4/21

局所的に見たら僕の怠慢というふうに見えるかもしれないが、大局的に見たら僕は全く悪くなくむしろ善だったのだ、ということを、どうやって、あなたにわかって貰えばいいのか。
怒られた。

全く反省していないので、返事はしなかった。
いくら僕が悪くなくても、怒られるとゲンナリする。
こんなゲンナリするのは、ナイーブすぎるから、やめたい。
暑い。
動揺していないと自分に言い聞かせるため、景色をじっくり眺めたりなどするが、それも動揺の顕れでしかない。
アスファルトで何かの実を運んでいるアリをじっと見つめる。

何かしようと思っても、腹だしさが湧き出てきて、手に付かない。
こういうときは掃除をするといい、と母親が言っていた。
寮はあと1週間で引き払うが、だからこそ、掃除をしてみる。
キャリーバックの車輪に、何かの雄花が巻き込まれていて、粉になっていた。
それも丁寧に取る。

投げやりに印刷をする。
この実習で心地のいい空間がなくなってしまった。
指示がないので、帰ることにする。
坂を昇り降りするだけで汗をかく。

京成線が混んでいる。高校の下校と重なったみたいだ。
駅ごとに乗ってくる高校生の制服と雰囲気が違う。
田舎の駅は一駅の間隔が大きく、電車でないと厳しそうだ。

自宅についてまた、掃除を始める。
自宅の掃除の方が建設的で気持ちがいい。
網戸や排水溝まで掃除する。
関節や筋肉が、いい感じに疲れる。
そのまま彼女を迎えに行く。

金曜の夜に蒲田で外食することは少ない。
だから、こんなに混んでいるとは知らなかった。
僕がいちばん好きなラーメン屋は空(す)いているというところがいちばん好きだ。
そこで食べるけど、夕食のラーメンはいつも、あきたりない気持ちになる。
家は檸檬堂の鬼レモンがあったから、スーパーでつまみを買うことにした。
ホタルイカのボイルが安くてそれを、笹かまぼこはちょっといいものを、さけるチーズを買った。
さけるチーズを口に入れてから食べるとそれぞれ美味い。
檸檬堂の鬼レモンはよくできていて、ガブガブ飲んでしまって結構酔う。

そのまま二人とも気づかぬうちに眠っていて、
起きたら1時だった。

お風呂に入ってからテレビをつけると、2時で、テレ東で、知らないアイドルとコウメ大夫が叩いて被ってじゃんけんぽんなどをしている番組をやっていた。2人でそれを見る。何かに似ていると思うと、彼女が
「教育実習生とそれをイジる陽キャ女子高生にしか見えない」
と言って、その通りだと思う。
エロくならないようにする意識が透けていて、ツイスターゲームなどをやっているが、コウメ太夫はキャラクターに入りきって、憮然とした態度で、無闇に痛がったりしている。
被害者面していて、コウメ太夫は実際被害者なのかもしれないが、その困り顔で全てを乗り切ろうとするのはやめろ。コウメ太夫の持ち込み企画なのに、ノープランで臨んでいるみたいで、ひどい構成になっていた。
そのアイドルは5、6人組でそれぞれ色分けがなされており、青と赤は無意識が垂れ流しになっているような子で、クラスの中心にいる人だ。腰掛けて、足を伸ばして、膝の辺りを撫でさすって、俯いている様は、体育館などで見たことがある。
紫の子は声が低く、Twitterを見ると慶應SFCと書いてあって、SFCまでわざわざ言うのは、技だと思った。
これを見ている、この子らの両親のことを考える。
この知名度で地上波で冠を持つのはすごい。
父親がきっと変なアドバイスとかを言って(コウメさんにこうした方が良かったんじゃないか)ウザがられるところを想像する。
この番組をここまで楽しんでいるのはわれわれだけだろう。終わりまで見る。

『街とその不確かな壁』が残りわずかだったので、読んでしまう。
想像していなかったくらいに良くて、人前なのに泣いてしまう。
とても良かった。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?