『マシーン日記』観てきた
松尾作品×森川さんは魅力的すぎるじゃん!?
行ってきたよマシーン日記!!
えーーと、とりあえず、
やばい。やばいしか言えなくなった。
森川葵はすごい。心奪われまくったーー!!
葵ちゃん3年ぶりの舞台!!ロミオとジュリエット以降なかったからもしやもうやらないのか…なんてちょっと思い始めてた、ので嬉しくて。
鈴木杏さんの時の公演をいつだったか見てたけど(映像で)、結構忘れてる部分あったので新鮮に楽しめました。
同じ空間で同じ時間、同じものを共有できてる幸せを噛み締めてきました。
ただ感じたこと、受け取ったことをつらつらと。頑張って削ったりしたけど長い、きっと。
『マシーン日記』
作 松尾スズキ
演出 大根仁
音楽 サカナクション
出演 横山裕、大倉孝二、森川葵、秋山菜津子
@ロームシアター京都 3/5〜3/15
暴力とセックスと支配・被支配が詰め込まれた話。
町工場を営む兄弟。
弟に強姦された女性、その責任をとって彼女と結婚した兄、兄に監禁されている弟、弟のマシーンとして服従する従業員。
まず結論として、家族の話だったんだろうとは思いました。難しいけど。こんなに頑張って考えた戯曲なかなか無いわ。
結末に未来は見えなかったなー、私は。サチコだけは状況から解放されたけど、あれで良かったんだろうか。サチコが主役だと感じてるあの間に殺されたのは彼女にとって救いになったのかもしれない。
依存し合ってバランスを取ってたツジヨシ家の3人に、ケイコがやってきて新たな依存(惚れない男に支配されたい)が加わったことでそれが崩されたんだな。あの工場・町から出たとしても、ミチオとケイコの子供が産まれることで、家族(血のつながり)に雁字搦めにされた共同体が続くんじゃないかと。
…とは書いたものの真面目な話、サチコは死んで先生は逮捕だし兄弟は病院だろうな。
全員が違う方向に狂気で、噛み合ってなくて、でもなんだかんだ“家族”っていう枠に自分たちをはめ込んで共依存の関係で成り立ってた4人だったのかな。全員が全員、行動も発言も突飛すぎてついてけない。でも噛み合ってないまま、歯車が狂ったままラストに向けて突っ走っていくのがたまらん!
現実、家族の内側を全部見せてる人なんていないと思うから、身近にも歪んだ家族の形があるかもしれない。それに、自分の家族が他人からどう見えてるかなんて分からない。何が変で何が歪んでるのかも人によって違うだろうし。
共感できる人物がいなくて、理解もし難いけど、たった4人で舞台の熱量がすごくてそれに圧倒されて涙出そうになって。「何だこの感情は」って。
松尾さんの作品がやっぱり好きなんだなあ。
演出について
大根さん演出で、ポップでスタイリッシュになった印象。松尾さんのはもっとカオス?ダーク?だったような気がする。記憶は曖昧だけどね。
今回の演出、性格悪いな?おい?って感じでした。それが良い悪いって話じゃなくて(どちらかと言うと好みの問題かな)、これをポップに作った大根さんすご。観るこっちの罪悪感が増した。性格悪い!(2回目)
DV、監禁、強姦。壊れてて狂ってて、文字で読むと全然笑えない。なのに観ると笑ってしまう。芝居の力だなあって。“これは舞台、フィクション、作り物” って頭で理解してるから笑えるけど、冷静になって客観視すると急にゾッとする。大根さんの言葉を借りると、観客がまさに「共犯関係」に仕立て上げられてて、気味の悪い空間が出来上がってた。でもそういう部分が面白いところだなあと思うし、あの世界を見て笑えるものにできるってやっぱりエンタメってすごい。観客が笑えるのは、無意識に自分は多数派だって思ってるからなのかもな。
そして照明、音響、映像がすごくて。センターステージだと、舞台上の世界と自分のいる場所が地続きになってる感じだった。だからこそ、炎が上がったシーンとかは観客の周りも全部赤くなってて会場が燃えてるようで、会場まるごと工場であり、町だった。
終盤の盛り上がってくところの音楽がめちゃめちゃにかっこ良くて、劇伴あってこそ見てるこっちの感情も昂っていくのが分かる。
エンタメ作品としての完成度が高いなぁと。
(どこからか語彙力というもの降ってきてほしい切実に。)
私はこの『マシーン日記』ってケイコとサチコ、女性陣の話かなと感じてて。横山くんが舞台上で繋がれて出ずっぱりだしもちろん主演なんだけど、ミチオが主人公なのかはまだ正直よく分からない。『演技者。』でもミチオ役が主演になってるから、大根さんにとっては『マシーン日記』はミチオの話なのかな、なんて。
登場人物について
自分で自分に嵌めてしまってる枷と、外からの抑圧で身動き取れなくなってる人たちだった。
歪んだやり方で自分の居場所、存在価値を見出すようになったのは、世間が彼らを弾いてしまった結果なんじゃないか。
『マシーン日記』のタイトルの通り、マシーンが書いた日記のナレーション中心で進んでいく。マシーン=ケイコではあると思うんよね。
秋山さんのケイコは、なんだか人間味があった気がする。マシーンになろうとする人、マシーンになりたい人、だった。ミチオに支配されたがってるのはなんでだろう。どれだけ頑張っても数字として目に見える形で評価されないからって、教師の仕事を辞めたのに、被支配を求めるの分からないよ〜。
