を見ただけではなかなか理解できません。
そこで作家や作品の経緯などを知ることで、その作品への理解が深まり、好き・嫌いの感情や感動が湧いてくるのではないでしょうか。
今回のイベントでは、担当キュレーターの熊倉さんに解説していただきながらの鑑賞だったので、ちょっとした疑問をリアルタイムに質問できたり、熊倉さんも参加者の反応を見ながら進めてくださったこともあり、作品に対する納得感(理解度)は非常に高いものでした。
加えて、この作家や作品を選んだ経緯や理由など、キュレーションについてもお話いただけたので、キュレーターの意図や想いを知ることができ、作品という点から展覧会という面へと視野が拡がったと思います。
展覧会鑑賞の後は場所をアカデミーヒルズへ移して、参加者同士で感想や意見交換を行いました。
最初に4名でグループを作って、自己紹介+「一番印象に残った作品 or 熊倉さんの解説で興味をひかれた点」を一人2分程度でシェアしました。
次に、グループを変えて、自己紹介+「身体性や五感を活かしていると感じたエピソード or あなたにとって美術館はどんな存在か」を語り合いました。
そして最後に熊倉さんへの質問が寄せられました。
その解答の中で「この展覧会の準備に2年間かかっていますが、重要なことは作家とのコミュニケーション。信頼関係を築きお互いの想いを合わせることが大切だと思います。そして、鑑賞される方々へ作品の良さを押し付けるのではなく、フラットに情報をお届けすることを心がけています。」という熊倉さんのコメントがとても印象的でした。
現代アートの特徴は作家が現存していることだといわれますが、展覧会もキュレーターと作家の二人三脚で創られていることを知りました。
また、「作品はどのように運ばれてくるのか?」「通常、作品はどこに保管されているのか?」など、展覧会の裏側も知ることができ、貴重な機会でした。
参加された皆さんの感想
キュレーターの解説と参加者同士のトークで充実したイベントだった。新たな発見の多いイベントだった。
キュレーターの熊倉さんの解説には格別なものがあった。作品に対する愛に心が動いた。
現代アートの見方が変わった。
作品・展覧会への理解が深まったので、次回は一人で時間をかけてしっかりと鑑賞したい。
とポジティブな感想をたくさんいただきました。ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。
また、熊倉さんは、美大の学部では制作を学んでいたそうですが、自分が作品を創るよりも作品を紹介するキュレーターの方に関心を抱くようになり、理論を学ばれたそうです。
熊倉さんの解説からは、作品、作家そして展覧会として何を伝え、感じとってもらいたいのか、というキュレーターの想いを感じました。
アートの力については話題になりますが、展覧会全体を俯瞰してみたときには、キュレーターの想いが大きく影響していることを今回のイベントで感じました。
アカデミーヒルズ 熊田ふみ子
#アカデミーヒルズ #森美術館 #ウェルビーイング #地球がまわる音を聴く #アート #キュレーター
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?