
自然をどう読み取り読み解いたか〜中近世ヨーロッパの版画に見る
町田にある、町田市立国際版画美術館。
そこで開催されている
「自然という書物──15〜19世紀のナチュラルヒストリー&アート」
という企画展を観に行ってきました。
ヨーロッパにおいて、自然をビジュアルとして
どのように記録していたのか、
というのがメインテーマ。
第一の書物である聖書に対して、
「神が創りたもうたもの」として、
自然は「第二の書物」という位置付けがあったとのこと。
15世紀のものは、線も大雑把。
多色刷りではなく、彩色は後から筆などで
塗られているのですが、それもだいぶ適当で、
大いにはみ出している。
まるで子どもの作品のようです。
時代が下ると、木版画からエッチングによる
銅版画が増え、線も詳細に、
より実物に即したものになっていきます。
描かれるものにも変化が。
想像や伝聞が多く、実在するものと架空のものが同列に描かれていたのが、徐々に実際に観察できるものを中心にするようになっていく。
それもどんどん緻密になっていき、現代の図鑑と同等に、それどころか、まるで写真のように精密な作品まで。
一方で、街の風景の上に観察した植物を描く、レイヤー構造のような考え方や、動物を擬人的に表現したり動物と人間の立場を入れ替えたり、という滑稽みのあるものも増えていく。
日本の鳥獣戯画が800年前のものとも言われるのと比べると、かえってヨーロッパは遅れていたのがよくわかります。
展示は思ったよりもボリュームがあって、1時間くらいでササーッと観られるかと思ったら、半分も観ていないうちに、閉館まで残り15分、との案内が。
止むを得ず後半はザッと見る程度しかできませんでした。
展示の一部は撮影もできますが、やはり実際に見るのと画像として見るのとでは感じが違いますね。
書物の形になっているものが多く、貴重な品々でもあることから、ガラス越しに遠くに置かれたものも少なからずあったのですが、これらはよく見えなかったのが残念。
また視力が落ちたかな……
丁寧に見ることができないものもあったので、チャンスがあればもう一度いきたいと思っています。
企画展観覧料は900円(一般)ですが、リピーター割引で200円引きになるそうです。
展示にちなんで、動植物をデザインしたファッションを身につけていると割引になるというサービスもあるそうです。
展示期間は5/21(日)までと残り10日ほどですが、興味のある方、町田方面においでになる方はぜひ。
詳細はこちらです▼