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定義を変えてみる

「オフィス」の定義を変えてみる

先日、「目から鱗」の体験をしました。
それは、「オフィスは仕事をする場ではなく、勇気をもらう場なんだ!」という言葉を同僚から聞いたときでした。
最初は、「勇気???」という感じでした。

コロナ禍を経てテレワークが常態化した今、仕事の効率性やワークライフバランスを考慮すると、「会社のオフィスではなく自宅でのテレワークの方が良いのではないか」という議論が起きます。
それは「オフィスは(効率良く)仕事をする場」と定義しているからです。

しかし、AIに代表されるようにテクノロジーの進化で、効率化が求められる業務は人間ではなく機械やAIに置き換わることが想像されます。そのときに人間が行うべきことは、より高度で難度の高いこと(クリエイティブなこと)がメインになってくるでしょう。
それを自宅で一人で遂行するには限界があります。だからこそ、オフィスで仲間と対話・交流し発想を広げることが大切になり、そして仲間から勇気をもらえる、だから「オフィスは勇気をもらう場」になるという展開でした。
このように定義を変えたならば、オフィスに求められる機能やデザインも変わってきます。そして「オフィス vs テレワーク」という二項対立の議論もなくなるのではないでしょうか。
定義を変えることで発想が全く変わってきました。それが「目から鱗」の体験でした。

「本屋」の定義を変えてみる

このように定義を変えることでビジネスモデルが変わった例として本屋があると思います。
「本屋さんは本を買う場」
と定義をしたら、ネットで購入する方が楽で便利という発想になります。正に「リアル店舗 vs ネット」という選択になります。
参考までに経済産業省のサイトによると、全国の書店数は20年間で約6割が減少したそうです。

一方で、シェア型書店(本棚を借りて棚主になって自分の好きや本を並べてそれをもとにお客さんとの交流を楽しむ)は人気があるそうです。

これは、「書店は、本を媒介に交流する場」と定義を変えることで発想が変わったからだと思います。
そのことによって、「リアル店舗 vs ネット」の二項対立の発想がなくなり、「本を売る」から「本棚(スペース)を貸す」というビジネスモデルも変わります。

「アパレルショップ」の定義を変えてみる

前回の記事で、「ファッション・アパレル業界は、原材料調達から製造にいたるプロセスにおいて環境負荷の高い産業で、計画的陳腐化によって購買行動を促す戦略など課題が多い分野」と記しました。

アパレル業界が「服を販売することで売上を上げる」という構造である限り、計画的陳腐化はある意味正しい戦略と言えると思います。
また、販売をするにあたっては書籍ほどではないにしても「リアル店舗 vs ネット」という二項対立の構図になります。
以前、仲間内で雑談をしているときに、「リアル店舗の価値は試着が出来ること」だとすると、通常は店舗の奥に配置されているフィッティングルームの数を増やして前面に出す店舗があってもいいかもしれない!という話題で盛り上がったことを思い出しました。
これは、「リアル店舗は服を販売する場から試着する場」へ定義を変えたらいいのではないかというアイデアです。
しかし、これではまだ「服を販売して売上を上げる」というビジネスモデルは変わっていないので、まだまだアイデアが足りませんね。

アパレル業界がサステナブルな仕組みになるためには、色々なことの定義を変えてみることが必要ではないでしょうか。
前回の記事で、デザイナーの中里唯馬さんを紹介をしましたが、中里さんは服の定義・価値を変えようとしていると思います。
ファッショナブル(カラーやデザイン、素材感の新しさ)という基準から、装う人の記憶や想い出など心のあり方を形として表現できることへの価値、だからその人のための一着を目指しているのではないかと私は捉えています。

このように定義を変えると、発想が拡がると思います。
身近なものから、定義を変えてみてはいかがですか?
目から鱗の発想が飛び出すかもしれません!!

アカデミーヒルズ 熊田ふみ子

#アカデミーヒルズ #シェア型本屋 #働き方


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