【圃場別シリーズ】安田鳥越
本日は圃場(ホジョウ)別シリーズ安田鳥越のご紹介。
安田鳥越圃場は阿部酒造から最も近い圃場です。
人の営みと圃場が近い“里”エリアの圃場となります。
“安田鳥越“は安田地域と鳥越地域にまたがる田んぼから原料を作っているため、2つの土地の名前を合併して名付けました。(両方とも住所でいうと”安田”なのですが)
○安田地域
○鳥越地域
僕自身もも子供の頃から見慣れた景色。まさか子供の頃から見ていた景色の田んぼで自分達が造る酒の原料が作られるとはとても感慨深いです。
うちの蔵の発信を見ている方であればもう当たり前の感覚になってきていますが、新潟県は米所と言われますが、正確には“飯米(ハンマイ)どころ”つまり食べるお米をメインで作付けしており、酒造好適米といわゆる酒米の作付けはごくわずか。故に酒を地元の米を使って行おうとした場合は酒米を作っている農家さんを確保することがまず第一歩になります。
飯米と酒米を比べて時(新潟県ver)
○田んぼ1枚あたりの収量:飯米>酒米
○単価 :飯米>酒米
○栽培のしやすさ
飯米
・周りにも作っている農家がたくさんいるためノウハウが集まっている
・代々作ってきているため栽培に慣れている
酒米
飯米を作る農家が多いため、飯米に比べるとノウハウや知見が乏しい
飯米と酒米を比べて時(他県ver)
○田んぼ1枚あたりの収量:飯米>酒米
○単価 :飯米<酒米
○栽培のしやすさ
飯米
酒米の方がエリアによってはノウハウ蓄積がある
新潟と他のエリアの違いです。
どこが違うかわかりますか?
単価です。
新潟県は飯米にブランドがしっかりとあるため、酒米の方が値段が安く他のエリアはその逆です。そうなると他県では酒米への移管が進みやすいのですが、新潟県では新たに酒米を始めるということはあまり見受けられません。
こういう環境下の中でうちの蔵の契約農家さんは米作りをしています。
もう頭が上がりません。
餅は餅屋という考えなので、今は酒造り一本で動いていますが、夏場の需要創出(酒蔵は夏場は酒造りを休みます)や飯米どころで酒米を作る難しさを鑑みてどこかのタイミングで自分達で米作りを行うという選択をするんだろうと思います。
話が長くなりましたが、この安田鳥越は昨年より同じ圃場別シリーズであり新潟県限定の“小清水”を造る矢島衛さんが作付けを手掛けています。
▲安田圃場で撮影した矢島さんとの写真
小清水から10kmも離れている安田鳥越地域の田んぼを管理するのは多大なご苦労があると思いますが、丁寧に米作りをしていただいています。
ちなみにこの地域の山からその昔水道が引かれる前、阿部酒造は竹を使って蔵まで水を引いていたようです。それくらい今でも湧水が多いエリアでもあります。
他の圃場と同じく安田鳥越圃場も少しずつ担い手が減ってきています。
少しずつでもうちの蔵の酒米圃場に変えて耕作放棄地が生まれないよう酒蔵としてできることをやっていこうと思います。
2019ビンテージからのスタートです。今年はあまり俵数が取れず少量の仕込みとなっています。