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僕にとってJリーグとは

昨今のJリーグを見て感じること

少し前のJリーグと今のJリーグを比べると、単純にレベルが上がっている印象です。個々の技術が上がっているので、いわゆる穴とよばれる選手が少なくなったと思います。昔だったら「ここの選手はこれが特徴で、あれがあんまり得意じゃないから、こういうところを狙っていけ」みたいなことがあったかもしれませんが、今では少なくなっているのではないでしょうか。ヘディングもできてパスもできるといったような、2つ以上の武器を持っている選手が当たり前になってきたと感じます。

ファン・サポーターの存在

まず、サポーターの皆さんにはとても感謝しています。試合中は、僕ら選手がサポーターの皆さんに感動を与えられているのかは正直わかりません。それでもあとから「あのプレーすごくよかったです!」「感動しました!」と言ってくださることで、自分たちのプレーが誰かにとってひとつの喜びになっていると実感できます。自分が好きではじめたサッカーで自分が満足するのはもちろんですが、それ以上に自分のプレーで他の誰かに感動してもらえたり、喜んでもらえたりすることが何よりも嬉しいです。

サポーターの皆さんの応援には、応援のことば以上にメッセージがあるような気がしています。僕ら選手の調子がよくてノっているときにはノっているときの応援が、うまくいかないときは「もっと頑張れよ!」「もっと走れ!」と鼓舞をしてくれる応援があると思います。その中で応援の歌詞やことばももちろんですが、その時々の応援にこめられたメッセージは僕たち選手に伝わっています。その応援に対して僕はプレーで返答する。僕らとサポーターでちょっとした「会話」をしているように感じます。サポーターの皆さんとはそういったコミュニケーションを試合中にとっているのだと思います。

Jリーグの魅力

どこの国でもそうかもしれませんが、地域に根ざしていることがJリーグの魅力だと思います。僕が今までプレーしてきたクラブはすごく地域に根ざしている印象があります。特にヴァンフォーレ甲府は地域に貢献していると感じます。地域がひとつになれる瞬間がそこにあって、そのためのコンテンツを提供できているのは素晴らしいことだと思います。

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Jリーグに期待すること

広い意味でJリーグが大きくなって、もっと地域に根ざして、芝のグラウンドが増えて、サッカーだけではなくていろんなスポーツができるようになるのが理想です。町にひとつ芝のグラウンドがあって、そこにみんなが集まってスポーツができるようになる。そうすれば身体は健康になるだろうし、子どもたちにとっては頭のリフレッシュになって勉強にもつながる。そのためにはJリーグがもっと大きくなって、日本代表が強くなって…というように地道な積み重ねが必要です。そのひとつひとつをクリアしていってほしいです。

僕にとってJリーグとは

子どもの頃の僕にとってJリーグは憧れやヒーローに近いものでした。「いずれあそこにたどりつきたい」「あそこでプレーしたい」という憧れのかたまりみたいな存在。スタジアムに集まった何万人もの観客にボールを持った自分のプレーを見られていたら、きっと興奮するんだろうなと想像していました。

Jリーガーになって、その憧れに恥じないようにと思えたのはかなり後のことで、実際のところプロになった最初の頃はそこまで余裕がありませんでした。レベル的に厳しいと感じるときもありました。その一方で、自分がいちばんのパフォーマンスを出せるのはサッカーしかないというのはわかっていました。最終的に思ったのは「ここが輝ける場所だから精一杯とことんやりきる」ということです。JリーガーとしてJリーガーらしくいれたかなとは思います。

SHIBUYA CITY FCでプレーしていて思うのは、Jリーグにはみんなのお手本であってほしいということです。子どもの頃、Jリーグは夢として輝いていました。そして今、子どもたちだけではなく、社会人として続けている人たちも、たとえ年下の選手であってもJリーガーに憧れている光景を目にするようになりました。Jリーガーにはその期待に応えつづけてほしいなと思います。それはプレー面でもそうですし、プレー以外の面でもそうです。Jリーグにはいい意味で敷居を低くして多くの人を巻き込んでいってほしいです。



監修・制作:阿部翔平(SHIBUYA CITY FC)

取材・制作・編集:川上皓輝(SHIBUYA CITY FC スタッフ)


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阿部翔平(あべ しょうへい)
1983年12月1日生まれ。神奈川県横浜市出身。主なポジションは左サイドバック。横浜フリューゲルスジュニアユース、市立船橋高校、筑波大学を経て2006年に名古屋グランパスでJリーグデビュー。2009年には日本代表にも招集されると、2010年には左サイドバックの主力として名古屋のJ1優勝に貢献した。ヴァンフォーレ甲府やジェフユナイテッド千葉でもプレーしたのち、2019年に当時東京都2部リーグ所属のTOKYO CITY F.C.(現 SHIBUYA CITY FC)に加入。Jリーグ通算355試合出場4得点。

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