#0 tomiくんの場合
色んな人を好きになって、色んな人と付き合ったけど、私の最初で最後の恋は今振り返るとこの人しかいないって人がいる。
それがtomiくん。
年上のおにーさん。
習い事の会場で煙草を吸っているとき、換気扇の下にいるtomiくんを狙って話しにいっていた。
たまたま、彼が車で家まで荷物をとりに帰るとき、無理矢理連れていってもらった。我が儘。
その時、tomiくんのパーカー着ないやつ貰えて、めっちゃ嬉しくて土日はそれしか着なかった。勝手にtomiくんの大きなサンダルを履いて、嬉しくてその写真をとって大事にしていた。
習い事でtomiくんから教えてもらうとき、たまたま肩にtomiくんが触れるときがあった。
その瞬間、顔が熱くなったのを覚えている。
自分でも信じられないぐらい、赤くなったのだ。
tomiくんとは付き合いたいはなかったけど、年上で持ち家があったから、付き合わず結婚なんてすごいことも妄想していた。
写真が嫌いなtomiくんが1度だけ2人で撮ってくれたのは、もう飛び上がるほど嬉しくて、今でも大事にとってある。
tomiくんからみたら、本当にただの年下の手がかかる子ども。
ある日、突然tomiくんに会えなくなる。
来なくなる。
彼はいきなり辞めたのだ。
繋がりがなくなって、でも忘れられなくて、
高校生に進学した時、勇気をだして何人かでtomiくんに会いに行ったことがある。
変わらない笑顔に変わらない様子。
でも、もう戻らない。
それからtomiくんとは会ってない。
もう、家の場所も職場もパーカーもサンダルの写真も手元にないけど、あの触れられた熱さだけは覚えてる。
いまだに色褪せてない。
これが私の恋だったのかなとわかったのは、もう、うんと大人になってから。
とっかえひっかえの愛情ボックスためため女が大人になり、あの恋い焦がれる感じが本当の恋だったのだと。
それを一瞬でも味わえたのはラッキーだったのかもしれない。