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リクルート創業者・江副浩正が教える「成功する起業家の20か条」

起業家人材輩出企業として有名なリクルートの創業者・江副浩正氏の名著『リクルートのDNA - 起業家精神とは何か』をときどき読み返すのですが、

特に何度も読んでいる部分があり、僕以外の人にもかなり役に立つのではと思い、本書より引用してまとめます。


これは、江副氏の考える「成功する起業家の20か条」であり、江副氏の主張するものなので非常に説得力があります。

また、リクルート社の社員や今の某社の経営を見ていてもこれから紹介する"江副の起業家精神"が叩き込まれている気がします。

それでは、以下より紹介していきます。

(ひとつひとつが長いので、各見出しは僕が簡単にまとめたものです。)


1.若い人材を集め、目標を共有し事業を進めよ

  当然だが1人では大きな事業は成し得ない。気力と体力のある若い人材を集め目標を共有して事業を推進すること。

リクルートといえば、魅力的な人材。たしかに、「気力と体力のある若い人材」がわんさか集まっているイメージがあります。



2.人材を集めるためにまず自らを磨け。誰よりも熱心に働くべし

  人がついてくることが大切だがそのためにはまず自らを磨くこと。必ずしもカリスマ的魅力がなくても、人がついてくるやり方を身に付けることができる。重要な事はメンバーの誰よりも優れた仕事を熱心にしていて、それを継続していることである。

江副氏はカリスマ的な感じではないと自ら語っています。「自分がトップであることが嫌だ」とか「社員皆の前で話をするのが苦手」という記述も本書にあります。

そんな江副氏は社内報で文章にして伝えたりすることも多かったそうです。



3.企業は人なり。メンバーをよく知り、"誰に何をどこまで任せるべきか"が重要

  "企業は人なり"という。優れた経営者の条件は、構成メンバーの人物をよく知り、誰にどの仕事をどのレベルまで要求するかである。自分と同じことをするようにメンバーに求める人がいる。考え方を同じにすることはできるが、起業家と同じことはできない。できる人がいればその人は新たな起業家になる。

自分と同じレベルを求めず、適切な仕事を任せよ、ということでしょう。

以前、ある上場企業の社長が「社員は自分の期待の50%の成果を出せば十分と思え。起業家は社員に期待しすぎる。起業家と一社員では基本的な熱量がぜんぜん違う。」とおっしゃっていたことを思い出しました。



4.日本初の事業が創業者利益を得られるからよい

  日本で初めての事業、創業者利益が得られる事業が良い。人の成功を真似した成功も不可能ではないが、とても難しいことである。

リクルートの創業事業である「就職情報」(現在のリクナビ)がまさにそうでした。今でもトップレベルのシェアを持っています。



5.変化する社会の要請に応えるものか自らに問い、他人にも問い続けよ。社会の要請に応えない事業は続かない

  変貌している産業社会の新しい要望に応える事業かどうかを自ら問いかけ、周囲の人にも聞くことから始めること。社会の要請に応えていない事業では、一時的に成功することができても続かない。

変化の速い社会ですが、数年後、数十年後も求められる事業となりうるか、そういうマーケットか、が重要であることは当然ですが吟味し続けたいですね。



6.多くの資本を必要としない事業からスタートせよ。資本の必要な事業は大企業のやる事業だ

  多くの資本を要さない仕事から出発すること。多くの資本を要する事業は大企業が担当する新規事業である。

インターネット関連の事業であれば、重要な経営資源は人なので、基本的に資本の要らない分類に入ると思います。

ただ、現在は起業当初でもメルカリのようにがっつり資金調達できれば大手企業よりも投資できる資金が豊富なケースもあるので、一概には言えませんが。



7.時間を有効に使うべし。仕事は優先順位をつけて優先すべき仕事から手を付ける

  人に平等に与えられたものは時間である。時間の有効な使い方を知らないと大きな成功は難しい。仕事は受付順にするのではなく大事なことを優先することが重要である。



8.失敗を恐れるな。人は起業をすれば失敗するもの。だがそれはチャンスだ

  失敗を恐れの勇気を持つこと人は起業すれば途中で必ずと言っていいほど失敗する。しかし、ピンチはチャンスでもある。ピンチにどう対応するかが成功するか否かの鍵である。部下の失敗にも寛容でなければならない。部下の失敗からも学ぶことが多いことを知っておくべきである。

必ず失敗はするが、そのピンチをチャンスに変えろ、とのこと。またそれは部下の失敗においても同じだと。


9.若く、かつ就職せずに起業せよ

  若くかつ就職しないで起業すること。人はその人がその時までに経験した延長線で物事を考えがちである。サラリーマンから見る経営者とその実像には大きなギャップがある。また、歳をとってからではやり直しは難しいが、若ければやり直しが聞く。ビジネスの経験がない白紙のほうが良い。無知から来る無謀が人にできないことを成し遂げさせる。また企業には体力と気力が漲(みなぎ)っていることが重要である。その面でも若い方が良い。 

もしかして、日本の学生起業家としてもっともデカい会社を創った人は江副さんですかね?


