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【書評】宇宙とぼくらがつながる時代 『ホリエモンの宇宙論 - 堀江貴文』

ライブドア時代からずーっと宇宙ビジネスを考えていたホリエモン
北海道大樹町(タイキ町)でロケット打ち上げに挑戦し続ける、堀江貴文氏擁するIST(インターステラテクノロジズ)社は、いまノリにノッている。
なぜかというと、2019年に入り観測用ロケットMOMO3号機を宇宙空間に到達するというマイルストーンに成功したことで、本格的な「運用」段階に入ったからである。
世間では、ロケットの成功に賑わい再び大きな注目を浴びる時期となったが、ここに至るまでの道のりは極めて泥臭く、地道という言葉で表現しきれないほど地を這うような行程を経てたどり着いている状況だ。

宇宙開発技術は進んでいるようで進んでいない?
そもそも、宇宙空間に向けてロケットを打上げるという実験が始まったのは、約90年も前にナチス・ドイツ時代のフォン・ブラウン博士を始めとする民間団体がさきがけとなっていたそうだ。
私からすれば、ガンダムの月面都市の話と捉えてしまう世代になるわけだが、むしろその元となる人がいて、昔も大昔に開発着手が始まったのである。
実際に宇宙競争やロケット開発が進んでいた時代は、米ソの時代に急速に進み、宇宙戦争と呼ばれたり、映画やドラマの世界でも宇宙ものが人気を博しているのだが、当時の宇宙開発というのは、国家間の争いの道具であり、最先端の技術を投入し続けて軍事的優位に立つことであったりという視点での競争が行われていたため、高額な税金が投入され続けた割には、民間レベルで宇宙に向けたイノベーションが起こせるほどの状況には至っていないのが現状のようである。
つまり、コストが高すぎるし、軍事転用にも結びつきやすい極めてセンシティブな分野であるため、ロケットを誰でも簡単に飛ばせないことがボトルネックになっているというわけだ。

インターステラテクノロジズは何を目指しているのか
IST社の代表 稲川 貴大(いながわ たかひろ)氏を始めとする現場チームが大樹町を本拠地としてロケット開発を進めている。
観測用ロケット「MOMO」の打ち上げが成功し、次は高度500Kmの軌道上に超小型衛星を運ぶことを目指す軌道投入ロケット「ZERO」の試験打ち上げに入るようだ。
創業者の堀江貴文氏曰く、宇宙における運送屋のようなものらしい。
「宇宙ビジネスと言って、スケールが大きすぎてよく分からないと言うけれど、我々は宇宙における運送屋を目指しているに過ぎない。クロネコヤマトさんや佐川急便さんのような存在として、宇宙へ荷物を届ける運びやさんのようなもの。」
スペースシャトルの打ち上げや月面着陸の歴史を見てきた私たちはモノゴトを一足飛びに捉えがちであるが、宇宙を身近な商業利用するという視点で考えると、宇宙産業の歴史を知り、ロケットを打ち上げる敷居がいかに高かったかを理解する必要があると同時に、宇宙空間にモノを運び、そこでどんなアイデアを実験することが出来るのか、という着眼点が必要だ。
むしろそのアイデアが無数に生まれるきっかけをIST社を始めとする民間ロケット会社がインフラ整備しており、これから無数の可能性が広がる時代にいよいよ入るのである。

ロケットが飛ぶ未来を想像してみよう
宇宙空間に人が行くというのは、NASAやロスコスモス(ロシアの宇宙機関)などごく一部の政府系機関や最近ではイーロン・マスク氏のスペースX社の話をなんとな〜く耳にするレベルだったのではないだろうか?
それこそ、ZOZOの前澤元社長が宇宙に日本の民間人として民間ロケットで行けるかもしれないよ!という状況で大盛り上がりするのが今の状況である。それは確かに凄いことだけれど、しかしである。
まだじぶんの身近な生活から程遠い、他人事の世界のような気はしないだろうか?
本書で述べられている世界は違う。確実に私たちの生活に変化を起こしうる未来を想定した宇宙の未来が見えるのだ。

『ホリエモンの宇宙論 - 堀江貴文』


このマガジンは、堀江貴文イノベーション大学校(HIU)の会員による、ホリエモン万博およびホリエモン祭の活動をお伝えします。