不況の原因はお年寄りの社会保障
よく、自民党や旧民主党(立憲民主党)の政治のやり口として、公務員や大学の予算を削ったり、民営化により、政府の支出をカットしたりして、国民に仕事をしている振りをします。
これまで自民党は、公務員の人数や給与の削減、公的事業の民営化を行いましたが、その分を経済対策に充てたり、子供手当を増額したりせず、その浮いたお金をお年寄りの社会保障に注ぎ込んでしまっています。
高齢者の医療費無償化やたいして年金を払っていなかった人々への大胆な年金給付など、何も考えずに、大盤振る舞いを続けた結果、国の借金も1000兆円に到達してしまいました。
自民党は、そのツケを増税という形で、我々現代の国民に払わせようとしているのです。
さらに、現医療保険制度や介護保険制度では、制度を悪用する医療法人や社会福祉法人、派遣会社、暴力団など、抜け道を見つけたズルい人々の元へ、税金や社会保険料が流れ込んでおり、現行の制度の元では、いくら、社会保障費を増やした所で、助かるお年寄りの数が増えるとは限りません。
つまり、いくら社会保障費を増やしても、穴の空いたバケツのように、制度を悪用するズルい人々へお金が流れるだけなのです。
現医療保険及び介護保険制度は、一生懸命働く医療従事者や介護従事者といった真面目な者ほど損をし、楽をしてお金を稼ごうとする不正受給者ほど得をする大きな欠陥のある制度だと言わざる負えません。
さらに、"日本の不況の原因は、自民党が社会保障費の削減から逃げ続けた結果、平成の30年間に渡り、経済成長が止まった"事に他なりません。
それはおそらく、単に選挙でお年寄りの票を失えば、選挙で勝てないという身勝手な理由からでしょう。
1. 経団連は消費税を上げたい訳じゃない
まず、次の画像をご覧ください。
ご覧の通り、社会保険料の企業負担額は、右肩上がりで上がり続けています。
社会保険というのは、主に、「公的医療保険」「公的年金」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5種類があり、「雇用保険」「労災保険」は、企業だけが負担する社会保険になります。
つまり、"消費税を上げなければ、企業の負担する社会保険料がその分増えてしまう"ため、経団連を始め、大企業は消費税を上げるように働きかけているのです。
企業の真意としては、出来るなら、消費税を下げ、国民消費を伸ばし、業績を伸ばしたいのが本音であり、責めるべきは、経団連をはじめとする大企業ではありません。
2. 労働者は常に搾取される
会社の支払わなければならない社会保険料が高い=一人当たりのその会社の従業員が稼ぎださなければならないお金(一人当たりの従業員が会社に入れるお金又は従業員の産み出す利益)は高くなる
という等式が成り立ちます。
どういう事かと言いますと、会社は、ボランティアでやっている訳ではないので、利益を出さなければ、存続出来ません。
つまりは、会社が支払わなければならない社会保険料は、結局は従業員一人一人が、他の会社や個人のお客さんから稼がなければならないのです。
社会保険料には、会社負担分があると言われますが、従業員がその会社負担分を稼がなければ、赤字になってしまうため、結局は、労働者が全額負担していると言っても過言ではありません。
そして、高い社会保険料によって、以下のような3つの弊害が生じます。
1.正社員のサービス残業・長時間労働が蔓延る
2.正社員の分の社会保険料を、非正規労働者が負担する
3.派遣社員、非正規労働者の増加
1.正社員のサービス残業・長時間労働が蔓延る
時間当たりの会社に産み出す利益が高い(一人当たりの利益率の高い)仕事であれば、週5定時で帰れるようなホワイト勤務が出来ますが、逆に、時間当たりの会社に産み出す利益が低い単純労働作業のような仕事の場合、労働時間を増やす事でしか、会社に与える利益を増やす事が出来ません。
という事は、そのような単純労働作業者の場合は、企業の意思がどうであれ、従業員にサービス残業・長時間労働を強いなければ、会社を存続出来ないのです。
2.正社員の分の社会保険料を、非正規労働者が負担する
