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濡れた知性

大人になればもっと賢くなれると、大人なるものへの無垢な憧れを抱く子どもであった。が、知識と経験が積まれてゆくに従い見聞できる世界は広がる一方、目に見える物から、目に見えない事まで、それらをそのままの姿で観、 裸の細胞で感じることが億劫になっていく。精神が清らかな自在さのうちに走り回る感覚、なんだったけな…跡形もなく溶けゆく夢の記憶だ。路傍に咲く花の可愛らしさに感じるよりも先に花の名前を詮索してしまうような乾いた知性だと、せっかくの花も乾こう。知性はよい、だけど多少、濡らした方が良さそうである。

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