すべてを思い出した日。
今日は彼と4年ぶりの再会の日。
待ち合わせは学校の最寄り駅。
朝一緒に学校に向かう時に待ち合わせしていた場所。
あえて駅のどのあたりで集合とかは連絡しなかった。
お互いの待ち合わせ場所が一致しているはずだったから。
予想通りお互い同じ場所に集合する。
目を合わせるとお互い爆笑。
「なんで俺ら同じ場所にちゃんとこれたんだろ笑」
久々に見る彼の姿。SNSとかでたまに見ていたけど、なんとなく大人っぽくなったのかな。という感じ。
彼は今医学部5年生で実習真っ最中のはず。
ランチのお店に歩いて向かう中彼は実習の話をしてくれた。
それが同じ医療従事者として共感しかなくって。
同じ医療の道に進んでいるんだなって実感した。
2人でその通学路を一緒に歩いた。
私は卒業後も時々遊びに来ていたけど、彼は何年振りかの道だったようで、
「あーーーやべぇ懐かしすぎる!!」
と興奮しながら歩いていた。
私はこの四年間、この道を歩くたびに彼を思い出していたのが事実。
だから横に居て一緒に歩けるのが幸せすぎた。
スポットスポットに共通の思い出があって。
私がそのエピソードを話すとかれも覚えててくれていて。
「ここで私告白した気がする。」
夜は暗闇になるあの場所。私が意を決して告白した場所。
「あーーーーそうやったな。ここだ。」
覚えててくれているのが本当にうれしかった。
そして二人で付き合った日に行った懐かしのオムライス屋さんに向かった。
私はここでオムライスを食べながら彼にどうやって告白しようか考えていたなと思い巡った。
その後彼と高校に行った。
思い出しかなかった。
先生たちに会えるだけ会い、「お前らカップルやったよな?」と言われる始末。
そして私たちが付き合うきっかけになった高校2年生のあの教室のあの席。
その座席をお互いがちゃんと覚えていて。
そこに座り彼が話した。
「4年前・・・辛い思いさせてごめんね?美嘉ずっと別れたくないって言うてたのに・・・。」
そんなこと言われたら気持ちが復活しそう。やめてほしい。
ちなみにこの時点で私も彼も恋人が居なかった。
大学一年生のときに付き合っていた彼女さんとは就職したら地元に帰る予定ということを伝え別れたばっかりらしい。
また遠距離を理由に別れ話だしたのかよ・・・。私と同じじゃん・・・。
悪い男だ。
そのまま高校をあとにし、通学路の中で思い出のある場所をめぐり。
懐かしい公園に入った。
いつも座っていた場所に座り込む。
思い出話で話が一生膨らむ。
空白の四年間を二人で一生懸命埋めようとしたのだ。
自然とだんだん彼への気持ちが膨らんでいった。
「今年の春にね、部活でめっちゃつらいことがあって。そのとき無性に誰かに話を聞いてもらいたくて。その時に美嘉のことよぎったんだよなー、不思議と。」
「お互い気使ってラインしてなかったんだよね。」
「・・・久々に会って声とかは変わってないけど、やっぱり綺麗になったよ、美嘉。」
やめて・・・好きになっちゃうから・・・。
私は今日会う前から決めていた。なにがあろうと彼と付き合うとか、恋愛に再発展はしないようにしようと。
なぜかって。
少なくともあと1年半は彼はまだ大学生だし、遠距離になるし。
私も23歳。そろそろちゃんとパートナーを探さないといけない。
しかも看護師になって分かった。医師と付き合うって大変だって。
しかも研修医と付き合うなんて。プライベートがないようなもんだ。
元々好き同士で別れているから復縁も全然アリって思っちゃうけど。
ここは流されないで現実を見て自我を持たないといけない。
「ありがとう。」
彼にはそれだけ伝え、その場をやり過ごした。
その日一緒に夜ご飯まで食べて、お酒まで飲んでお別れをした。
帰路ですぐにLINEが来た。
「美嘉のこと好きになったわ。」
そんな冗談交じりのラインを送ってくる。
それにいちいちキュンキュンしちゃう自分がいた。
実際私はこの4年間心の片隅で想っていた。忘れられていなかった。
だから今日ぐらいはこのキュンキュンを、昔感じていたキュンキュンを感じてもいいのかな。
これが私たちの青春時代の本当の最後だった。
――――現在 2023年
それを機に彼とは全く会っていない。
その夏に彼は彼女を作った様子で今でもその方と円満に続いている。
連絡も彼に国試頑張れと送り、国試受かったよと報告を受けたからは取っていない。
今現在私も結婚目前の彼がいる。
あの青春時代があったからこそ、彼が私のそばにいてくれたからこそ、
今の私の恋愛観があったり。そもそも看護師として働くことができていると思う。
楽しくてキュンキュンして、苦しくて、切なくて。
そんな色んな感情をたくさん学ばせてくれた彼に感謝しかない。
たぶんあの頃の彼は一生私の中で「一番恋をした相手、一番追いかけた相手」というもので残り続けるだろう。
私のこれから結婚する相手は「一番愛した相手、一番追いかけてもらった相手」であるから。
さよなら、私の青春時代!!!!