TENETテネット(ネタバレ考察)
"場所" か "時間" かの違いがあるだけで、要は行って帰ってくるだけの話…ある意味これは、超難解な【マッドマックス/怒りのデスロード】だ!
…ということで、その行く(巡行)と帰る(逆行)の定義やルールなど、初見からいきなり細かなファクターを解明するつもりで観ていると難解すぎてついていけなくなるので、まずは単純に行って帰るだけの "マッドなノーランの時間のデスロード" を楽しむつもりで鑑賞することをオススメ!それで話の流れはある程度理解できるし楽しめるハズです♪
1周目クリアで話の流れがある程度理解できたら、次はいよいよ2周目に突入!1周目クリアで(脳内の)ロックが解除され、謎を解くキーワードが(脳内に)追加!
…と、いうことで、あくまで記録として物語をまとめてみます。
最重要キーワード
○エントロピー
元々「熱は温度の高い方から低い方へ流れる」という熱力学がベースの概念。近年はこの映画のように熱を含め "時間" という広義に解釈されることが多い。
我々の世界においてエントロピーは常に増大し続けていて、減少することはない。では増大するとどうなるのか…端的に言うと、時間が前に進む♪
○アルゴリズム
ある科学者が開発した、そのエントロピーを減少させる…つまり時間を後ろに進ませる装置で、これを起動させるとこの世界のエントロピーを完全に逆転させることができる。悪用される事を恐れた科学者が、9つに分解して過去に存在した核保管施設に隠し、自殺したとされている。
この "エントロピー" と "アルゴリズム" の2つのワードが、今作【TENETテネット】の重要な基礎♪それだけ解っていれば、この映画も100%理解不能…という事にはならない…ハズ♪
重要キーワード
○回転ドア
エントロピーの増大と減少を切り替えるドア型の装置。ここを通り抜けることで時間の巡行した世界と逆行した世界を行き来することができる。作られた経緯は謎。
○第三次世界大戦
地球が将来滅亡する事を悟った未来人が、アルゴリズムによって時間の流れを逆転させ、過去に遡って生きようとする事で起こる、巡行する人類と逆行する人類の戦争。
○逆行弾
逆行する世界から回転ドアを通って巡行する世界にやってきた銃と銃弾。銃以外にも回転ドアを通ってやってきたアイテムは全て、巡行の世界においてはエントロピーが減少した動きを見せる。
最重要登場人物
○主人公/名もなき男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)
CIAのスパイ。後に秘密組織 "TENET" を立ち上げる。
○ニール(ロバート・パティンソン)
ムンバイの任務で "主人公" の相棒として登場するが、実は未来の "主人公" からの命受け、時間を逆行してきた彼の部下。
○セイター(ケネス・ブラナー)
ロシアの武器商人。北シベリアの地図にない街「スタルスク12」出身。10歳の頃に街にあった核施設で事故が起き、散乱したプルトニウムの発掘作業をしていた際、9つに分解された "アルゴリズム" の収集を依頼する未来人からの手紙を受け取り、それから現在に至るまでパーツを集め続けてきた。キエフ国立オペラ劇場にあった "プルトニウム241" という核物質に偽装された物が最後の1つ。
○キャット(エリザベス・デビッキ)
セイターの妻で美術鑑定士。キャットの不倫相手だったアレポが描いたゴヤの贋作をセイターに売りつけた(知っていてわざと買った)事をネタに警察に売ると脅され、息子のマックスのことも含め彼の言いなりになっている。
物語の流れ
① キエフ国立オペラ劇場
★テロリストが襲撃するオープニング。実は2008年にロシアの核施設から盗まれた "プルトニウム241( "実際はアルゴリズム" のパーツの1つ)" を所有している武器商人から、テロを装って強奪しようとセイターが送り込んだ部隊と、CIA×現地警察との戦闘。
★その際、リュックに赤い紐のストラップを付けた謎の兵士による "逆行弾" で命を救われる。
CIAの部隊の中に秘密組織TENETの部隊が紛れていて、テロの制圧と同時進行で「第三次世界大戦」を防ぐ任務を遂行するエージェント発掘テストが行われていた。
同時期に起きていた事象
→「⑪ベトナム」でのセイター、キャット、マックスの洋上スルーズ
→「⑫スタルスク12」での時間挟撃作戦
②某所( TENETの研究施設)
テストに合格した "主人公" は、"TENET" の研究員バーバラから逆行弾を使った時間の逆行について学び、後に起こる第三次世界大戦を阻止する任務を命じられると同時に、"主人公" の仲間は皆ロシア人に捕まり殺されたと告げられる。(その際、セイターが自殺ピルを入手?)
