【Vol.13】ウルトラ・スーパー・デラックスマン
今回は《漫画》を題材にしながら【工務店が陥りやすい魅力の伝え方の罠】についてお話しします。
「自社の強みを一生懸命伝えているのになかなか伝わらない…」とお悩みの工務店さんはぜひお読み下さい。意外な発見があると思います。
■ウルトラ・スーパー・デラックスマン
取り上げるのは「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」。
故藤子・F・不二雄先生の短編漫画のタイトルです。
藤子・F・不二雄先生と言えば、ドラえもんやパーマンといった児童漫画をイメージしがちですが、短編集では大人向けの奥深いテーマの作品を多数発表しています。これがどれもこれも名作揃いでハズレ無し。ぜひ一度読んでみてください。
そんな短編集の中にある【ウルトラ・スーパー・デラックスマン】。
簡単なストーリーからお話しします。
■ウルトラ・スーパー・デラックスマンのストーリー
この物語の主人公の名前は「句楽兼人(くらくけんと)」。
※スーパーマンのクラーク・ケントのもじりです。
容姿は《ラーメン大好き小池さん》そっくり。
正義感が異常に強く、世の中の不正や悪行に常に怒っているけど、実際にはとても気が小さくて何もできず、そのうっぷんを新聞に投書することで晴らしている、平凡なサラリーマンです。
そんな句楽兼人が、ある日突然全身の細胞が「ウルトラ・スーパー・デラックス細胞」に変異。怪力・透視・飛行能力・弾丸や核兵器すら効かない肉体といった超人的な力を手に入れてしまいます。
「これは世の中の悪を懲らしめるチャンス!」
とばかりに、世の中の悪人退治を始める句楽兼人。
その圧倒的な活躍に人々は熱狂するものの、次第に世間の風向きが変わってきます。
強大な力を手に入れた句楽兼人は、「自分に逆らうものは全て悪だ」と思い込み、自分に少しでも異を唱えるものや街そのものをすべて排除・破壊。
エスカレートする句楽兼人に為す術なしかと思われた時、超人的な肉体ならではの理由ですべてに終止符が打たれます…。
これが「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」のおおまかなストーリーです。
ほんわかしているドラえもんの世界観とはまるで違っててびっくりしますね。
■この話のポイント
この話のポイントは、句楽兼人の《力の使い方》です。
句楽兼人は、自分が考える《正義》のために力を使いました。
しかしいくら正義のためであっても、他人から求められない限りそれは単なる善意の押し売り。
いわば【ありがた迷惑】です。
その証拠に、句楽兼人が悪をやっつければやっつけるほど、人々の心は彼から離れていきました。
もし句楽兼人が《自分の正義感を満たすため》ではなく、【誰かの困りごとや願い事】のために力を使っていたら、きっと多くの人から慕われてたはずです。
同じ力を持っていても【誰のために使うか】によって価値が違ってくる。
この漫画にはそんな教訓が込められています。
■あなたは【句楽兼人】になっていないか?
実はこれと同じ問題が、工務店さんの情報発信の仕方でも起こっています。
皆さんのホームページを思い浮かべてください。
こんなことが書かれていませんか?
「弊社は、自然素材にこだわって家を建てています!」
「今度の見学会は、見どころがいっぱい!」
「弊社の家の特徴は、断熱材にセルロースファイバーを使用!」
どれもこれも、御社が「これがいい!」と自信を持ってオススメしているモノでしょうから全て事実です。
間違いではありません。
ところが、思ったようにお客さんが反応してくれない。
なぜか?
まるで《句楽兼人》のようだからです。
先程挙げた3つの文章には、ある共通点があります。
それは、【自分の価値観を押し付けている】ということ。
「【弊社は】、自然素材にこだわって家を建てています!」
「【今度の見学会は】、見どころいっぱい!」
「【弊社の家の特徴は】、断熱材にセルロースファイバーを使用!」
全て自分です。《句楽兼人の正義》と一緒です。
いくら良いことであっても、それを心の底から望む人のために使わない限り、たちの悪い【ありがた迷惑】になってしまう。
ここが重要なポイントです。
■その力を【誰のために使うか】
先ほどのホームページの文章を【誰のために使うか】に変えるとこうなります。
(×)
「弊社は、自然素材にこだわって家を建てています!」
↓
(○)
「自然に近い環境で健康に暮らしたい。
というお客さまのために、自然素材にこだわって家を建てています」
(×)「今度の見学会は、見どころいっぱい!」
↓
(○)
「老後のリフォームに悩んでいるお客さまなら、見どころいっぱいの見学会です!」
(×)「弊社の家の特徴は、断熱材にセルロースファイバーを使用!」
↓
(○)
「環境に優しい家づくりをしたいというお客様からのご要望で、セルロースファイバーを採用しています。」
ほんの少しの違いですが、ガラリと雰囲気が変わったのがお分かりいただけるでしょうか?
これはホームページの言葉だけではなく、
・イベント内容そのもの
・営業トーク
・商品開発
など、すべてにおいて必要な視点になってきます。
工務店さんがせっかく持っている【家づくり】というウルトラ・スーパー・デラックスな得意技。
自社の《正義》のためではなく、
【誰のために使うか】を真剣に考えてみてください。
★今日のまとめ
工務店のこだわりは大事。
でも、自分目線のアツい想いは、押し付けがましくなる
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