胚移植、何個する?
初期胚移植でも、胚盤胞移植でも、いったい何個移植すると一番妊娠する確率が高くなるのでしょうか?
私のように高齢(45歳)で子供がいない場合、双子ができる事は願ってもいない幸福なわけですが、複数胚を移植することで、逆に妊娠する確率が下がったり、マイナスになってしまう部分はあるのでしょうか?
というわけで、複数胚移植 VS 一個の胚移植というテーマでお話ししていこうと思います。
みなさんこんにちわ!
私はニューヨーク在住で去年44歳になってから体外受精を3回やりました。結果全部惨敗だったわけですが、現在卵の質改善コーチング的なものにも参加して、絶賛卵の質を改善中です。
今年の5月には日本に行って体外受精を試そうと思っています、これからも一緒に頑張りましょう!
一個か複数か
専門家の意見は主にこの2つに分かれているみたいです。
1回一個の移植を推奨する派と、年齢別で複数胚移植推奨派。
一個派の主張
一個派の主な理由がこれ。
双子、もしくは複数子になってしまう可能性があるから
双子?いいじゃないですか!万々歳!!
なぜ双子、(三つ子)ちゃんになると困るのか?
それは、単に双子が生まれるから、というだけではなくて、それに伴うリスクがあるからなんです。
双子(三つ子)妊娠のリスク
複数の胚を移植すると、合併症の発生率が増加します。
子供へのリスク
体外受精によって母親から生まれた乳児のうち、双子は単子に比べて早産になる可能性が 12 倍、
低出生体重児になる可能性が 16 倍、
呼吸器合併症や黄疸になる可能性が約 5 倍高くなります (Sazonova et al., 2013 )。
周産期合併症の発生率が31.8倍(La Sala et al., 2016)
母体へのリスク
双子の母親は、単児の母親に比べて*子癇前症(しかんぜんしょう)になる可能性が約 2.5 倍高く、
早産前期破水になる可能性が 8 倍以上、
帝王切開が必要になる可能性が 4 倍高い(Sazonova et al.)。
*ちなみに、子癇前症(しかんぜんしょう)とは、高血圧やタンパク尿を特徴とする疾患で、通常、妊娠後期に発症し時間が経つにつれ悪化する。 重い疾患には赤血球の破壊、血小板減少症、肝機能障害、腎機能障害、浮腫、肺水腫による息切れ、視覚障害がある。
一回の妊娠で可愛い双子ちゃん❤️なんて一石二鳥!と思っても、
双子ちゃんだからこそ、さらに高齢出産だからこそ積み重なってくるリスクが理由で1回の移植では1つの胚を移植しよう、というのが、一個の胚移植派の意見のようです。
年齢別で推奨される、移植の胚の数
次に、やはり1個の胚を移植するよりは、2個の胚を移植したほうが妊娠する確率は高くなるわけで、かといって双子になってしまうリスクをできるだけ回避するために、年齢別で、移植をする胚の数の推奨される数は違います。
30 歳未満の女性の場合_胚移植は 1 個までにすることが推奨される。
30 歳から 35 歳までの女性の場合_移植には 2 個以下の胚が推奨される。
35 歳以上の女性の場合_体外受精の成功の可能性を高めるために 過去の移植で着床しにくかった場合は3 個の胚を移植してもOK。
女性の年齢が上がるにつれて、妊娠が成功する可能性が減少します。
どの受精卵が正常であるかというPGT-Aテストを受けて異常なしとされた胚盤胞の場合は1個、最大でも2個の胚盤胞を移植するのが妥当かな、と思います。テストしていない胚、胚盤胞であった場合は私45歳の場合だと3個は移植してしまっても、双子になる可能性はかなり薄いのではないかなと思います。なので、3個移植してもそのうち1つで妊娠すれば万々歳といった感じでしょう。
体外受精は時間と費用がかかるため、その時間、費用が少しでも短縮すれば、ということで、少なくとも 1 つが着床して発育できるように複数の胚を移植することを医師がお勧めして、選択されている方が多いようです。
2個胚の組み合わせ
次に気になるのが、複数胚を移植した際、質の悪い一個が質の良い一個をダメにしてしまう可能性はあるのか?ということ。
これについては、こちらの記事を参考にさせていただきました。
これは、グレードの良い胚盤胞(4BB以上)と、グレードの乏しい胚盤胞(4BC以下)の組み合わせで、それぞれ着床率と、妊娠率、流産率、双子になる可能性を、はらメディカルクリニックさんがまとめたものです。
はらメディカルクリニックにて2個胚移植を行う基準は、複数回胚盤胞移植をしても不成功であった場合のみのため、グレードの良い胚盤胞1つを移植していたとしても着床率が低めなのはそのためです。着床率が19.45%、妊娠率13.85%、流産率が高くて58.24%。
そして、2個胚移植の、グレードの良い2つの場合は着床率が1個移植の場合の2倍、妊娠率はさらに高まって2倍以上。流産する確率は半分ぐらい下がって、双子になる可能性も7.38パーセントではありますがあります。
グレードの良いものと、グレードの乏しいものの組み合わせでの2個胚移植でも、なんと着床率は一個のグレードの良い時よりも10%も上がっていて、妊娠率も7%ほど高い。流産する確率も、1つの胚盤胞移植よりも20%も低くて、双子になる確率は低いですが、3.86%。
では次に、グレードの乏しい胚盤胞だった場合の比較です。
グレードの乏しい胚盤胞、1つを移植した場合と、グレードの乏しい胚盤胞2個を移植した場合の比較ですが、
1つを移植しただけだと、11%の着床率なのに対して、なんと2個になると31%!!ということで20%も着床率が上がってる!!
妊娠率も、1つだけの場合は、8%の妊娠率なのに対して、2個だと、23%!!ということで15%も確率が上がっているではありませんか!
流産率も20%下がっていて、これはもう2個移植したくなる結果ですよね。
まとめ
双子ちゃんを授かるということはそれに伴うリスクが増えるということで、ここには覚悟は必要。
複数胚を移植すると、妊娠をする確率は上がる。そして、流産する確率は下がる。で、双子ちゃんになる確率も少なからず出てくる。
自分の年齢、過去どれだけ着床できなかったか、などを考慮して、ご自分とパートナーでじっくり考えて何個どの組み合わせで胚、胚盤胞を移植するのかということを決断しよう。
ではでは!一緒に頑張りましょう!