③ ムンバイ
銃弾の製造元がインドのムンバイだと判明。現地の武器商人サンジェイ・シンに会うため、TENETのエージェント、ニールと合流。
武器商人の黒幕プリヤに会い、ロシアの謎の武器商人セイターの存在を示唆され、彼を知るというロンドンの諜報員クロスビー(マイケル・ケイン)を紹介される。
④ ロンドン
クロスビーから、セイターには簡単には会えないが、妻のキャットを介してなら可能性はあるとの助言を受け、ゴヤの贋作(2枚あるうちの1枚)を受け取りキャットの務める美術館へ…
キャットの口から、セイターとの冷えきった夫婦関係と贋作詐欺をネタに脅されている事実が語られ、その際に「⑪ベトナム」の洋上スルーズの件も語られる。
★「険悪だった夫婦仲をその旅行で修復しようとしたが、やはり上手くいかず、言い争いの末に息子のマックスと2人で船を降りた。セイターに呼び戻されてクルーズ船に戻ると、知らない女が船から海へ飛び込む姿を目撃。セイターも姿を消していた」と。
セイターが送り込んだ護衛に邪魔され会食が中断するが、翌日マックスの保育園で再びキャットに接触。セイターが保管しているその絵画を盗み出す事を条件に、彼との仲介役を依頼する。
⑤ オスロ空港・フリーポート(巡行)
アレポの贋作が保管されているという、セイター(SATOR)が設立した会社「ロータス(ROTAS)社」が管理する、資産家の間で主にタックスヘイブンとしての役割を担っている空港内の美術品が保管されたエリア。中心部に回転ドアが設置されている。
★ジャンボジェットをジャックしてフリーポートに衝突させ、その隙に乗じて絵画を強奪する作戦だったが、保管庫の中心部で回転ドアから飛び出してきた謎の2人(未来から逆行してきた "主人公" が、その回転ドアを使って巡行に戻ったため、2人同時に現れたように見えた)に襲われ失敗。
⑥ アマルフィ
キャットに絵画の強奪に成功したと嘘をつき、キャットの愛人のふりをしてセイターとの接触に成功。"プルトニウム241" は近いうちタリン警察が核保管施設に移送する事をセイターに告げ、それを強奪するからパートナーにしてくれと懇願。
★セイターが逆行する金塊の入ったケースを受け取る場面を盗み見していたのがバレて取引が破談しかけるも、セイターは続行を決意する(セイターは未来で起こる出来事を知っていて、絵画を事前にオスロのフリーポートから外へ運び出していた。なぜ知っていた?)
⑦ タリン(巡行)
ハイウェイで "プルトニウム241" の強奪に成功した、「BMW」に乗った "主人公" とニール。しかしそれが入っていたケースを「Audi」に乗った逆行するセイターに奪われ、セイターは「Benz」に乗り換えキャットを置いて逃亡。しかし中身は「Audi」同様に逆行してきた「謎の車」に投げ込み、セイターの手に渡るのを防ぐのだが、自身は拘束されてタリンのフリーポートへ。
そこで "主人公" は、逆行セイターに逆行弾で撃たれるキャットを窓越しに目撃。そして逆行セイターから「ケースは空だった。 "プルトニウム241" どこだ?」と問われ、「BMW」の中だと嘘をつく。
※折り返し地点
⑧ タリン(逆行)
キャットを逆行させれば傷が回復することを告げられた "主人公" は初めて回転ドアをくぐる。そしてまずはカーチェイス中に逆行する「謎の車」に投げ込んだ "プルトニウム241" を回収するため、入口に止められた「SAAB」に乗りハイウェイを目指す。
空のケースを積んだセイターの「Benz」を追跡し、その後に乗り換え(戻っ)た「Audi」と、巡行する自分が運転する「BMW」とのカーチェイスに巻き込まれると、「SAAB」の後部座席から "プルトニウム241" が、「BMW」に吸い込まれていくのに気づく。巡行する自分が "プルトニウム241" を投げ込んだ「謎の車」は、逆行する自分の運転する「SAAB」だったのだ。
「Audi」と接触し横転した「SAAB」に火を放つセイター。エントロピーの減少でフロントガラスが徐々に凍りつき、"主人公" は低体温症で意識を失う。"主人公" が "プルトニウム241" を探しに戻ったことが結局、セイターに差し出す事になってしまった。
⑨ オスロ空港・フリーポート(逆行)
