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「ありえない通学路」

子供の頃は不思議だ。なぜだろう、不可解な出来事によく遭遇した。
私が小学2年生の頃。ちょうど夏休みが明けた日に起きたことをお話ししたい。

久しぶりに朝早い時間に起こされた私は、夏休み気分にどっぷり浸かった顔でのっそりと布団から出た。目がはっきりと開かないまま朝の準備を渋々はじめる。

うーん、いつも思うけど、長い休み明けのこの荷物なんとかならんのかねー。多すぎっ!

私はグチを吐きながら持っていくものを乱暴にそろえる。教科書、宿題のプリント、課題作品。そして極めつけがこのアサガオの鉢植えだ。この重くてでかいアサガオを小学生がナマ手で抱えて歩くのである。この苦行によって永遠の幸せが手に入るならまだしも、思い入れも実のところあまりないこのアサガオをただ粛々と学校に運ぶ。そしてその努力を褒められる訳でもない。見事なまでの生き地獄じゃないかーっ。

それでも両手両脇にゴソゴソと大量の荷物を抱え私は家を出た。「ふあーっ」朝の空気はびっくりするほどきれいで、思わず大きく深呼吸。幾分かはこの憂鬱な気分を追い出せた。しかしまあー

今日は霧がすごい。

この地域、朝や夜はよく霧に包まれることが多い。しかし今日の朝霧の濃さは尋常じゃなかった。と言っても歩き慣れた20分ほどの通学路である。目をつぶってでも学校に着けそうな気がする。私は得意げに霧をかき分けながらグングン歩いていった。

アサガオと課題作品が歩くたびにこすれてシャコシャコ音がする。アサガオの垣根が顔に当たりそうで不快だったが、忍耐でひたすら歩いて学校へ向かった。

ところが、歩けど歩けど

人がいない。

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