総合か専門か
こんにちは、株式会社 Ability Partners Consultingの和泉です。
昨日は結構な雪でしたね・・・
我が子は雪降る中、30分も遊んで、雪だるまを作って、
目をキラキラさせ、
鼻にもキラキラした雫を垂らしながら、
作った雪だるまを、家に持って帰ってきました。
寒いから帰りたい、が先に立つ親と比べると、子供は風の子というのは本当ですね。
さて、今回は、この10年の採用市場のトレンドにおいて、
個人的に変わったと思うことの一つについて書きたいと思います。
それは、全体の傾向として、
総合、オールラウンダー、ジェネラリスト、なんでも屋という「広く浅く」
より
専門、ブティック、スペシャリスト、職人という「狭く深く」
が、特に求められる時代になったという点です。
複合企業から専門企業へ
私が人材紹介のキャリアを始めた約10年前は、
日系・外資問わず、
家電から、産業用機械、IT、ヘルスケア、金融、サービス業に至るまで、
1社で、様々なビジネスを持つ、大手の複合企業(コングロマリット)が、
人気企業として名を連ねた時代でした。
・各社独自の規格が使用されていて、クローズドになっており、他社製品やサービスとの接続性や連携性が悪く、1社で1つのエリアを独占しやすい市場環境
・各社が、各地域(国)でNo1になれれば良しとされた時代(ガラパゴス化)
・儲かっているビジネスはどんどん買って数字を大きくしよう!というM&Aのトレンド
といった市場背景の中で、
・フルラインナップをそろえて顧客を囲い込める
・いずれかのビジネスの収益が悪化しても、その他ビジネスで補うことができる
といったメリットがあったからではないかと思います。
それが時代の流れとともに、
オープン化の必要性が問われたり、
各専門企業が成長して、複合企業の技術やサービスを凌駕し始めたり、
案外、各ビジネス同士がシナジーを生めておらず、本業の足を引っ張ることが増えてきたり、
等の背景から、
複合企業であることのデメリットの方が、目立つようになり。
近年、複合企業は、戦略的に、
本業と関連性の低いビジネスを売却し、
一方、
本業と関連性の高いビジネスを買収し、
総合系から専門系へと変化を遂げていったと言えるかと思います。
そして、競争よりは協業、
マーケットの各プレイヤーで、得意不得意を補い合いながら、
エコシステムを作る、
という形が、現在のトレンドになっているのではないでしょうか。
なので、同業他社へ転職しても、
昔なら
「裏切者!同業転職なんて訴えてやる!」
なんていうノリも多くありましたが、
今では
「同じ業界なら、またコラボとかできるかもね!」
なんていう温かい発想に変わってきたところも。
ジェネラリストからスペシャリストへ
企業の専門化、その流れと並行して、
各社の採用や育成においても、
ジェネラリストよりスペシャリスト傾向が強くなってきた昨今。
昔は、総合職やジョブローテーションという言葉が広く普及していて(今も存在はしますが)、
各部門や地域を一定の期間で異動させ、ぐるぐると色々経験させた上で、
横串で会社を見られるマネジメントを育成するという方向性でした。
(日系大手企業の一部では、今でもそのような採用があるらしいですが・・・)
1社で定年まで勤めあげるモデルであれば、それも素晴らしい経験だったのですが、
転職で特に求められるのは、「専門性」
そして、転職が一般化する中では、総合職としてゼネラリストの道を歩んでいることを、不安視されている方も増えてきました。
なぜ、転職で特に求められるのが、
「専門性」
なのかというところですが、
ある意味、自社内でゼネラリストを育成するのは、異動によって実現するため、比較的簡単な工程であり、
一方、専門家を育てるには、本人も周囲も、時間と忍耐が必要であり、比較的難しいからではないかと思います。
だからこそ、手っ取り早く、外から採ってこよう、となるわけです。
キャリア形成のポイント
主観も交じっていますが、理想的*なキャリア形成について。
*理想的という定義は、人によって異なるので、ここでは、あくまで一般的なキャリアアップ(年収や職位を上げる)、という点において理想とする。
【20~30代前半】
ある意味、何にでもなれる世代。
今の仕事があまりにも向いていないと感じるのであれば、
思い切ってキャリアチェンジしてもよいですし、
今の仕事が決して嫌いでなければ、継続する方が強みは磨かれるので、継続するのも勿論、吉。
【30代半ば以降】
キャリアの色がついてくるため、専門性を磨いていくのをお勧めする年代。
キャリアを広げるとしても、全く畑違いへのキャリアチェンジではなく、地続きのエリアに横展開、あるいは上位展開していくという形がベター。
また、仕事選びにおいては、年収・タイトル・社格など、入口のわかりやすい情報だけではなく、先々を見据えた時に、自身の経験や志向を活かし、伸ばしていける環境であるかどうかも、重要な選択の指標になります。
【ジェネラリストとしてキャリアを積んできた方】
ここまでの論調だと、
「なんだ、ジェネラリストはもはや要らないのか?」
と思われたかと思いますが、そうではありません。
ジェネラリストはスペシャリストをつなぎ、それぞれの能力を最大化する上で、必要な存在なのです。
特に、マネジメントにおいては、引き出しの多さにもなり、有効なスキルだったりします。
圧倒的に、縦軸で深いものを持っている専門家達は、意外と横への発想を持つことに疎かったりするため、
そこで、ジェネラルな発想は生きてくるのです。
ただ、ジェネラリストは、育成が比較的容易なために、マーケットに数が多いのです。
そのため、ご自身のキャリアが、比較的アーリーフェーズであれば、今から専門性を磨き、差別化を図る方がよいケースも、場合によってはあります。
あと残り10年であれば、ジェネラリストを突き詰めていく方がよいかもしれません。
いずれにしても、
「ジェネラリストとしての自身の強みは何か?」
を問いながら、キャリア構築をしていく必要性はあるかと思います。
新しい出会いの後日談
さて、昨年書いたNote「新しい出会い」
の後日談ですが、
嬉しいことに、この2つの案件とも、当社でお手伝いが叶いました!
たまたまのご縁、そして各企業様及び各候補者様が素晴らしかった、
という要素は勿論ありますが、
当社の「専門性」を生かすことができたからだということも、
自信を持って言えそうです。
これも、
飽きずに、ぶれずに、じっくりコツコツ、専門性を磨いてこれたおかげかなぁ、、、なんて。
最後はちょっとした自慢話のような終わり方になってしまいましたが・・・(笑)
これも、専門性を磨いた結果の、一つの好事例として、共有させていただきました。
とはいえ、キャリアは、人それぞれ。
前段では理想的なキャリアとは、など語りましたが、
人によって理想は様々。
結局、一般的な理想とずれたとしても、
それぞれの個性を活かせる選択ができることが一番。
そして、その個性はそれぞれ異なるので、画一的な話ではなく、
それぞれの方の志向やキャリアの目標をお聞きした上で、
一般論も絡めながら、ご提案させていただいております。
引き続き好事例を作っていきたいですね!
本日は雪道が凍って歩きにくいかと思いますが、皆様お気をつけて!