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ついにGoogleが新たに生成AIプラットフォームを発表!発表内容まとめ

生成AI (Generative AI) は、日本においてもStable DiffusionやMidjourneyの画像生成から始まり、ChatGPTのテキスト生成によってかなり普及してきました。

生成AIの主なプレイヤーはスタートアップ企業のStable Diffusionや、Microsoftが投資するOpenAIです。

しかし、そもそもAIといえばGoogleなので、Googleが生成AIをやらないわけがないので、(おそらく)誰もが待ち望んでいたのではないでしょうか。

実際Googleは出遅れ感が否めませんでしたが、そのぶん、今回の発表はてんこ盛りで良い意味で激ヤバです。

かなり文章量が多いので、興味ある部分の目次をタップして飛んでいくと良いと思います。

Googleさん、要約できるAIをリリースするなら自分のプレスリリースくらいAIで要約しとけ

公式リリース

Googleは以下の4つの記事を公開し、生成AIプラットフォームとしての情報を公開しました。詳しく見たい方はこちらからどうぞ。

「Google Workspaceと開発者のための新時代のAI」

「Google Cloudは、開発者や企業、政府のための生成AIを提供します」

「Google Workspaceにおける生成AIの体験を新たに発表」

「最もオープンで最もイノベーティブなAIエコシステムの構築について」


全てのリリースのざっくり要約

情報量が多く、さらに複数記事に散らばってしまっているので、
まずは全てまとめて紹介します。5つにトピックを分けました。

  1. Googleプロダクト(Workspace)へのGenerative AI搭載発表。Gmail, Google Docs / Sheets / Slides / Chat / Meet。Gmailでは文章生成、Docsでは文章の生成および要約など。

  2. 大規模言語モデル(LLM)のテキスト生成やチャット生成をCUI / GUIで触りながらパラメータ調整やファインチューニングを試せるプロダクト(PaLM API と MakerSuite )を発表。OpenAIのPlayground的なものか(?)

  3. テキスト生成、チャット生成、画像生成の基本モデルを搭載し、その他のモデル(Midjoruneyなど)も自由に追加できるGoogle Cloud製品 Vertex AI の発表。Vertex AIはこれまでも存在したが今回Generative AIに対応する。

  4. 企業が自由に独自のGenerative AIを作れるGenerative AI App Builderの発表。独自のChatGPT的なアプリケーションを作れるようになる。Web APIを叩くだけで使えるようになる模様。

  5. 多くの有力AIスタートアップとの提携を発表。Anthropic, Cohere, Midjourney, AI21 Labs, BendingSpoons, Faraday, Glean, Replit, TabNine. スタートアップ群を一気にまとめてMicrosoftに対抗か(?)

部署としては、Google Cloud PlatformとGoogle Workspaceからの発表という感じですね。とはいえ全社的に生成AIに本気になっているのが伝わります。


それでは、ここからはそれぞれのトピックについて紹介します。

1. Google Workspaceへの生成AI導入

Googleの自社製品へのAI導入です。公式に動画が上がっていたのでどうぞ。

このセクションでの動画は全て公式記事から持っていきています。

Gmail

Gmailでは、

  • 下書きとしての文章生成

  • 文章の要約

  • 文章のリライト

    • 文章をフォーマルな感じに整える

    • 文章を長くする

    • 文章を短くする

    • 文章を箇条書きにする

といった機能が使えるようになります。

最初の文章案を考えてもらったり、自分の文章を整えたりしてくれるのはとても良いですね。

動画のイメージはこちら


Google Docs(ドキュメント)

Google Docsでは、

  • トピックを与えて文章生成

  • 文章の校正(校閲)

  • リライト

動画でのイメージはこちら


Google Sheets(スプレッドシート)

Google Sheetsでは、

  • 自動提案・自動入力(autocomplete)

  • 式の生成

  • 生データを与えると自動で分類・整形

ができるようになります。

Google Slides(スライド)

Google Slidesでは、

  • 画像の生成

  • 動画の生成

  • 音声の生成

ができるようになります。

Google Workspaceについては以上です。

なお、Google WorkspaceのAI機能は、最初は米国の英語版からリリースしていき、その後に他の国・言語に展開していくそうです。

詳細は以下より。


2. PaLM API

PaLM APIとMakerSuiteは基本的に開発者向けのプロダクトです。

PaLM APIは、言語モデルで開発するのに便利なプロダクトで、さまざまなモデルを利用できます。検索や分類に役立つEmbeddingなども。

さらに、PaLM APIの中に MakerSuite という直感的なGUIで触れるツールがあります。MakerSuiteを使えば、パラメータの調整、プロンプトエンジニアリング、モデルの調整ができます。つまり、OpenAIのPlayground的なものでしょう。

AI を試している開発者向けに、PaLM API を導入します。これは、最高の言語モデルの上に構築するための簡単で安全な方法です。 現在、サイズと機能の点で効率的なモデルを利用できるようにしており、他のサイズも近日中に追加する予定です。 この API には、MakerSuite と呼ばれる直感的なツールも付属しています。 (Google翻訳)

