AIと人間の境界線は?-マーケティング研究会-
メンバーズ・コミュニティ「マーケティング研究会」の定例会が11月8日に、「ビッグデータとAI:ビジネス戦略と新時代の働き方」をテーマに開催されました。
最初に主宰者の小磯卓也さんが、AGI(Artificial General Intelligence)について、孫正義氏の講演動画を参照しながら、我々人間に与えるインパクトについて紹介してくれました(下記の動画はニュース番組の中で紹介された動画ですが、実際の講演の動画はこちらです)。
それを受けて、参加者全員による議論のパートへ移りましたが、最初に小磯さんから、下記の図を使って“コミュニティのルール”の説明がありました。
“正しい答え”がないテーマのディスカッションでは、失言という発想はなく全てが貴重な意見になります。そして、否定せず、まずは肯定的に受け入れることが議論を広げるコツです。最後に“みんなが先生、みんなが生徒”という関係が大切になります。
そして議論のテーマと、それをブレイクダウンした話し合うトピックは以下になります。
職場で、どのくらい利用している?
ブレストの“壁打ち”として使っている。
プログラムのコーディングを調べている。エクセルの関数も調べることができるので便利。
データロボットでデータを分析・予測している。
画像を生成して、アイデアを広げている。
等の意見が出ました。
入力方法によって出てくる結果が大きく異なるので工夫が必要という意見もありました。正にプロンプトエンジニアリングです。
言語としては、日本語よりも英語が圧倒的に学習するデータ量が多いので、英語の方が精度が高いという話が出ました。一歩進めて考えると、人間の言語よりもプログラム言語はルールが明確なのでAIとは相性が良いという話も出ました。
一方、個人情報の漏洩等の情報セキュリティの観点で、証券会社や保険会社に勤務している人は会社から“利用禁止”になっている、という発言がありました。
加えて、「自分が入力した情報も学習に使われていることが、頭では理解しているが、気持ち的にモヤモヤする」という声が多く出ました。
生成AIで経営資源が置き換わったことは?
医療分野で働いている人から、「業界全体では『生成AIを使う』という発想が少ないが、症例を調べるために使うケースが増えている」という話がありました。
「判例を調べるために使うと弁護士の生産性が上がるのではないか。究極は自分で自分の弁護ができるようになるのか?」という発言に対して、「情報の正誤を判断する知識が必要ではないか」という意見がありました。
個人事業主のメンバーからは、「アイデア出しなど活用しているが、“置き換わる”までには至っていない」ということです。
「補助的に使うのが良いのではないか」、「自分が知らないことは正誤の判断ができないので、ある程度の知識がある分野で使うのが良いのではないか」などの意見が出ました。
“生産性が上がる”という事例は出てきましたが、“置き換わる”という点では理想と現実にはまだギャップがありそうです。
その中で、東京大学の2023年の学園祭「五月祭」で“AIによる模擬裁判”が実施されたことが話題になりました。下記に、webサイトと、当日の動画サイトを紹介します。結果を知りたい方は是非、チェックしてみてください。
AIによって、変わる・変えるべきことは何か?
小磯さんから「どのようにChatGPTを使っているか」についての紹介がありました。
有料版(月額20ドル)では、2,000文字のカスタム指示が設定できるそうです。そこに自分の価値観や会社のビジョンなどを設定すると、精度が上がるとのことです。
また、自分が尊敬する人の著書を著作権や法律を準拠して、読み込ませた上で対話をすると、精度が上がるそうです。
そこから、メンバーより意見やアイデアが出てきました。
カスタム指示で自分の価値観や情報を読み込ませた「ぼくのAIを買いませんか?」というビジネスができるか?
その発展版としての「偉人AI」、偉人の著書等を読み込ませて、過去の人と対話ができるのか?
その発想から、「芥川龍之介や三島由紀夫のAIを作って新しい小説を書いてもらう?」というアイデアも出てきました。これはビートルズが未公開だった曲をAIを使って新曲として発表しましたが、それに類似したアイデアです。
究極は、「イエス・キリストのAI」というアイデアも出てきました。
このような議論の末に、「人間とAIの境界線」に発展しました。様々なことをAIがしてくれるようになると、人間は何をするのか?
生成AIが話題になり始めてまだ1年にも満たないのに、私たちの生活にこんなにインパクトを与える状態に驚かされつつ、この状況を考えると「AIを無視することはできない。“どのように付き合っていくかを真剣に考えるべきではないか”」という小磯さんの言葉で定例会は締めくくられました。
参加したメンバーが“コミュニティのルール”に則り議論を進めてくれたことで、話題が広がり刺激的な1時間になりました。
アカデミーヒルズ 熊田ふみ子
#アカデミーヒルズ #メンバーズ・コミュニティ #生成AI #AI模擬裁判 #ナウ・アンド・ゼン #生産性
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