目を覚ますとコンテナの中。キャットとニールとともに逆行しながら、巡行の "主人公" たちチームがジャンボジェットで突っ込んだ直後の、警備が手薄になったオスロ空港のフリーポートを目指す。
特殊スーツを着て、消火活動中のフリーポートに潜入した逆行の "主人公" はそこで、贋作絵画を回収しにきた巡行する過去の "主人公" とニールに遭遇。
★過去の "主人公" との格闘の末に回転ドアへ飛び込み、巡行に戻ったところで過去のニールの追跡を受けるが、正体がバレた事で逆に見逃され、逃げ切る。
"主人公" が巡行に戻った事を確認したニールは、キャットを乗せたストレッチャーを押してフリーポートに侵入し、回転ドアを通って巡行に戻る。
⑩ TENET洋上施設Magne Viking号(逆行)
キャットからセイターが末期の膵臓癌だと知らされた "主人公" とニールは、彼の死亡と同時にアルゴリズムが起動する事(誤)…その最期を迎える場所が、数日前に家族で訪れたベトナムだと予想。
セイターはそのベトナムで、キャットがマックスを連れて船を降りた直後にどこかへ消えたらしい。彼は同日に起きていた①へ "プルトニウム241" の回収に向かい、その直後に未来から逆行してきたセイターがそこへ戻ると予想。
彼の自殺を食い止めるため、彼が戻る前にキャットをベトナムへ向かわせる。その際 "主人公" はキャットに、危険を感じたら記録を残すようにと、記録媒体を手渡す(⑬へ)
⑪ ベトナム
キャットとマックスがクルーズ船を離れ、セイターがヘリで飛び立ったのを確認してから逆行してきたキャットがクルーズ船に乗り込むと、その直後、同じく逆行してきたセイターがクルーズ船に到着。
必死に親密さを装いセイターを自殺から遠ざけようとするキャットと、その合間に「仕事の電話」をするセイター。しかし彼の勝ち誇った顔に怒りを爆発させたキャットがセイターに発砲。甲板デッキから海へ放り出し殺害。
⑫ スタルスク12(巡行・逆行)
①と⑪と同日、スタルスク12で爆発が観測されていた。セイターがそこにアルゴリズムを埋め、自らの死と同時に起動させるつもり(誤)だと判断したTENETは、起爆する10分前からアルゴリズムの奪取にかかる巡行("主人公")チームと、起爆時間から逆にセイターの軍隊を排除しつつ10分間さかのぼる逆行(ニール)チームによる "挟撃作戦" を展開。
★別ユニットの "主人公" とアイヴスが爆心地に侵入すると、鍵のかかった鉄格子の向こうにセイターの部下ヴォルコフと一体の遺体。その遺体のリュックからは、①において逆行弾で "主人公" の命を救った男がぶら下げていたのと同じ赤い紐のストラップが…
ヴォルコフが "主人公" に対して発砲した瞬間、まるで "主人公" を守るようにその遺体が起き上がり、その弾丸を体に受け、鉄格子を解錠してエントロピーの減少した(逆再生の)動きで洞窟の外へ向かって行く。
※この部分を分かりやすく解説します。
まずこの弾丸は至近距離から撃たれたことで貫通して地面に突き刺さっている…もしくはアイヴスの防弾ベストに当たったと考えられます。要は⑦タリンのフリーポートでキャットが撃たれた場面を、キャットの目線でエントロピーの減少した(逆再生の)動きで見ていると思ってもらえればいいかもしれません。
エントロピーの増大した(巡再生の)動きでここまでやってきたニールは、すでに開放された柵の向こうでエントロピーの減少した(逆再生の)動きでバトルしている "主人公" とヴォルコフのすぐ近くで待機します。
その後、"主人公" が柵の向こうに出たタイミングで鍵を掛けると、同時に地面(アイヴスの防弾ベスト)に突き刺さっていた弾丸が飛び出し、ニールを貫通してヴォルコフの銃に戻ります。そしてそのままニールは絶命。
エントロピーの減少した(逆再生の)動きでそれを見ると、突然起き上がったニールがヴォルコフの弾を受けたと同時に柵の鍵を解放し、そのまましばらくその場で待機した後、出ていった…となるワケですね♪
ヴォルコフとの戦闘の末、本来アルゴリズムを埋めるハズだった穴にヴォルコフを突き落とした "主人公" は、逆行から巡行に戻っていたニールの助けで、アルゴリズム共々、無事、爆心地からの脱出に成功する。
作戦終了後、3分割したアルゴリズムを "主人公"、ニール、アイヴスの3人が持ち、各々がその場を立ち去ろうとすると、ニールのリュックから赤い紐のストラップがぶら下がっている事に気づく。
