誰でも参加できる「カジュアルソーシャルアクション」
「毎年2月4日は“ワールドキャンサーデー”」ということをご存じですか?
世界中の人々ががんのためにできることを考えて行動を起こす日で、世界各地で様々な取組みが行われます。
そしてアカデミーヒルズでは、2月4日に「deleteC 2024 -HOPE-」が開催されました。
deleteC は、誰もががん治療研究を応援できる仕組みをつくり、がん治療研究への寄付と啓発を通じて「がんを治せる病気にする」ことに貢献することを目的に、2019年に設立された特定非営利活動法人です。例えば、Cancer(がん)の頭文字のCがつく、商品・サービス・企業名から「Cを消す(Cをdeleteする)」アクションを通じて、その商品等の売り上げの一部ががん治療研究の寄付につながるという仕組みです。
そして、アカデミーヒルズは、昨年10月に六本木ヒルズライブラリーで開催したブックマルシェの売上を deleteC へ寄付したり、代表理事の小国士朗さんにアカデミーヒルズのイベントへご登壇いただいたりと、様々な繋がりがあります。
そのご縁で、アカデミーヒルズは2021年より「deleteC -HOPE-」の会場協力をしています。そして今年は六本木アカデミーヒルズでの開催となりました。
2月4日の 「deleteC 2024 -HOPE-」 の第1部は、1年間にみんなで集めた想いとお金を「がん治療研究」に寄付する授与式でした。
今年は、東京大学 大学院医学系研究科 衛生学 准教授の加藤洋人先生と、愛知県がんセンター ゲノム医療センター がんゲノム医療室・乳腺科 医長の能澤一樹先生が選ばれました。
お二人の研究の紹介ビデオを是非ご視聴ください。
そして2023年度の選考については、私が企業選考委員の一人として、選考プロセスの一つである「WEB面談」に参加させていただきました。
最初のステップである「書類選考」では、科学的知見を有する医療者選考委員の方々が応募者の書類に目を通され、実現可能性やがん治療への貢献性などの指標をもとに選考されます。
そして書類選考で選ばれた研究について、企業選考委員とdeleteC の選考メンバーで、各先生とWEB面談を行いました。
私たちは医療の専門家ではないので、各先生から“中学生に説明するつもり”で研究についてのプレゼンテーションを最初に行っていただきました。先生方の説明は本当に分かりやすく、研究内容に加えて、その研究に掛ける先生の熱い想いが画面越しに伝わってきました。
「がん治療研究」は、短くても数年、長ければ何十年とかかるものだと思います。その期間は、様々な壁にぶち当たり、それを乗り越え、また次の壁にぶつかってしまうという連続だと思いますが、その壁を乗り越えて前へ進める原動力は先生の熱い想いだと痛感しました。
また一方で、「1年かけて皆さんが集めてくださった想いとお金をお渡しする研究を決めるのだ!」という責任の重大さもひしひしと感じていました。
各先生とのWEB面談が全て終了した後に、「最終決定ミーティング」に臨むための勉強会がありました。それは研究内容についての理解を深め、その研究の意義などをもう一度意見交換する場でした。
この過程において、常に出てきた言葉が「deleteC らしさ」でした。
そこで、私なりに「deleteC らしさ」とは何かを改めて考えてみると、小国さんの言葉「笑いながら革命したっていいじゃない!」が思い浮かびました。それは「あかるく、かるく、やわらかく、 誰もが応援したくなる希望に感じられる」 ということでしょうか。
(詳細は、小国さんの著書を読んでみてください)。
そして、その言葉の先に“カジュアルソーシャルアクション”があるのかなと思いました。
deleteC という「CancerのCを消そう」というアクションは、本当に小さなアクションです。誰でもきっとできることです。
がんを治せる病気にするという難しい課題だからこそ、それを楽しくワクワクしながら進める、楽しみながら笑いながら社会課題に取り組む、そのカジュアルソーシャルアクションが、「deleteC らしさ」なのだと思います。
言い換えると、「難しいこと・大変なこと」を「分かりやすく・シンプル」に変身させて情報を発信する、だから関係人口が広がり、deleteC の発信力に繋がるのだと思いました。
書類選考で選ばれたがんの専門家である先生方に、「ご自身の研究を中学生に話すように説明してください」と依頼するのは、勇気のいることだと思います。
また、先生方もご自身の研究を専門家以外にプレゼンテーションすることは、初めての経験だったのではないでしょうか。
ある先生は、「中学生の子供を相手にリハーサルをしたが、子供が“分かった”と言ってくれた」と面談のときにお話をしてくれました。
そして、WEB面談終了後の受賞された二人の先生への私の印象は以下でした。
加藤先生:「B細胞って何者? それが解明されれば、がんは治せる病気になるぞ!」というワクワク感でした。そしてきっとその暁には、加藤先生はノーベル賞を受賞するに違いない! という私の妄想でした。
能澤先生:私はドラッグ・ラグという言葉を能澤先生のプレゼンテーションで初めて知りましが、それがドラッグ・ロスになるというお話に「ヤバい!!」という焦りとともに、「能澤先生がきっと救ってくれる!!」という期待感を持ちました。
そして、“カジュアルソーシャルアクション”であるdelete C は、楽しみながら参加できるとともに、がんという病気の啓発活動でもあることに意味があります。
「がん」というイメージに捉えられがちなことを楽しみながら知ることができることや、いつもは遠い存在の「がん治療研究」を知ること、そして研究者の方々の熱い想いを感じることができる機会になります。
「がん」という病気を私たちが知ることも、「がんを治せる病気」にする1つのアクションだと思います。
最後に、9月のWEB面談ではオンラインでしかお会いすることができなかった加藤先生と能澤先生に、「deleteC -HOPE-」ではリアルにお会いできて感激でした。
私は企業選考委員を通じて、「がんを治す病気にしたい」という様々な方の熱い想いに触れることができたと思います。
どうもありがとうございました!
アカデミーヒルズ 熊田ふみ子
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