文学フリマ広島5で買った本~詩集・歌集~
①わたしたちのおとぎ話 高橋克知
詩が6篇だけ入っている、文字通り薄い本。
個人的には「雲雀料理」が好みで、私も私なりの雲雀料理の味を考えてみたくなって、買ったままでろくに開いていない岩波の萩原朔太郎の詩集を引っ張り出しました。
6分の1の確率であっても他人の行動に影響を与えられる作品を書けるのはすごいなあと思う。そう考えると6分の1って結構高い確率ですね。
ちなみに朔太郎の詩集は「青猫」を紙で読むためだけに買ったものなので、それ以外は全然読めていません。チャンチャン。
②春の雨 エキノコックス
薄い本その2。
表紙の「愛で地球を救うんでしょ。できるんでしょ?」が好きすぎてこれだけで既にかなり満足。
「一級フライパン操縦士」は黙読より音読向きだなと思いました。「がんばるか、」のところが「。」じゃなく「、」なのはミスじゃなく意図的だと信じたいです。信じさせて。「がんばるか、」の次は「と思ったけれどたいぎくて」みたいに続くといいなあ、と思ったり。全体的にトゲトゲチクチクした若さゆえの悩みとか苦しみとかの詩が多いように感じたけれど、それでも最後に「顔の川 2」という作品で締めくくられているのがとても嬉しかったです。
こんな世の中でもなんだかんだ救いはあるんだな、と思った。
③果樹園 松森克未
カバー付いてる!豪華だ!
そういえば私が買った本のうち7冊中3冊はこのサイズ(A6とかB5とかそういうよく見るサイズじゃなくて、文庫をちょっと縦長にした感じ)だったんだけど、流行りなんですか?私は世の中の流行りに疎いので教えて欲しいです。
以下お気に入りの作品
果樹園からは
「堂々とひらかれてゆく檸檬まだこわくない、怖くない青褪め」
レモンの黄色と表情の青の対比が美しく、また堂々としたポジティブなレモンと、おそらく梶井基次郎と同じ感覚であるネガティブなレモンの対比もまた綺麗で好きです。
バナナ型神話からは
「帳尻の合わぬ未来をおおいつつ分岐路に伸ぶ実芭蕉の青」
帳尻の合わぬ未来ってすごくいい言葉じゃないですか?好きです。
クラクリュールは全部好きだったけれど、あえて選ぶなら
「我が王へ鳥類図鑑差し出していっときの木漏れ日となりたし」
私も我が王と崇める人に美しい装丁の鳥類図鑑を差し出して、その人の木漏れ日になってみたいな。
黄金からは
「筆跡を辿ったのちにあたたかい雪降る橋の中心で会う」
雪の日のことが書いてある手紙を読み返しているのかなと思いました。あなた(の筆跡)といれば雪の降る川(橋だからね)もあたたかいわ、という乙女を想像してきゅんきゅん。
春雨からは
「怒られた時の感覚 はなびらが首筋をかすめて立ちすくむ」
怒られた時の「ヒェッ」となる感覚を「花弁が首筋をかすめる」と表現するのは詩人だなあと思いました。私より詩才があられるやもしれん。
船出からは
「声、あるいは予感を束ね<今>という時間の波に帆を張ってゆく」
この文章から想像される映像が素敵。「声、あるいは予感」っていいなあ。見えないけれど確かにあるものを信じて生きていくのはロマンだよなあ。お金や数字ばっかり見てたらダメね、と反省させられます。
魔界三十九首からは
「ぎたぎたに食う氷菓子 その方がおいしいよって母の受け売り」
「食べる」に「ぎたぎた」を使うか普通!?「ぎたぎた」なんて効果音使っていいのはジャイアンぐらいだと思っていたので面白くてお気に入りになりました。
④天明ナンセンス 八田浪漫
女の人が男と人を紐でグルグルにしてキスしているイラストのポストカードに惹かれてぽけーっと見ていたら「このポストカードは詩集の挿絵なんですよ〜」と教えてもらったのでそれならばと詩集とともに購入。 表紙のイラストと挿絵が同じな「特攻ガール」と「人口ロード」が好きで、イラストも可愛くて、ぺらぺらめくるのが楽しい。私も次の詩集には挿絵をつけようかなと思いました。