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クリスマス大作戦。

12月に差し掛かる。

相変わらず私たちは部活動と勉強に明け暮れている。

一年後には受験直前になっている頃。

そろそろ進路も確定させなければならない。


私は依然薬剤師を志していた。

医療系の仕事しか視野にはなく、彼も医学部志望であったため自然な流れであった。

しかし。


「E判定か…。化学が絶望的…。」


進学校であったため模試も高校2年生の段階でたくさん受けさせられていた。


何度テストを受けてもどこの薬学部もE判定。化学に至っては赤点をとっていた。


薬剤師というのはThe化学の分野である。大学でも様々な種類の化学を勉強することになる。


「化学の勉強を今後永遠にするのは絶望的かもしれないな…。」

薬剤師という夢は叶いそうにない、そう感じた冬だった。



さぁ。クリスマスシーズンだ。

12月に入った途端に街に流れる音楽。

今年は本当に大好きな人と過ごせる。

胸が高鳴っていた。


そのとき彼から伝えられた。

「クリスマス、なんとか予定こじ開けられそう!オススメのところあるから連れて行ってもいい⁈」

彼の塾はその時期は冬期講習真っ最中であるはずだが…

「その日だけ夕方に塾終わるんだ。その足で待ち合わせして行こう。」


奇跡としか言いようがない。塾の方々17歳の私たちに配慮ありがとう…!


私は急いでスケジュール帳にその予定を記そうとする。


「うわ、私午後部活あるわ。」

午後の部活と言っても夕方には終わる。しかし、初めての遠出デートである。

オシャレをしたいと思うのが普通であろう。

部活動後でコンディション悪い中ダッシュして彼の元に向かわなければならない。


でもそこはもう本気を出すしかない。

「部活の後、ダッシュで向かうわ。」

彼にそう伝え、クリスマス大作戦が開始となるのだ。


まず。

「…デート用の服ってなんなんだ。」


私たちの学校は私服通学が可能であったため、基本的に学校では私服で過ごしていた。

でもクリスマスである。特別な場面でいつも学校で見られている格好はしたくない。


限られたお小遣いを握りしめて服を探しに行く。


いつも向かうプチプラの洋服屋さんでなんとか服を揃える。

ネックレスなんて買ったりして。

学校終わりに急いで購入したため試着せずに即購入。

スタイルは落ち着いた赤のニットにタイトなスカート。

かなり攻めたコーディネートだ。

その足で彼へのクリスマスプレゼントを買いに行った。


家に帰り服を試しに着てみる。

「え、やらかしてる。」

さすが安い服である。一回着ただけでチャックが破損したのだ。

治そうにも戻らない。私は冷や汗をかく。

お金もそんなに残っていない、クリスマスまであと1週間。


「こんな調子で大丈夫かな…笑」

その後別日に似たようなスカートを購入はできたが、なかなか心配になってきた。


私のクリスマス大作戦は、うまく行くのかな。


そして彼のおすすめのデートプランってなんなのだろう。

今思い返してもこのクリスマスのことは鮮明に思い出せる。

そんな特別な夜になったのである。


私の青春時代。

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