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6:30に起きると、畑を雪が覆っていた。その上に雨が降っていて、かえって鋭い寒さを感じた。山形の冬のようだった。
ゴミ出し、玄関の掃除、動線の確保、廊下をクイックルワイパーして、業者を迎える。8時ちょうどにきた彼らは、タバコの匂いを充満させた初老の3人組だった。それは今さっき吸ってきたような匂いではなくて、もう長年の喫煙で身体に染み付いてしまったような、ねばっこい匂いだった。1人が部屋に残り、ベッドの解体や全体のプランニングをしていた。エレベーターに運び込む人に向かって、穏やかで小さな声で返事をしている。ドアは開け放たれているため寒い。「ウチの小さいおじさんはどこ行きましたか?」と聞かれる。積み込み担当の人をそう呼んでいるらしい。「小さいおじさんがリーダーなんですよ。見えないってよく言われるんですけど」1時間ほどで積み込みが終わる。自販機で熱い缶コーヒーを人数分買って渡すと、小さいおじさんが両手でゲッツのポーズをして喜んでくれた。
僕らもどっと疲れ、フードコートでペッパーランチを食べた。スキー小屋での料理のように沁みた。引っ越しのおじさんたちにも食べさせたかった。
電車で彼女の新居に向かう。雨は止んで陽射しが暖かかった。家々の軒先から雪解け水が流れ落ちていた。サイトの不具合か何かで電気が通っておらず寒かった。ミスドで待とうと思ったら、引っ越しのおじさんがトラックを路肩に停めていた。「まだ荷物来ないんで、行ってきていいですよ」と言われる。ミスドは広くて、おばさま方のグループが談笑していたり、高校生が勉強したりしていた。田舎のミスドのようだった。レジ前で並んでいるところに電話が来て、買う前に戻る。今度はリーダーさんは若い女性だった。だいぶものを置いてきたので、積み下ろしの方が楽だった。ベッドの木枠のささくれでリーダーが怪我をして絆創膏とガムテープを貼っていた。こういうときどういう顔をしたらいいか分からなかった。今度は向かいのローソンでシュークリームを買って渡した。「指大丈夫ですか?ごめんなさい」と言っておいた。
電気が通って暖房がついた。少し荷解きして、寝る。起きてからスーパーで寿司を買って食べる。
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