訪問美容を知ったとき




訪問美容は美容師になる前から知っていた。


何なら、美容学校に入学する前から。

美容学校のオープンキャンパスで存在を初めて知った。

我が母校日本美容専門学校のオープンキャンパスでは、クリエイター美容師先生集団によるヘアショーライブパフォーマンスが行われたり、在校生アシスタントから教わりながら実技を体験することができる。

今でもあの衝撃、感動は心に残っている。

世界を舞台にコンテストで名だたる賞を受賞している先生方のクリエイティブを目の前に、当時田舎の小さな世界しか知らない高校生の私にはとても煌びやかで憧れの存在となった。

と、この様に解説風に言葉を並べることはできるが、本当にその時の感情を分かりやすく表現したいとなると

「や、やべぇ、す、すげぇ」

と言葉を知らないバカの感想が一番ストレート。

でもこの言葉にならないワクワク、ドキドキ感というのは直感的で、今でも私の軸となり導いてくれるものでもある。


オープンキャンパスでは一通りショー見学や実技体験などが終わると、先生と在校生とお話しできる機会が与えられる。(この時もうすでに憧れの先輩方とお話しできるなんて、好きなバンドのライブを一列目で見れる様な喜びだった。)

正直どんな話を交わしたか詳細までは覚えてないが、とにかく楽しい毎日で自由な風潮が素晴らしいということだった。

そしてクリエイター集団の中のお一人、ボス的存在とも言えよう、明らかに学校の"先生"とはまた違ったオーラを放っている方からのありがたきお話しタイムが始まった。

「美容は人に感動を与えられる」

おっしゃる通りだ。

実際今ここで与えられた側の人間なのだから。

どうやらこの学校には2年で美容師免許を取得するための授業を終えた後、3年目の特別コースがあるらしい。2年間では学べないことをさらにもう1年。

そのコースの授業の一環で、学生みんなで老人介護施設へ行き、おばあちゃんたちにお化粧やネイルを施す体験カリキュラムがあるそう。

「ある方に真っ赤なネイルを塗ったらね、笑顔で『きれいだね』とおっしゃったそうですよ。施設のスタッフさんからとてもお礼を言われました。『ここ最近元気がなかったんです、こんなに笑顔でお話しているのは久しぶりに見ました』と。あぁ、美容は生きる活力にもなるんだと、教えていながら美容に携わっていながら気付かされました。」

確かこんな感じのエピソード。
(美化され私なりの解釈も足されているかもしれないが。)


私はこれを聞いた時にさらに感動したのだった。

それを教えてくれたこの場所で学ぶことができたら、自分はスペシャルなヘアスタイリストになれると夢見て、入学を決心し親へ頼み込むのであった。




そう、このエピソードこそが、訪問美容である。
今までは髪を切る美容師さんは美容室というお店の中にいる人だと思っていた。基本的にはそう。

美容師は厚生労働大臣から与えられる国家資格を所持合格したものが働くことができる。
そして、保健所が認めた美容室で施術が許されている。が例外がいくつかある。

美容師は、美容所で美容を行わなくてはならない。ただし、疾病等により美容所に来られない者に対して行う場合や婚礼等の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に行う場合、その他都道府県が条例で定める場合には出張して行うことができる。
 なお、出張専門で行う美容師も対象者がこの条件を満たす限り可能となる。美容所を開設・廃止するときは、都道府県知事(保健所設置市又は特別区にあっては、市長又は区長)に届け出なければならない。
 また、美容所は都道府県知事(保健所設置市又は特別区にあっては、市長又は区長)の使用前の検査確認を受けなければ使用してはならない。

美容師法(昭和32年6月法律第163号)




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