彼のへこんだ顔をみて。
2人で誓い合い、お互いがそれぞれのレベルで勉強に一生懸命取り組んだ。
それと共に看護学部への受験についての詳細を調べていく。
看護学部は「ソフト理系」と呼ばれる分野に当たるよう。
高校二年生の冬の段階では、数学ⅡBの終盤であった。
まぁ現時点で全然授業に追いつけてないし?ここで数学の受験範囲が終わってくれるなら、あと一年でしっかり固めれば間に合うかもしれない。
理系科目も一つならなんとか間に合うかもしれない。
そこで志望校を探していく。
なんとなく自分のプライド的に絶対に国公立大学に行きたかったので、自分の住んでいる場所から通いやすい大学を探した。
「・・・ここだな。」
そこはセンター試験で7割以上を最低でも取らないと学科試験がきついようなところだった。
その時点でのセンター模擬試験の平均点は4-5割。
あと一年でどれだけ伸びるのでしょうか。
ちなみに、彼が受けようとしている医学部さんは
センター試験で8.5割ー9割程度とらないといけないという狭き門。
比べ物になりませんね。
とりあえず私は半分は取れるようになろうと目標をたて、すべての科目と戦っていった。
2月。
期末試験も迫ってきており、私は部活をしながら、毎日塾に自習に行き、たまに彼とも一緒に時間を合わせて駅まで一緒に帰り会話をするようにしていた。
彼は大きな部活の大会を控えており、寒い中部活に励んでいた。
その大会前の練習試合での出来事である・・・。
「美嘉、どうしよう。骨折れたかもしれん。」
練習試合中に足を怪我したようだ。練習試合中はアドレナリンがでていたのかそこまで痛くなかったが、徐々に腫れてきており痛みも強くなってきたと。
大きな大会の前である。大事にいたらないといいが。
そのまま彼は病院に行き、
骨折の診断を受けてしまう。
「ごめん、ちょっとライン控えていい?」
彼はショックを受け、私にラインを控えるよう伝えた。
私は心配でならなかった。でも、彼の気持ちが落ち着いて、私にそばにいてほしいと言ってくるまでは何もしないでおこうと決めた。
次の日、
「おはよー、折れちゃったわーやってもうたーははは」
教室に入ってくるなり作り笑顔で友達にそう話していた。
私は松葉杖を使って登校し、作り笑顔をしているという事実に
心が締め付けられる思いだった。
次の大きな大会には確実に出ることができない。彼は通学を自転車でしていたためそれも困難となる。塾も遠くに通っており体への負担が大きくなるだろう。
彼は私の顔をみて、一瞬素顔を見せた。
作り笑顔が消え、暗い表情となったのだ。そして、
「今日一緒に帰れない?・・・バスになるけど。まぁこの通り部活はできないから・・・勉強して待ってるわ。」
いますぐにでも抱きしめてあげたい気持ちを押し殺して、
その提案に快諾した。