"主人公" が全てを悟り、ニールを呼び止めると、未来の "主人公" の指示で現在まで逆行してきた事…そしてこの壮大なる挟撃作戦が、未来の "主人公" の指揮の元、行われていた事が告げられる。
⑬ ロンドン(キャノン・プレイスNW3)
マックスを迎えに来たキャットを離れた場所から監視するプリヤ。「知りすぎた」という理由でキャットを殺そうとするが、そこに "主人公" が現れる。
「なぜここが!?」と驚くプリヤに記録媒体に録音されたキャットの音声(時間と場所)を聞かせると、まさ目の前のキャットがその記録媒体にその音声を記録していた。
「私が黒幕だ」とプリヤに告げた "主人公" はプリヤを射殺。キャットとマックスは何が起きたのか知る由もなく、手を繋いでキャノン・プレイスNW3を後にする。
さて、ざっと話の流れを順に追ってみました。所々他の鑑賞者との意見の相違や間違ってる部分があるかもしれませんが、おそらくそれは話の流れに全く影響しない小さな誤差だと思うので、是非とも広い心で♪
そして、どうしても気になる「謎」の部分…その中には考察サイトで触れられていても、明確な答えが出せずに流されているモノもあれば、全く触れられていていないモノ(No Touch!)も…
それではその一つ一つを考察していきたいと思います♪
考察ポイントA【セイターの背後にいる黒幕の正体】
9つに分解されたアルゴリズムの収集をセイターに指示し、金塊を送っていた未来人はいったい誰なのか?
これは誰もが思う謎です。各サイトを見る限り "主人公" だという説が一番有力ですが、「ではなぜ "主人公" なのか?」という疑問の答えにまで行き着いていない印象です。
セイターは未来で起こる出来事を知っていた。それが金塊と一緒にその情報も未来から送られてきているのだとしたら、⑤オスロのフリーポートで絵画が強奪される事を知っていた人物…つまりセイターのすぐ近くにいる人物が彼のバックにいる黒幕だという事に…
考察ポイントB【起動しないアルゴリズムの謎】
セイターの体内に埋め込まれたキルスイッチ。彼の心臓が止まると同時にアルゴリズムが起動し、世界の逆行が始まる…とセイターは言っていましたが(誤)、実際に彼が死んでもアルゴリズムは起動しませんでした。
これはどういうことでしょうか?これに対しては考察サイトで様々な考察がなされていました。
●演出の誤差で、セイターが殺された時には実は既にアルゴリズムは機能を停止していた。
●実は海に放り出されてもなお絶命しておらず、"主人公" たちがアルゴリズムの機能を停止させたのち、絶命した。
等々…しかしそのどれも納得できるものではありませんでしたが、この考察を書いている合間に覗いたサイトで、唯一納得できる記事を見つけたのでリンクを貼っておきます。
https://note.com/d_vvw/n/n4aa150eb7003#2uoYN
まさにこれが正解だと、6回目の鑑賞で確信!"キルスイッチ" のシステムを、自分も↑(誤)で書いたように完全に誤解していました。世間の考察記事を見る限り、おそらく誰もが…ただあくまでその部分に関しては…です♪
考察ポイントC【「アナ」という名の女】(No Touch!)
この映画でたった二度だけ登場する「アナ」という名前…記憶にある人はいるでしょうか?この名前が出てくる場面は終盤の⑪ベトナム(とはいえ実際には同じ場面で二度出てくるので、ほぼ一度といっても過言じゃありませんがw)
未来から逆行してきたセイターがヘリでクルーザーに降り立った後、マックスと一緒にクルーザーを降りたハズの(未来から逆行してきた)キャットの姿を見つけた後の会話…
セイター「マックスはどうした?」
キャット「あの子はアナと一緒よ」
そしてマックスの様子を確かめるために部下に電話を入れた後の会話…
セイター「船員は(マックスは)君と一緒だと思っていたそうだ」
キャット「(呆れ顔)…(船員は)アナと間違えたのね。でもあなたなら、彼女と私を間違えないわよね?」
これはどういう意味でしょう?「アナ」と「キャット」…普通の人には区別できないほどよく似ているけど、キャットを愛するセイターにはちゃんと区別できるハズ…と、言っているように聞こえませんか?つまりキャットには「アナ」という名の双子がいた!?