1.のように、正社員の従業員本人が、自身の社会保険料を払い切れる程の利益を上げられれば良いですが、一人当たりの従業員の稼げる利益よりも社会保険料も含めた経費が大きければ赤字となります。
そうなった場合、社会保険料のかからない非正規労働者を雇い、その非正規労働者が産み出す利益から、その赤字分を補填しなければなりません。
こういうような仕組みで、正社員と業務内容は変わらないのに、待遇は大きく異なるというような非正規労働者が誕生するのです。
3.派遣社員、非正規労働者の増加
そして、企業の負担する社会保険料が増えていけば、当然企業の利益が減り、企業の財政的な余裕は無くなっていきます。
その結果、社会保険料が高すぎるという理由から、非正規労働者や簡単に解雇できる派遣労働者しか雇われず、派遣社員、非正規労働者の数が大幅に増加していくという結果を招いています。
社会保険料は消費税等各種税金よりも遥かに害悪である
さらに、税金の場合は、法改正という議員の関与を経なければ、増税する事は出来ません。
そして、徴税と言う、国民の財産に関わる重要な事項について、民主的に選ばれた国会議員が審査をするというのは、現代国家において、とても重要な事です。
ですが、実質的な税金である社会保険料に関しては、法改正を経る事無く、"厚生労働省の一存で、自由に変更する事が出来ます"。
一般的に、社会保険料と言うのは、所得税に比しても、サラリーマンに額面上でも、かなりの負担を課しています。
そんな社会保険料が、税金よりも遥かに簡単なプロセスで、上げられてしまってる現状を許して良いのでしょうか?
3. 若者・企業にお金が無いから経済が伸びない
次の画像をご覧ください。
これは、資産が1億円以上ある人の年齢層を表す棒グラフです。
一般に、日本の大半の富は、60歳以上の高齢者に偏っていると言われています。
このグラフを要約すると、日本の富の8割は、60代以上が持っているという事になります。
一般に、消費税が上がると、貧困者の生活が厳しくなると考えられていますが、企業や富裕層がお金を使う事を抑制する効果の方が大きいのです。
企業や富裕層は、一回の売買に、数万~数億単位のお金を費やすので、消費税10%分もそれに伴い増加するためです。
さらに、高齢者は、お金を浪費したがりません。
高い消費税と高齢者への富の偏りの相乗効果により、経済は停滞しています。
経済が停滞すれば、お金を持っていない若年層へ入るお金はみるみる減っていき、若年層は子供を持たなくなります。
こうして、少子高齢化が加速するのです。
何故、国の大半の富を持っている高齢者に、貧困で苦しむ若者や企業が、社会保険料という名目で搾取され、社会保障と言う名のお金の支給が行われているでしょうか?
これが、日本の税金や社会保障制度は、世界各国に比べ、富の分配機能が無い所か、富の偏りを助長させていると言われる所以です。
4. 解決策はあるのか?
2025年は、社会保障の節目の年と言われています。
何故なら、人口ピラミッドの最も厚い団塊世代が、後期高齢者(75歳以上)へと突入するからです。
その場合、社会保障費は、140兆円に到達すると考えられています。
現在の税収は、60兆円であり、少子高齢化や若年層の非正規労働者化を考えると、このままでは、確実に現行の社会保障制度が破綻いたします。
話は変わりますが、憲法の25条の条文を見ていきましょう。
これは、生存権と呼ばれる、日本国民全員に保障される権利です。
現在の社会保障制度では、貧しいお年寄りの方々は、年金だけでは生活費を賄えず、70歳を過ぎても、非正規労働者として、週五日で朝から晩まで働かされています。
また、それすら出来ない方々は、餓死や刑務所生活、路上生活を強いられます。
これは、"現行の社会保障制度が、違憲である"と言える十分な証拠になるでしょう。
また、もう一つ取り上げたい憲法の条文がございます。
これは、国民に、国家権力に国民の財産が好き勝手に奪われない権利があるという事で、財産権と呼ばれる権利を保証しています。
つまりは、富裕層へ資産税を課すというような事は、よっぽどの事が無い限りは、違憲であり、出来ないという事です。
