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日本の新車販売の概況と株価連動

この記事の内容は金融商品取引法に基づく開示資料や投資勧誘を推奨するものではありません。この記事から得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等の一切について責任を負いません。投資は自己判断、自己責任で行ってください。

一般社団法人日本自動車販売協会連合会によるブランド別新車販売台数概況の最新データが3月1日に発表されました。2月のブランド別新車販売台数概況から乗用車の前年比についてのデータを抜粋してグラフにしています。

図1,2023年10月~2024年2月までの乗用車の新車販売台数の前年比

図1を見ると、本田が1月から急激に前年比が伸び始めています。逆にダイハツは不正問題があり急激に前年比が下がっています。連動するように親会社のトヨタとグループブランドのレクサスも不正問題が影響しているのか1月から前年比が落ちています。

それでは、株価を見てみましょう。

図2、10月~3月までの株価の推移 ※訂正:mastudaではなくmazdaでした。

 図1は株価の推移を10月初めの営業日を基準として正規化しています。トヨタはダイハツ不正問題など感じさせない上昇率ですね。未だ圧倒的です。株式市場は不正問題を大きな問題としては見られていませんね。日産自動車と三菱自動車はまだ10月初めの株価を超えておらず低パフォーマンスとなっています。それ以外の自動車メーカーは徐々に上がり始めています。
次は現在の各社のPER,PBRを見ていきましょう。

     表1,各社の3月2日のPER,PBR、ROEと代表値

スズキのPERとトヨタのPRB、三菱自動車のROEが各々最大値となっています。三菱自動車のPER、日産のPBR、日産のROEが最小値となっています。
図2で株式市場で低パフォーマンスとなっている日産自動車はROEを見てみると納得がいきます。実際にPER,PBRともに最小値となっています。しかし、株式市場で低パフォーマンスの三菱自動車ですが、ROEは最大値となっています。しかし、PERは最小値となっています。

この2社ですが実はもともとは関連会社となっているのです。日産自動車は三菱自動車の株式を33%程度保有しており関連会社の関係となっていたのです。さらにこの関係にルノーが入ってきます。日産はルノーと資本関係は対等となっています。とりあえず、日産自動車と三菱自動車の二つの共通点を探すため中期経営計画みてみると「車の電動化」「電動化を推進し多様な選択肢と体験を提供」と電気自動車を推していますね。最終的にBEVを目指しています。

それでは他社を見てみましょう。調べてみると面白いことが分かりました。
トヨタとスズキは資本提携しており、マツダとは業務資本提携、スバルはトヨタの関連会社、日野自動車とダイハツは子会社となっています。トヨタ凄いですね。こちらも中期経営計画を見ていきましょう。中身を見ると「電動化とソフトフェア化」がキーワードでみられます。こちらもBEVを目指しています。
どちらをみても電動化がキーワードとなっており業界全体がそちらへ向かっているのですね。しかしトヨタの中期経営をみるとFCEV(燃料電池車)やCNF(バイオ燃料車)なども選択肢として残しています。

残りは1社です。そうです、本田技研です。こちらは「パワーユニットのカーボンニュートラル化」で最終的にはEVとFCEVにするそうです。
このEV車はソニーと合弁会社を設立し「モビリティ空間を感動空間へ」をビジョンに進めているそうです。

どちらにしても各社は電動車を目指していることは間違いないです。そこで問題となっているのが電池です。各社が研究開発を行っていますが「全固体電池」がキーワードとしてよく出てきます。各社の開発状況を見ていきましょう。

特許情報を見てみますが、数が多いので申請・審査中の物も含めてフィルタリングに引っかかった件数を採用しています。さすがに一つ一つ中身の精査はできませんので、共同申請している特許もあり、一応被っている物もあります。

    表2,全固体電池でヒットした特許申請、認定件数

表2の結果を見るとトヨタが相当多いですね。とりあえず全固体電池で電気要素などの項目で検索に引っかかった数ですが圧倒です。

図2の順位をみるとトヨタ、スバル、スズキ、ホンダ、マツダ、日産自動車、三菱自動車となっています。上位はトヨタと関係性がある企業と独立している本田となっています。下位は日産、三菱の連合となっています。

 市場は今のところトヨタとその関係企業に関してバリューを見出している可能性がありますね。ただトヨタの圧倒的な株価上昇は指数に採用されていたり色々な要因も入っていますので一概には言えません。他にも単にまだ時間軸としては直近情報の新車販売台数の低下を織り込んでいない可能性もあります。
さらにいえば、今後は三菱自動車や日産のBEV戦略に対して何か大きなインパクトがある材料が出てくる可能性もあります。
このように市場には思惑が渦巻いていますので、株価にはトレンドや企業間の資本関係、企業戦略など多様な要因が影響しています。


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