さらに深読みするならば、実はキャットもニール同様に "主人公" 以上に事態を把握していて、未来から逆行してきた自分自身の存在にも気づいていた。それが危うくセイターにバレそうになり、双子だと誤魔化した…と、捉えられなくもありません。
ただそれにはちょっとムリがあって、もしそれが事実だとするなら、セイターはキャットが双子だという事をつい最近まで全く知らなかったという事になります。
さすがに、あれだけの美女に双子がいたとなれば世間でいくらか話題にはなっているでしょうし、それにキャットの過去を調べれば、彼女が双子じゃない事などすぐにバレるでしょう。
双子は事実で、その事をセイターや部下たちも知っていた…と考えれば、キャットは自分が双子であることを利用して、「アナ」を表に立たせている間に別行動をとっていた…もしくは、逆に双子であることをセイターに利用されていたという可能性も出てきます。
つまり、我々がキャットだと思って見ていた女性は、実は「アナ」だった可能性もある…というワケです。もしそうだとしたら、これで話の流れは大きく変わってきます。
ひとつ「もしかしたら…」と思う場面があるとするなら、⑦〜⑧タリンのカーチェイスからフリーポートでの一連の流れでしょうか?
フリーポートで拘束され、最終的に発砲を受けたのが「キャット」…ハイウェイ上の「Audi」の中で "プルトニウム241" の受け渡しの交渉材料に使われたのが「アナ」…とは考えられないでしょうか?
その点以外、何か話が噛み合ってないな…と感じるシーンがあったら、もしかしたらそれはキャットではなく「アナ」だったのかもしれません…自分は気づいてませんが(笑)
考察ポイントD【"主人公" のある場面における言動と台詞に対する違和感】(No Touch!)
⑦のタリンのハイウェイでの場面。"プルトニウム241" を強奪し、ケースをこじ開けて中身を取り出した際の台詞です。
"主人公"「プルトニウム?何だこの形は!?」
ニール「それが狙いだ」
1回目の鑑賞時には気づかずスルーしたのですが、2回目以降は完全なる違和感として残っている台詞です。
なぜなら観た人ならご存知のように、"主人公" は一度、①のキエフ国立オペラ劇場で、これと全く同じ形のモノを見ているからです(ただこの時はまだ、"プルトニウム241" という名前は出てきていませんでしたが…)
もしかしたら翻訳の間違いかもしれん。英語がわかり、この場面の台詞を聞き取れた方に、ぜひお聞きしたい場面です。
これが正しい翻訳だったとして、どういう事でしょうか?確か①での反応はこうでした…
"主人公"「これなのか?」
マルタイ「間違いない」
ある意味似た反応でしたが、⑦の時に比べるとやけにあっさり受け入れたな…という印象です。もしこれが脚本の穴ではなく意図的に仕掛けられたものだとしたら、"主人公" は時間の流れに逆行して⑦→①の流れで動いていた…という可能性も出てきます。
考察ポイントE【セイターの過去と台詞における必要性を感じない設定】(No Touch!)
彼が10歳のとき、彼が住んでいた街スタルスク12の核施設で事故が起こりプルトニウムが散乱。その収集作業をしている際、地中から金塊とアルゴリズムの収集を依頼する指示書の入ったケースを見つけ、男を殺してそれを手に入れた…というのがセイターの過去の設定です。何か違和感を感じませんか?
この「男を殺して…」という設定は必要でしょうか?元々自分自身に送られてきた物なのだから彼が手に入れること自体に何も問題はありませんし、実際に彼が手に入れています。
そこに、例えば「その金塊を見られたから…」だとか「奪われそうになったから…」などの理由で「殺す」設定をあえて入れる必要性はあるのでしょうか?
