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彼女の家の周りには店が少ないのでコンビニ飯が続いていた。ビタミンやタンパク質が入ったジュースで誤魔化そうとしている。それで僕がくさくさしているというのもあって、ウーバーや外食をしようとしていたのだった。
明日引っ越しだが、だいぶ作業の見通しがたったというので、夜は吉祥寺に行くことにした。もがめ食堂という、人気の定食屋に行く。ひと組分だけ外で待って入った。銀ジャケの西京焼きと海老マヨの定食を頼む。サッポロ黒ラベルの小瓶も頼む。定食にビールをつけると、食事と晩酌二つのレイヤーが存在することになり、忙しく、幸福だ。
ジュンク堂で欲しいものを買ってしまう。彼女の家に貯金箱があって、その処理に困り、彼女の昼食代を立て替えたこともあり、中の小銭を全部もらっていた。財布は小銭ではち切れそうだった。それを自動精算機に全部入れて、一冊買いたかった。そうして、ぎりぎり買うことができた。
それから彼女の家に戻ると、とても明日引っ越し屋を迎え入れるようには見えなかった。彼女は自分での引っ越しが初めてだった。それで引っ越しのイメージがあまりできていないのだった。僕も初めてのときは全くわかっておらず、母親が全部やった。2回目は少し自分でやったが、それでも色々と足りていなかった。それを思い出した。僕は引っ越しの重大さをわかっていたので焦っていたが、彼女にはそれがイメージできていないということが、僕はわかっていなかったのだった。それを認め合い、今週それぞれが蟠っていたことに慰めを与えた。最後の仕上げは僕が主導でやることになった。夜の1時までにはなんとか形になった。明日は8時に業者が来る。それまでにゴミ出しとかをするから6時半には起きる。彼女が今週喧嘩した時に母親にLINEで言っていたということを聞き、僕は「今日は僕が八面六臂の活躍を見せてなんとか引っ越しの体制ができたって報告して、それで釣り合いをとるようにして」と半ばふざけて、半ば本当に言った。色々話していたら3時くらいまで眠れなかった。明日は頑張るしかない。
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