感情が読めないんですけど、それを演じる秋山さんがかっこいい!フリムンのときとの振り幅よ。同じ人とは思えない。女優さんってすごい。秋山さんが立ってるだけで松尾さんの世界観できあがるし、セリフとかも、巧いってこれかって思った。
ケイコが工場でトンカントンカン、あの3って付けたのを考えるとちょっと可愛い…。
そして大倉さん。こちらもまためちゃめちゃかっこいい。とにかくかっこいい。ドクターホフマンぶりだよ〜嬉しい。あのテンポ感とか間とか最高。大倉さんが話し始めると大倉さんの世界になるんよ、一気に。
アキトシも全然分からない。妻に暴力振るうわ、弟を監禁するわ。でも家族団欒の時間に拘ってたり、家族感を主張したり、“家族”に執着する。ミチオに対抗するような形でサチコと結婚して、強姦と結婚の順番を都合の良いように逆にしてミチオを監禁して、そうすることでミチオより上に立ってるのかな。ミチオに先越されたからって理由で子供作ろうとするのも、そういうところから来てるんだろうな。ひどい奴だし理解できないけど、大倉さんがやるとなぜかチャーミングに見えるんですよね。めちゃめちゃ空気読めてない感じが滑稽。
首折られたサチコを抱きしめてて、最後の最後だけ二人が夫婦に見えた。
秋山さんと大倉さん、やっぱ舞台の人なんだなあってすごく感じた。
横山くんはドラマとかで見る印象とだいぶ変わる。出ずっぱりで照明当たってなくてもずっとミチオ。ダンスのシーンとカテコは、アイドルだ〜〜!!ってなりました。
ミチオは、繋がれてるっていうのを、いろんなことの言い訳にしてるんだなと思った。家族がおかしいの分かってるけど、色々と自分なりに辻褄合わせるために全部受け入れてる。家族として完成しない、噛み合わない4人の中でいちばん冷静に状況を把握して見れてるのはミチオなのかな。狂いそうで狂いきってない。横山くんがやってるからなのかちょっと可愛い部分もあって、子供のままで止まってる感じ。
冒頭で強姦後の場面から始まって、この時点でクズなんだけど、それ以降は割とまとも(他の3人と比較すると)な人に見えてきて、なんなら最後の方はかわいそうに見えるから、なんか負けた気分。たぶんサチコを強姦したってことだけは、ミチオ自身の意思だったのに、それを後に「合意だったのよ!」とか言われて、そんなんかわいそうじゃん?この物語の中にミチオの意思や選択はないのか?
サチコは境遇だけ見ると可哀想だし、悲壮感すごい漂ってるけど、なんだか笑える感じの可哀想具合になってるの、作り手側の思うツボなんだよな〜。サチコの過去は、いじめられっ子だったってくらいしか語られないけど、普通の子だったのかなあ。それがミチオに出会って狂っていったのか。そうなるとやっぱり可哀想なのか?でも強姦ってことで話が始まる一方、終盤のシーンでサチコが合意になってたってセリフで言ってるのは、ある程度本心なんじゃないかなとか思ったり…いやでもこのセリフは、ミチオのこと「好きじゃない」けど先生に取られて独占欲や執着みたいなものが湧いててそれこそ“順番逆”にしたんじゃないかとか……(考えるの放棄)
自分は主人公になり得ないと思いながらも、ドロシーがやりたかった。その願望から可哀想な自分、悲劇のヒロイン的状況に酔って、この家族の中に自分の居場所を作ってるように見えた。
ミチオとサチコはすごく幼く見える瞬間があって、二人だけの時は子供みたいだった。
セックス始めようとしてハッと我にかえった時と、そのあとアキトシが来て慌てて隠れようとしてる時と、アキトシがトイレから出てきた時の、ミチオとサチコ2人の反応がめちゃめちゃ可愛い。わちゃわちゃしてて可愛い。横山裕と森川葵が可愛い。
(分からんとか言いながら、4人とも可愛いって感想になるとこ語彙力が乏しくて悲しい)
オズの魔法使いとマシーン日記
・ドロシー=サチコ(葵ちゃん)
・カカシ=ミチオ(横山くん)
・きこり=ケイコ(秋山さん)
・ライオン=アキトシ(大倉さん)
オズの魔法使いでは、ドロシーは家に帰りたい。カカシは脳、きこりは心、ライオンは勇気が欲しい。
これを踏まえたとして、
サチコの家って?家族(親)の話は出てこんかったんよねえ。逃げようと思えば逃げれるのに、逃げない。ついに最後に逃げようって言ったと思ったらミチオも一緒に連れて行こうとするし分かんないんだよ。ミチオへの依存からは抜け出せなかった?サチコにとっての家はツジヨシ家で、アキトシに支配されミチオに依存することだったのかな。
マシーン日記においては、望みというよりは、それぞれに欠けているものっていう形に見えた。ただアキトシの臆病な部分はちょっと捉えきれてないかも。妻と弟に対する支配や家族っていうのがないと、自分を認められなかったりミチオに敵わなかったりっていう部分に怯えてたのかな。
カカシ(ミチオ)はドロシー(サチコ)に助けられて動けるようになったということか。
『オズの魔法使い』久々に読みました。
森川葵ちゃんのこと
ここからは、葵ちゃんすごかったな〜っていう感想を、ひたすら書いてるだけです。(まだ書くんかい)
とにかく最高!!出演してくれてありがとう!!