さらにアマルフィでのセーリングでキャットに殺されそうになったセイターを "主人公" が助けた後、「放射線」についての話の中で、セイターは違和感のある発言をしています。
この時セイターは自分自身のことを「このアンドレイ・セイターは……」と、何故かフルネームで呼んだのです。まるで自分がアンドレイ・セイターなのだと言い聞かせるかのように…
これらの点から自分が感じたのは、彼は本物のセイターを殺してセイターの身分を手に入れた、偽物…ではないか?という事です。
ただ残念な事に、もし仮にそれが事実だとしても、そのピースが埋まるポイントがどこなのか…全く解っていません。
考察ポイントF【キャットのセリフ 「マックスは私の全て…」 】
ではもしキャットが、彼女にとって「全て」であるマックスを失ったとしたら…キャットは果たしてどんな行動に出るのでしょうか?
考察ポイントG【セイターのセリフ 「子供をもうけた事が私の最大の過ちだ」 】
これは⑪ベトナムのセイターが、⑫スタルスク12の "主人公" と電話で話していた時のセリフですね。では何が「過ち」なのでしょうか?場面的に単純に考えるならば、「子供を残して死ぬこと」を意味しているように思えなくもありません。
ただ、自分が死ぬと分かっていながらキャットから無理矢理引き離そうとするなど、マックスの将来を案じているのだとしたらその行動は不可解です。キャットが極悪人の犯罪者なら話は別ですが…
将来マックスを原因とした何か最悪の事態が起こる、その責任がセイター自身にある…と考える方がむしろ自然です。自分が真っ先に思い当たったのが「被爆」です。
セイターの膵臓癌による残り僅かな余命の原因が、彼が10歳の時にスタルスク12でプルトニウムの回収作業をしていた際の被爆にあるのだとしたら、それが子供に遺伝したとしても不思議ではありません。そして近い将来、そのマックスをも被爆が原因の癌で失うことになるとしたら…
そこで話は「F」の「マックスは私の全て…」に繋がってきます。マックスを失ったキャットは何をするでしょう?
そこで自分が辿り着いた、未来から金塊と指示書、そして(あくまでセイター個人にとっての)未来の情報をケースに詰めて送り込んでいた黒幕…つまり「A」の答えは、キャット。
何故か?彼女にとって全てであるマックスを失った事で、彼女は世界を消滅させようと考えたのではないでしょうか?アルゴリズムを起動させることで世界が逆行し、その結果世界が完全消滅する事は、⑧タリン→⑨オスロへ逆行しながら移動するコンテナの中でニールから聞いていました。
しかしアルゴリズムはすでに未来で9つに分解され過去に送り込まれてしまっています。そこで過去の誰かにアルゴリズムを集めさせようと企てます。
しかし問題は、過去でアルゴリズムが集まっても、未来でアルゴリズムのある場所が分からなければ起爆できません。そこでキャットは思いつきます。⑩Magne Viking号で "主人公" から手渡され、⑬キャノン・プレイスNW3で実際に使用し、自分の命を救ってくれた記録媒体を…
過去で自分の "居場所" を記録した音声が未来で拾われる…「B」の謎に答えを見出した考察記事(もう1回貼っておきます♪https://note.com/d_vvw/n/n4aa150eb7003#2uoYN)が、映画のラストシーンに隠された特大の伏線を炙り出してくれました!ありがとう!
そう考えていくと、セイターがマックスを、どんな手段を使ってでもキャットから引き離そうとしていた点にも腑に落ちます。
では何故キャットは、アルゴリズムの回収を依頼する相手に、あれほど嫌っていたDV夫のセイターを選んだのでしょう?
一つは完全なまでに自分を支配していたセイターを、今度は逆に支配してやる!という思いもあったのかもしれませんが、本当の目的はもう一つの方にあったのだと思います。
同じ事を繰り返し、セイターを過去の自分と出会わせ、そしてこの世界にマックスを誕生させる…それが全てだったのではないでしょうか?
ここに一つ、この物語の核となる巨大なループが完成しました。ただ問題はこれで終わりではありません。
未だ「C」「D」「E」に納得できる答えが出ていませんし、何より何故 "主人公" はTENETを組織し、未来と過去からの挟撃作戦を実行するに至ったのか?という最大の疑問にまで辿り着いていません。
誰か頭のいい人!解ったら教えて!
という事で、自分も円盤が発売された後に何度も見返して謎を探っていこうと思いますが、今回は一つの大きな謎に納得できる答えが出せたので、ここで考察の第一章を締めさせて頂きます。ありがとうございました!
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