門をくぐった瞬間風が吹き、絵馬が一斉にカタカタカタと鳴った
先日、出雲大社に参詣した際、案内してくれた方が、
「鳥居をくぐった時に風が吹いてきたら、
それはその神社の神様に
歓迎されているということですよ」
と教えてくれました。
大社を訪れたその日もサッと風が吹いて、無事歓迎していただけたようす。
とはいえこの日は複数人での参拝。
よほどのことがなければ歓迎していただけるのではないでしょうか。
桃太郎カラーの自転車で
数年前、岡山に行く機会がありました。
それを利用して、いくつか寺社を巡ることに。
備前一宮駅で列車を降り、駅前でレンタサイクルを借りました。
あてがわれたのは、ピンクの自転車。
ふだん身に付けない色にちょっと気恥ずかしく感じながらも、そうか、桃太郎カラーじゃないか、と自分に言い聞かせ、まずは駅名の由来でもある、備前国一宮の吉備津彦神社へ。
お参りを済ませ、池の亀を撮影しようと悪戦苦闘してうまく行かずに諦めて、先へ。
自転車を借りる際にもらったサイクルマップを見ながら、「吉備路自転車道」に従って進むと、国境(くにざかい)である「吉備の中山」に至ります。
ここを越えると、備中国。
古代の吉備国は力がありすぎたため、備前・備中・備後の3つ、のちさらに美作も分けられたのだとか。
吉備の中山はもともと吉備国の中心にあったと言われ、その証拠に備中側の麓には、備中国一宮の吉備津神社があります。
中山の史跡などにも寄り道をしながら、吉備津神社へ。
伝説を伝える古社
ここには、先の吉備津彦神社と同じく吉備津彦命(きびつひこのみこと)が祀られています。
鳥居の前には、吉備津彦がこの地域を荒らしていたという鬼神・温羅(うら)を退治する際、その矢を置いていたという「矢置岩」があります。
吉備津彦と温羅との対決は、のちに桃太郎伝説の元になったとも言われています。
ハロウィンのランタンのようにも見えてくる風月燈籠などを眺めつつ境内をひと通り拝観。
まだまだじっくり見たいところでしたが切りがないので、7月の暑い中、少しつかれたのでこちらを後にし、門前でかき氷を食べて一服しました。
川沿いにある小さな神社
それから吉備路自転車道を先へ進み、辿り着いたのは「鯉喰神社」(こいくいじんじゃ)。
変わった名前のここは、吉備津彦命によって深手を負った温羅が、鯉に変身して川から逃れようとしたところ、鵜に化けた吉備津彦によって捕らえられたのにちなむとのこと。
それを祀ったのが、この鯉喰神社なのですが…。
小さな神社でした。
しかし狛犬と石灯籠がそれぞれ、新旧2組ずつ。
石灯籠の間を抜け、随神門をくぐったときでした。
急に風が吹き始め、吊り下げられていた絵馬がカタカタカタと鳴りました。
冒頭の知識はなかったものの、直感的に、なにやら歓迎されているのではないか、と感じました。でも気持ちは複雑。
ここに祀られているのは、討たれた鬼なのか?
それとも英雄の方なのか?
そんなことを考えていると、温羅ゆかりの地である鬼ノ城(きのじょう)へも行ってみたくなりましたが、自転車では行けそうにない場所。
レンタカーを借りて……? とさえ迷った挙げ句、結局あきらめ、そのまま吉備路自転車道を進むことにしたのでした。
そして造山古墳や備中国分寺を見て回りました。
以来、けっきょく鬼ノ城には行けていないのですが、やっぱり遠からず、訪れることにしようという気持ちが高まりつつあります。