新チベット仏教史―自己流ー

チベット仏教―ツォンカパー
その1
 ツォンカパは、実は、あだ名みたいなものです。意味は、ツォンカの人。正しくは、ツォンカパ・ロブサンタクパ(Tsong kha pa blo bzang grags pa, 1357-1419)と言いいます。ロブサンタクパは、「智慧(ちえ)優(すぐ)れたことで知られた者」を意味します。チベット仏教の中で、最も有名な僧なので、ご存じの方も多いでしょう。彼は、今日、ゲルク派と称される一派の開祖(かいそ)です。ゲルク派は、ダライラマの所属する派ですから、チベット仏教の正統派中の正統派ととらえてかまいません。ツォンカパは、前代のチベット仏教を超えた宗派を形成しました。彼が新宗派を開いた意義については、多くの研究が蓄積(ちくせき)されています。いわく、「ツォンカパは、堕落(だらく)していた仏教の規律を正した」、いわく「密教と顕(けん)教(きょう)の融和(ゆうわ)を実現した」、いわく「中観の理解に新機軸(しんきじく)をもたらした」云々(うんぬん)。チベット仏教史の講義でもあれば、
詳しく解説されていることでしょう。オーソドックスな説明は、その講義や概説書にまかせ、ここでは、少し、違った観点からツォンカパに迫ってみたいと思います。

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