10.学歴や学業の成績は不要。

  大学の成績や学歴は関係がない。ただし、その人の知識とスキルは成功の重要なカギである。それを学び身に付けることが必須条件である。数多くの本を読むこと、事業計画を書き、それを人に見せて人の意見や助言を聞くこと。書くことで自分の計画を確認できる。 

学歴などは不要だが「学ぶ力」「成長する力」は非常に重要であると。

なんとなくリクルート創業者と聞くと、当時の学生起業家などほぼいないでしょうから"独力"でのし上がってきた強者という印象ですが、かなり先輩にお世話になりながら、本もたくさん読み学びながらリクルートを作り上げてきたのだなと、著書を読むとわかります。


11.経営哲学を社員と共有せよ

  経営哲学を社員と共有すること。そのためには自らの経営理念を周囲に熱く語り、社員と議論を重ね着なければ理念の共有は難しい。理念なき経営者の下では社員の心が一つにならない。 



12.コミュニケーション能力を高めること

  コミュニケーション能力を高めること。昨今はメールやインターネットが普及した経営者には受け手に理解される文章でメッセージを送る能力が求められる。メールは何度も書き直しができる。書くことで自分の考えを確認できる。コミュニケーション能力は学習によって高められるものである。 



13.話し上手であるとともに、「聞き上手」でもあれ

  優れた経営者は話上手であり、かつ聞き上手である。一方的に話す人を時々見かける。社員に話すときは、社員が何を聞きたがっているかを知った上で、わかりやすく話さなければ正確に伝わらない。



14.倫理観をもつこと。倫理観のない起業家は破綻する

  起業家に求められるものは倫理観である。倫理観のない起業家は、いずれ破綻する可能性がある。 

最近は倫理観のないベンチャーは晒し上げられて炎上するケースもあるので、倫理観ないと顕在化してしまい、採用に響く気がしますね。タイ全裸とか、未だにちょいちょい言われていますし。



15.健全なる精神は健全なる身体に宿る。健康であれ

  "健全なる精神は健全な肉体に宿る"と言う。起業家は、常に健康に留意する。例えば暴飲暴食をしないとかタバコは吸わないなど、健康をセルフコントロールしなければならない。

最近、僕もつくづく感じているところです。周りの若い起業家を見ても一生懸命働いて、働きすぎて体を壊して、「ああ、俺何やってんだ・・・」と後悔するケースが結構あるような気がします。



16.政治家とは一定の距離を保っておくこと

  経済と政治は密接に関係している。起業家が政治に関心を持つことが重要だが必要だが、私の経験から言える事は、政治家と一定の距離を保っておくことも重要なことである。 



17.コアビジネスに専念すること。本業ではないビジネスを安易にやらない

  起業家として成功した人で、例えばの話だが自らの事業と関係のない趣味でゴルフ場やレストランを経営したりしている人がいる経営したりする人がいる。今の仕事が将来に向けて有望な事業であれば、その仕事をコアビジネスとして1つの事業でシェアを拡大し、他の追随を許さないよう専心しなければならない。 

色んな領域の事業に手を出す企業は、成長しているイメージ無いですね。「選択と集中」を常に大事にしたいです。


18.人的資源の活用で2倍にも3倍にも出来る。人の能力を精一杯に引き出すことが大切

  1つのものを2にも3にも拡大して活用できる経営資源は人的資源である。起業家は人の能力を精一杯引き出す力を持たなければならない。 

ここにもリクルートの人材への価値観がすごく表れているなと感じます。経営資源と言われるお金やモノにはそこまでのポテンシャルは無いですが、人のポテンシャルはかなり大きいということなのでしょう。それを引き出せと。



19.起業家は自分の考えが正しい、というところから出発するが、それを決めるのは顧客である。顧客の声を"常に"聞こう

  起業家は自分の考えは正しいから必ず成功すると言うところから出発するが、それが正しいかどうかを決めるのは顧客である。顧客と常に接して顧客の声を常に聞いていなければ一時的には成功するが長続きしない。 

始まりは「俺が世界を変える」みたいな情熱から始まるが、それは顧客が求めているのか?と。



20.若くなくとも起業で成功する人間はいくらでもいる

  若くなくても起業した小さな成功を収めた人は私の周囲にいくらでもいる。私の秘書をしていたT君とリクルートの役員だったSくんは長年の夢だった手打ち蕎麦屋で成功している。また料理好きで割烹店をオープンし成功している人、私の中高の同級生でピアノバーを10年続けている人もいる。定年後自宅で碁会場をしている人もいる。このような起業家も社会は必要としている。

起業の本は、だいたいスタートアップの本だったりするのですが、スタートアップないしベンチャーというのは起業の中のごく一部で、好きなようにやればいいのではないでしょうか。そして、江副氏はそんな起業家も社会には必要なのだと主張されています。


まとめ

まとめてみると、江副氏が主張する「起業家として重要な要素」には、

人材・事業・社内コミュニケーションの3つの軸があるのかなと感じました。


1.人材については、若くて元気な人間を採用し、最大限に活用する。

2.事業については、まだ存在しない事業で、小資本で始められるもの。

3.社内コミュニケーションは頻繁に行う。自らの思い・理念を話すとともに、社員の思いも熱心に聞く


といった主張が軸になっていると感じました。非経営者による「経営者とはかくあるべし」という本はかなり多く、そしてなぜかよく売れていますが、この江副氏の本のほうが100倍説得力がありますし、実践しようと思えます。

「リクルートのDNA—起業家精神とは何か (角川oneテーマ21) 」新書 – 2007/3/1
江副 浩正 (著)

https://www.amazon.co.jp/リクルートのDNA—起業家精神とは何か-角川oneテーマ21-江副-浩正/dp/4047100870/


そして最近、江副氏に関連した新刊が出たそうです!読みたい。。。

江副浩正」 馬場 マコト (著),‎ 土屋 洋 (著)
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以上です、ありがとうございました!