僕たちの酒vol.7
2020-2021BY(製造期)が始まりました。
昨季から温めていた企画品がついに発売になります!
昨年のメンバーも製造に関わっているので、このお酒は
昨年のメンバー
と
今季のメンバー
のハイブリット
今季も個性豊かなメンバーが入ってきてくれました。
昨季から2名が卒業。新たに4名が加わり製造がスタートしてます。今季は全員業界未経験からの酒造り。痺れます笑!!
個性豊かなメンバーの紹介は時間が空いた時に。
こちらの僕たちのお酒の詳細を記載します。
<<企画コンセプト>>
このお酒は米作りと生酛造りを両立しようと考え他結果出てきたアイディアです。
しかし、このお酒を造るにあたり酒造りの置かれている背景を理解することでより楽しんでもらえると思うので、まずは背景から記載していきます。
<<この企画を始めようとした背景>>
うちの蔵を知ってくれている方であれば、僕がたくさん発信をしているので理解してくれている方も多いと思いますが、阿部酒造は※1生酛(キモト)という造り方にとっても魅力を感じ、取り憑かれ、とても楽しい酒造りを続けています。(昨年は実に生酛の割合が30%まで増えてきました。)
そして、
・今後もその量を増やしていいきたいということ
・阿部酒造は人員体制とキャッシュ面で体力がついてきたタイミングで米作りを行いたいという想い
この2点がこの企画の原点です。この2つを将来行うこと前提で話を進めます。
生酛とは・・・酒造りにおいて大事な大事なアルコール発酵をしてくれる清酒酵母を培養する工程である"酒母(シュボ)"の種類の一つ。
現在、速醸酛(ソクジョウモト)という簡易的に且つ安全に清酒酵母を培養する酒母が開発され、ほとんどの酒蔵はこの速醸酛を採用し酵母培養を行う。(当社も70%はこの方法)
しかし、近年は昔ながらのやり方である生酛系の酒母を採用している造り手が増えてきてる。理由は様々なのでここでは割愛。
当社が生酛を採用する理由はただ一つで、
造っていて楽しいから
本当にこの理由に尽きます。いろいろ理由を考えているのですがよくわかりません(笑)でも速醸酛にはない何かに惹かれてうちの蔵では生酛に携わるとまた生酛をやりたい、となるのです。
思うに7-10日で完成する速醸酛に比べて日々の変化がたくさんあり、30日と速醸酛の3倍以上長い期間をかけて清酒酵母を培養することで愛着も湧くのだと思います。(名前とかつけたくなります)
生酛についての詳細な説明や難しい話は他の方がたくさん説明しているので省きますが、この楽しい生酛をたくさん行おうと思うと
壁にぶつかります。
製造期が延びること
です。通常当社は10月20日頃に蔵入りを速醸酛を造り12月の頭に新酒を出します。下の図の通り10月20日に※2蔵入りしてもギリギリ米作りと被ってしまいます。ですが、これは許容範囲。米作りもかなり後半なので、このくらいの重なりは、将来人が増えてきた時に米作りと酒造り班で別れることができれば
※2 蔵入り・・・酒造りの開始
では、これが生酛造りとなると、、、
上記の通り、生酛の製造期間がとっても長いので、12月に新酒を出そうとすると、9月末から蔵入りをする必要が出てきます。そうなるとかなりの期間米作りと酒造りが重なってしまう。(柏崎では山側エリアの圃場や晩稲品種は10月20日)
そもそも12月に新酒を出さないという選択肢もあるのですが、12月は大切なお客様である飲食店様や酒屋さんの繁忙期。メーカーとしてはこの時期に物出さないのは機会損失が大きい。それ以上にうちの搾り機がお酒を搾るのに3日かけて搾っている関係上、生産できる量に限りがある中で11月以降に蔵入りをずらすとさらに生産できる数量に限りが出てしまう為、10月20日前後の蔵入りはマスト。
さてどうしたものか。
そこで一つのアイディアがあったので、昨年から国税庁の鑑定官室の酒類指導部門の先生が巡回指導で蔵にきた時に話をしたところ、物理的には可能だと。ただし失敗する可能性があるので一度テストしてみてください、とのこと。
であれば、『僕たちの酒』しかないなと思い今年はテストとして7月に行いました。その方法は
冷凍生酛
伝統的で昔からの酵母培養方法である”生酛”造り
×
現代の技術である冷凍技術
を融合させました。
内容は以下の通り
<<冷凍生酛>>
①生酛の一部を前の造りの終盤に製造(実験年の2020年は7月の新しい醸造期になってから行っています)
②特殊な方法で冷凍保存
③10月入り生酛を解凍。生酛造りを再開
この技術を使うことで、10月に入ってからは③の工程のみを行うのみとなり10月20日の蔵入りでも12月には確実にお酒を出荷することができます。
つまり速醸酛での蔵入りと同じ時期の蔵入りで良いのです。
この技術のおかげで
・米作りと酒造りの被ってしまう時期を最小限に抑えることができる
→米作りを将来行っても、蔵人がやりたい"生酛造り"を行うことができる
・生酛造りばかりやってもしっかり夏場蔵人は休みをとることができる
→やりたいことをやりながら、休みも増やせるという働き方改革につなげることができるわけです。通常であればやりたいこと=生酛造りをたくさん行おうとすればするほど休みが少なくなってしまいます。ですが、技術のおかげで二兎を追うことでできるようになるわけです。
これの技術が確立されれば全量生酛も、、、と考えたり
今の時代、我々の業界は昔に還ることを酒蔵は行うことが多くなってきていますが、最新技術×昔の技術とのハイブリットも今の時代らしい造りで、それはそれで楽しいのかなと感じてます。
テストである2020年は製造数量を実験サイズにしている為新潟県限定での販売です。お酒をテイスティングしてますが、通常の生酛造りと比べて遜色全くないと思います。なので、来年以降も続行したいと思います。
<<お酒の詳細>>
僕たちの酒 vol.7
Alc:15度
内容量:1800ml/720ml
※おりがらみ無濾過生原酒です。
発売日 12月1日
新潟県内の特約店様にて購入可能です。特約店情報はコチラ
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