推しのこういう役大好きです!!
葵ちゃん演じるサチコはずっと怯えてて、でも生き生きしてるシーンもあって、そこのバランスと狂気の表現が本当に上手いと思った。とくに2幕は惹きつけられた。突然あの場の空気ぜんぶ彼女が持っていく感じ。
あんなん見せられたらたまらん!!!
ああ〜〜〜って、好きって、声出そうだったよ、堪えたよ。
このキャストでマシーン日記の再演やるって知った時、マシーン日記 × 森川葵 ってなんか分かるなあって思ったし、想像を超えてハマってた。松尾さんの世界に。サチコの、ちょっと空回っててズレたまま走り出しちゃうとこ。イタイんですよね。無邪気さが余計にイタイ。森川さん、クセ強めな女の子の役多いけど、今回もなかなか。こういう役が本当に上手いなって思う。
松尾さんの作品に出てほしいなとはずっと思ってて、2019の再々再演で叶わなかったんですけどケガレとか合いそうって勝手に妄想してたので、嬉しいキャスティングだった。
4人の年齢設定よくわかってないけど、中の人の年齢だと森川さんだいぶ若くて、舞台2回目で、秋山さん大倉さんとかと並ぶってどうなっちゃうんだと思ってて。でもサチコから目が離せなくなるシーンもあって、あれだけ演じ切ったのを観たらみんな好きになっちゃうよね??すごかったよ。森川さんすごかったって感想も結構見かけて勝手に嬉しい。
舞台って危険ですよね。好きな女優さん出てるから〜とか、劇作家さんが好きだからって観に行くと、女優さんの沼から抜け出せなくなるもん。帰り道から頭の中ずーーっとその人のこと考える羽目になる。
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内容とはちょっと関係なかったりするけど可愛いポイント↓
⚪︎歌声が聴けたの嬉しい!音痴なのも、上手なのもどっちも最高。
⚪︎犬の鳴き真似が上手い&可愛い!トトなのかな。話の流れとしては、結構怖いなと思った部分ではある。
⚪︎ずっと苦手って言ってるダンス、見れて嬉しい。
⚪︎皿回しまで生で見れたの感激。めっちゃ拍手起こってたし、番組観てる人も多いのかなとか思うと嬉しい。スムーズに成功したのも見れたし、失敗しちゃってセリフのやり取り増えたのも見れたし満足です!あそこだけみんな役から離れる感じ可愛い。
皿回しするのは東京公演からレポでちらほら見て知ってたけど、ミチオ食わせていこうとしてたとは。道で稼いでいけそうなワイルドスピード森川だからね。
⚪︎カテコになった途端、可愛いが溢れ出してた。両手を前で揃えてピョコってお辞儀するのも可愛いし、カーツィも可愛い。ドロシーのかつらも可愛い。かつらのおさげ持ってピコピコ振ってたの可愛すぎたよ。舞台ぐるっと一周して四隅でお辞儀だったけど、それぞれで2方向に頭下げてて、あぁ好きだなって思いました。
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『マシーン日記』また何年後とかに再演される日が来るかな。その時はまた観たい。
何度も上演される作品が沢山あって、ひとつひとつ出会えて良かったと思えるものばっかり。
文章まとまってなさすぎて泣きそうになってますが、この辺で。
最初は、マシーン日記の森川葵、について書き留めておきたかっただけなんですけと長々と書いてしまった。推しがいる生活って幸せですね。また舞台でも観られたらいいな。
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