仏教論理学序説

その4

またまた脱線で申し訳ない。前回チベット仏教論理学にも触れたが、誤解を招きかねない当地の状況にも目を向けてもらった方がよいだろう。チベットはインド仏教の正統な後継者と考えるべきだろう。それ故、密教も盛んだったが仏教論理学も栄えた。この点、ダルマキールティの諸作品を一つも漢訳しなかった中国仏教とはまるで質が違う。ただ仏教論理学への評価は分かれた。『仏教史』で名高い大学者プトン(Bu ston,1296-1364)は、仏教論理学をそれほど評価しなかった。これに対しツオンカパ(Tsong kha pa1357-1419)は「論理学は解脱にいたるために必要不可欠である」と論じた。彼自身に仏教論理学に関する著作はないけれど、弟子たちは膨大な著作を残した。

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