PaLM API へのアクセスは、一部の開発者が今日からプライベート プレビューで PaLM API と MakerSuite にアクセスできる、とのことです。

PaLM APIについての詳細は以下の記事からどうぞ。ウェイトリストの登録もこの記事中のリンクからできます。


3. 新たな Vertex AI

Google CloudにはVertex AIというAI開発のためのプラットフォームがあります。

今回、新たにVertex AIにGenerative AI周りのプロダクトが新たに使えるようになります。

テキスト生成、画像生成においてはGoogleの基盤モデルが使えて、今後はそこに動画生成と音声生成が追加される予定です。このGoogleの基盤モデルのテキスト生成(PaLM Bison)には、通常のテキスト生成だけでなく、チャット生成、コード生成のようにユースケースに特化したバージョンも用意されています。

一方でGoogle以外の他社が開発した生成AIモデルも利用できるようになります。画像生成のMidjourneyがその1つです。

Vertex AIでは、生成AIのモデルの発見、プロンプトエンジニアリングの検証、独自データによるファインチューニング、デプロイが出来ます。Playground的にGUIで色々できます。


つまり、良い生成AIプロダクトを作っていくための重要なプロセスがVertex AI上で出来るということですね。

Vertex AIについては以上です。

さらに詳細を知りたい方は下記の記事からどうぞ。ウェイトリストの登録もこの記事中のリンクからできます。


4. 企業向けGenerative AI App Builder

Generative AI App Builderは企業が自社の生成AIツールを作りたい時に役立ちます。

新しいジェネレーティブ AI アプリ ビルダーを発表します。これは、開発者がボット、チャット アプリ、デジタル アシスタント、カスタム検索エンジンなどの生成アプリの作成を開始するための最速の方法であり、必要な技術的専門知識は限られています。(Google翻訳)

開発者は、検索、カスタマーサポート、商品のレコメンド、画像生成など、主要なユースケースに対応した基礎モデルやすぐに使えるテンプレートに直接APIでアクセスできます。

驚くのはここです。回答は、テキスト、音声、メディアで回答させることが出来ます。これはマルチモーダルというやつですね!GPT-4でできるのではないか、と言われているやつです。

社内の情報を与えれば、その中から検索したり画像を生成したりしてくれるような感じでしょうか。良い意味でヤバそうですね。

以上がGenerative AI App Builderです。

さらに詳細は下記の記事でどうぞ。


5. 有力AIスタートアップとの提携

Googleは多くのAIスタートアップ等の企業との提携を発表しました。OpenAIが完全にMicrosoftに取り込まれたので、その他のスタートアップを連携していきたいという感じでしょうか。とはいえ提携するスタートアップはMicrosoft Azureにも技術提供していくことも考えられますが。

提携する企業は以下の通りです。

モデル開発パートナー

  • AI21 Labs: OpenAIのGPTのような言語モデルを開発しています

  • Midjourney: 画像生成モデルを開発しています

  • Osmo: 匂いを検知・分類・解析するモデルを開発しています

テクノロジーパートナー

この企業群は複雑・総合的なソリューションを提供するようなので説明はしません。機械学習周りが多いっぽいですね。

AibleAnyscaleGretelLabelboxSnorkel AIWeights & Biases

アプリケーションパートナー

  • Bending Spoons: アプリの受託開発企業

  • Faraday: ノーコード x AI でマーケティング支援するプロダクト

  • Glean: エンタープライズ向けの社内ドキュメント検索ができるプロダクト

  • Replit: エンジニア向けのオンラインIDE系プラットフォーム。Ghost writerというAIによるコード生成が先日話題になったプロダクト。

  • Tabnine: PCのエディター内で利用できるコード生成AIプロダクト。たしか去年に日本でも話題になった。


以上です。

提携に関しては下記の記事で紹介されてました。



おわりに

Googleは生成AIにおいてリーダーになれるポテンシャルを持ちながら、出遅れていることを指摘されていました。OpenAIを取り込んだMicrosoftが勝者のように見られていました。

しかし、今回の発表でGoogleも生成AIで強いポジションを狙える位置に来たことは明らかです。

生成AIの市場は、おそらく Winner takes all ではないので、どちらが勝つということはなく、少なくともインフラにおいてはMicrosoft, Googleの2強状態が続くのではないでしょうか。個人的には、今回の発表内容を見ると開発者向けだとGoogleのほうが強そうな気がします。

両社は、生成AIが活躍するビジネスアプリケーションの事業を持ちつつ、クラウドのインフラ事業も運営しているので今後も注力していくのは自明です。彼らがAI新時代を引っ張っていってくれるでしょう。(日本勢のLINEも応援したいところ)

また、MicrosoftやGoogleが提供する生成AIプラットフォームを利用して新たなアプリケーションを開発するベンチャー・スタートアップ企業にも期待したいですね。ちなみに私も絶賛開発中です。


以上です。

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