僕たちの酒vol.3
こんにちは。ようやくvol.3の紹介です。それぞれに想いがあると1記事書くのに体力を使いますねw
さて、このvol.3と次のvol.4はH30BYの蔵人によるお酒に変わります!
2018-2019BY(H30BY)は
・矢島 衛
この4人と共に造りを行いました。阿部酒造の今期のテーマは"本当に今の酸の出し方が当蔵の目指す酸味の答えなのか"
でした(笑)長いですね。
当社は酸フォーカスを当てた酒造りを始めて4−5年経ちましたが、酸の出し方はあまり変わっていません。
○REGULUSを始めとした焼酎用白麹菌の利用(★シリーズの一部)
○醪の発酵温度経過による酸の生成(ほとんどがこっち)
この2点にフォーカスを当て、酒を造っていました。
他にも酸の生成方法はあります。
例えば、リンゴ酸たくさん出す酵母を利用したパターン、麹の使用比率を上げたパターン、生酛・山廃仕込みを行うパターンなどなどそれぞれ生まれてくる酸の種類が違います。
これらの方法を実際に試して酒にしてテイスティングをしてみない限りは白麹利用と醪の発酵温度経過の2パターンがうちの目指す酸の生成に近いのかどうかがわからないため、今期そういった酸生成の中でも当社が試したことがないものを試してみました。
それが、“高酒母歩合酒”です。とっても専門的な話なので、難しいことは気にせず飲みたい方はこちらで今日のnoteは終了です。お疲れ様でしたw
続けます。
高酒母歩合とは?
この説明をするにはまずお酒づくりがわからないとついていけない話になります。
上記の図のように日本酒造りにおいては米麹がとっても大事なことがわかるかと思います。(いろんな工程に登場しているので)
麹と水と米を使ってまず作るのが”酒母”です。
酒母の役割は”清酒酵母の培養”です。当社でもだいたい酒の仕込みは900kgくらいのお米を使うことが多いですが、いきなり900kgのお米と麹、水を混ぜて発酵を行おうとすると、清酒酵母たちの数が少ない為、清酒酵母ではない別の酵母が優勢になってしまい、下手をすると腐敗発酵(腐る)してしまう為、段階的に酵母の数を増やしながら大きな仕込みに移管をしていくわけです。
酒母→添→仲→留とだんだん使用する米と米麹と水の量が大きくなっていきます。
それぞれの使用する量のレシピはこんな感じ。
通常の清酒製造のレシピの場合、仕込みで使うお米に対して酒母の割合は5%程度を使います。酒母が完成した時で酒母の酸度は酸度7.0(現代の酒母造り方法)もあります!
だから酒母を舐めるとめちゃくちゃ酸っぱいわけです!
ということは、上記のようなレシピでは5%程度の使用割合であった酒母の割合が高くなるとどうなるでしょうか?
そう、酸度上がります。
ということで、上記の図のように酒のレシピにおいて酒母の割合を極端に増やし、酸度を高めたお酒が”高酒母歩合”(酒母歩合(酒母の割合)が高いという意味)仕込みの僕たちの酒vol.3となるわけです。
今期は速醸酛で仕込総米に対して20%の割合が酒母になっています。
ぜひ、新しい酸味をお楽しみください。個人的にはとても好きなタイプだったので、既存の造りにも応用していこうと思います。
以上僕たちの酒vol.3でした!