そこで、『世帯の資産額に応じて、社会保障の支給額を変える』という事を行えばいかがでしょうか。
例えば、医療保険で言えば、富裕層は8割自己負担、貧困層は自己2割負担という具合にです。
それなら、保険という名目で個人からお金を集めてはおりますが、社会保障という名目で、富裕層から徴収した保険料を、本当にお金を必要としている人々に限定的に給付するという事は、より憲法25条に沿った制度になるはずです。
しかし、この制度を実現するためには、
①政府が、国民の財産状況を大まかにでも把握出来る
②各自治体が、その情報を迅速に検索できる
という大まかに2つの条件が必要となります。
①政府が、国民の財産状況を大まかにでも把握出来る
一つ目の条件ですが、デジタル庁のような、自治体と国の垣根を超えた統括公的機関が、税務署や銀行からの情報の提供を受け、国民一人一人の個人所得や資産を大まかに把握する必要があります。
その為には、銀行口座へのマイナンバーの義務付け化など、マイナンバー法の用途の拡大等の様々な法律の改正が必要になります。
②各自治体が、その情報を迅速に検索できる
この条件を満たすには、ビッグデータを用いた行政システムを、前述のデジタル機関が構築し、作成したデータベースを、自治体が参照出来るようにする事が必要です。
具体的には、①で把握した情報を元に、国民を、財産別に層分けしたデータを保管するデータベースを構築します。
例えば、A層、B層、C層、D層をそれぞれ、超金持ち層、金持ち層、貧困層、超貧困層の4つの層とし、日本中の全世帯を4つの層にそれぞれ振り分けます。
そして、国民一人一人が、どの層に属するのか、自治体や各病院が、瞬時に検索出来るようにするのです。
健康保険の場合では、自治体や病院へICカードリーダーを置き、マイナンバーカードを読み取れるようにし、その場で、マイナンバーカードを元に、データベースを検索し、その国民がどの層に該当するのかを自治体や病院が確認します。
例えば、ある人が、超金持ち層のA層に所属する場合、
となります。
逆に、超貧困層のD層の場合は、
という具合になるでしょう。
社会保険料の変更には、法改正を必須にする
また、厚生労働省による、これ以上の社会保険料(保険料率)の恣意的な上昇変更を防止するため、社会保険料(保険料率)の変更には、法改正を要するように、改革すべきだと思います。
アメリカでは、社会保険料は、payroll taxと呼ばれ、税金に区分されております。
日本においても、社会保険料の徴収総額は、もはや税金を超える程膨大になっているため、税金と同様に、その変更には、法改正を必要とする事は、必要不可欠であると言わざるを得ません。
5. 自民党や立憲民主党議員に改革は期待できない
各国務大臣や自民党の幹部(役員)のような年配議員達は、頭が固く、大幅な変化を嫌い、また自らが高齢者のため、彼らが実権を握る間は、"高齢者が不利になる大幅な改革は実現しない"でしょう。
さらに、自民党や立憲民主党には、現行制度で得をしている民間の利権団体や官僚との繋がりがある利権議員が数多くいるため、自民党と立憲民主党の議席を減らす事が、改革に繋がる事は間違いありません。
ですから、日本を取り戻すための、初めの第一歩として、次の衆院選では、国民の事を真剣に考える事のできる維新の会等の"若い議員を当選させる"必要があるでしょう。
このままでは、経済状態も、財政状況も、一方的に悪化し続け、多くの貧しい高齢者層も、さらに苦しい生活を余儀なくされ、若年層も共倒れとなるような最悪の結末を迎えてしまうでしょう。
しかし、日本には、富裕層の高齢者以外の層が国民の大半を占めるはずです。
ですから、団結して、富裕層の高齢者達が喜ばないような選挙結果を出せれば、この2025年後に訪れる最悪の未来を回避できる可能性は、十分にあるはずです。
参考文献
・教養としての社会保障 by 香取 照幸
・無駄だらけの社会保障 (日経プレミアシリーズ) 日本経済新聞社
・社会保障クライシス―2025年問題の衝撃 by 山田 謙次
・国家と官僚 こうして、国民は「無視」される(祥伝社新書) by 原 英史