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蛍の光

彼と出会ったのは、5年前

同じくアプリで出会った。

何回か会って楽しかった。

夏の花火の日。

うちのベランダから花火が見えるから、一緒に見ようと誘った。

けれど、その日彼は来なかった。

「今日行けないわ」それだけ言って、来なかった。

掴めない人だった。でも、好きだった。

それから、半年ぐらい連絡を取らなくなり、更に半年後連絡が来た。その時彼から花火の日の事を聞くと、「あの日初めて体調が悪くなって、その後入院していた」

そんな事一言も聞いてなかったし、言わなさそうだし、それだったら許せると思いまた遊んだ。

そんな感じの事を繰り返していたある日、私は「結婚したいんだ」と言った。

彼とという訳じゃない話をしたけど、それからまた疎遠になった。彼から「結婚したいんだ。ごめん、時間奪ったな。」と言われて、疎遠になった。

そんな人とまた会っても同じく時間が無くなっていくだけなのは分かっていたけど、何故か嫌いになれなかった彼に連絡を久しぶりにとっていた。

そして、「彼氏もいないなら、蛍見に行こう」と言ってくれた。

久しぶりに会えた嬉しさと照れくささと

わずかな光の蛍と

手を繋いだ時の優しさ。

また好きになりそうで、そのあと連絡は取らなかった。

もしかしたら、蛍の光を見たあの日が本当の最後だったのかもしれない。


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