「夜のスケートリンク」
私の子供時代を一言で表現すると「感性の赴くまま生きていた少年」といえる。その頃に印象的だった、とある冬の思い出について話したいと思う。
北海道の冬は極寒である。吐く息がキラキラと即座に凍り付くそんな世界で私は少年時代を過ごした。それは、放課後に友達と小学校のリンクでスケート遊びをした後、そろそろ皆んなで帰ろうかという時だった。なぜか私はスケートリンクに残りたくなった。そこで友達には先に帰ってもらった。この広いスケートリンクに私ひとりである。ウキウキしてきた。だんだん夜に近づく空の下、誰もいないスケートリンクの真ん中でひとり大の字で寝っ転がり、時々ユラユラ揺れながら背中で氷を感じていた。深呼吸すると、はあぁ気持ちいいーっ。冷たくて透明な空気で心の隅まで洗われる気分。冬の夜空にはチラチラと瞬きしだした星がたくさん見えた。ずっとこうしていたかった。…その時、闇の奥から
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