あの鼻の奥がツンってする感覚 part.4

レミオロメンは失恋の味

2014年の夏。スマホを胸ポケットに入れて通学した頃のこと。僕は隣のクラスの水泳部の女の子が好きになった。

きっかけは僕の席にその子が座っとったこと。僕の斜め後ろの席に水泳部の女の子がいたことで、その子と話しやすい角度で僕の席が選ばれた。今思うとナイス席替えでナイス角度!
どいてほしいなぁって思ったら目が合って「ここの席なの?」と聞いてくるや否やどいてくれない。意地悪やけど話したときの話しやすさもあってすぐ打ち解けることができた。

それ以降も僕の席に座っては邪魔をしたり、廊下で会ってはお互いイジったりしていった。それもあって高校に行くのが次第に楽しくなってく。そして夏休み前にLINEを聞いて家でやり取りを始めた。

その子には当時彼氏がいた。顔は岩崎恭子似でタレ目。彼氏がいるのも当然かと恋愛には程遠かった自分は思った。
8月も下旬を迎えた。そのときから電話でのやり取りが増えた。「彼氏と別れた」という言葉を聞いたのも丁度そのときの電話やったと記憶しとる。僕ができる最大限の慰めの言葉を掛けたときに何となく距離が縮まったように感じた。

夏休みが終わって後期が始まった。廊下でのイジりに変わりはない。けど前よりかは楽しかった。それだけは今も覚えとる。
謎の高揚感があったのはもう1つあって、夏休みにブックオフでレミオロメンのアルバム「HORIZON」を買ったことも関係しとる。1曲目の「スタンドバイミー」を聴いて目の前の世界が変わったくらい透き通っとった。そのアルバムをひたすら聴いとったこともあって高揚感があったのかもしれん。

絶好調やった自分。やり始めて5ヶ月が経ったアコギもやっと1曲弾けるくらいになった。レミオロメンのアルバムもほとんどを借りたり買ったりした。
季節は秋へ移り、女の子の誕生日も近づいてった。ギターでback numberの「花束」
弾いてほしいと頼まれ歌わずに弾く。めっちゃ嬉しそうに喜んでくれたのが嬉しい。笑ったときに無くなる目がそのときは愛しく思った。僕は訳もなくレミオロメンの「茜空」を聴きまくった。

11月。僕はLINEで告白をした。結果はOK。めちゃくちゃ嬉しかった。LINEやったもんで実感は無かったけど超絶嬉しかった。アルバム「花鳥風月」が今日はホクホクして聴ける。「Starting Over」なんかキラキラしとって眩しいくらい。毎日が楽しかった。

そんな日に別れが来たのは11日後。デートをして帰った後にその子がTwitterに楽しかったことを書き込んだ(らしい)。当時の僕はバリバリにTwitterをやっていなかったこともあって投稿を無視した。そしてLINEの返信で話の流れから冗談で「それは恨むしかないなぁ」という言葉を送った。「恨む」。何を恨むのか。多分、その子に恐怖を与えたかもしれへん。
そういった投稿の無視と上の発言でLINEの返信が滞った。返信は無くなり恋愛初級者の僕は「未読無視=別れなきゃいけない」の公式を完成させて真夜中に長文を送りつけて別れた。そしたら未練が残った。それは今もある。

それが確か11月の14日。それからの冬は病んだように落ち込み学校に行きたくなくなった。仕方なく行っても楽しくない。唯一の楽しみは登下校のチャリで音楽を聴くことやった。立ち直ろうと思って「もっと遠くへ」を鬼リピした。それもあってレミオロメンの「風のクロマ」というアルバムは耳にタコができるほど・スマホの画面が割れる勢いで聴いた。あの時はレミオロメンに助けられた要素が大きい。特に「風のクロマ」というアルバムには感謝しかない。

いっぱい聴いて励まされたけど、このアルバムを聴くとその分の辛いことも思い出す。「Wonderful&Beautifu」という曲なんかは特にそう。歌詞がその女の子に対する僕の思いなのかと思うくらい熱く代弁してくれたし、冬という季節もあって曲の世界観とリンクした。でも、あの頃の冬は寂しくて切なく聴こえた。寂しくない今もそれを引きずるように寂しく聴こえる。それもあって好きな曲の1つでありながら聴くのが辛い曲でもある。稀有な存在やなぁって。

それ以降、あの女の子とは友達に戻ったり離れたりを繰り返した。それも2014年〜2018年まで。突然の告白があったり喧嘩もあったり良い感じになったり。人生であんなに浮き沈みの激しい恋愛あったと考えるとゾッとする。好きやった故に怖いし、好きなのに話せんくなる自分にも怖くなる。その子がナイスボディみたいな噂を聞いたことがあっても、その子に関しては身体とか全然興味が無くてそんなんが分からんかった。気になるけど、何かイメージが崩れそうやでやめとく。

昨日久しぶりにその子のインスタを見た。何人目かの新しい彼氏と仲睦まじくやっとる写真があった。ホッとしたのと同時に1周目の青春は終わりに近づいとる感じがして切なくなった。
因みにその写真にはピンクの絨毯を一緒に歩いとる2人がいた。そして、レミオロメンの「Sakura」が脳内再生されてまた失恋の味を思い出した。

次回「高校3年間=back number」

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