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半年あなたを思い続けて。

4月下旬

「今日部活の後時間ある?」

4月下旬の土曜日の朝にLINEが入る。

今日は私たちの付き合って半年の記念日である。




私はある日SNSである投稿を見ていた。
「高校生から付き合って長続きするのはほんの一握り。」


内心そんなことわかっている。所詮子供の恋愛である。


でも、彼は違った。今までしてきた恋愛と比べ物にならない。

「子供の恋愛」

と一括りされたくなかった。


どうにかして今後長く一緒に居たい。そう思える人だった。

そんな人と今日半年記念だ。




部活を終え、急いで彼の元に行く。


4月に入って一緒に駅までの道を歩くのは初めて。お互い本当に忙しくなり、必然的に勉強時間が増えてまい、また引退試合目前となり部活も忙しくなった。


「やっと二人の時間つくれたなー。最近どう?」

「クラス離れちゃってやっぱり寂しい。」

「そうだな。」



実際に全く会わない日もあり、LINEの頻度も減っていた。


私の今までの恋愛の終盤は、やはり連絡の頻度が減ってしまっていたのが自然の流れであった。


その流れでSNSのあの投稿である。

不安で仕方なかった。彼は私に対していまどう思っているんだろう。


いつもの広場にやってきて、ベンチに座る。

遠くを見つめながら私は話し始める。


「まず、半年間、たくさん私に気を使ってくれたり、助けたりしてくれてありがとう。」


彼は優しい顔でこちらを見つめる。

「最近忙しくてちゃんと伝えれてなかったなって。私はずっと大好きだから。勉強とか部活とか、つらくなったら絶対あなたのこと自然と思い出してる。会いたいなって。」


彼はどう思っているのか。一番不安だった言葉を口に出す。


「私・・・ずっとあなたと一緒に居たいの。でも、それって難しいのかな。大学生になって大人になって・・・。一緒に居れなくなっちゃう?」


私の目には涙が浮かんでいた。

将来を想像した。お互いどこの大学に行くかはわからないが、確実に同じ進路になることはない。
お互い別のコミュニティができるだろう。

そんな中、若く幼い私たちは一緒に居ることができるのか。

高校生ながら、深く考えれば考えるほど不可能に近いのではないかと感じた。



彼は私を優しく抱きしめた。


「俺もちゃんと同じ気持ちだから。大丈夫。美嘉がそう望むならずっと一緒に居れるようにするから。」



彼はそこで自分の考えている進路について語り始めた。

「俺さ・・・。ここの医学部受けようと思ってるねん。」

スマホの画面に映っていたのは、私たちが住んでいる関西から遠く離れた場所の大学であった。遠距離恋愛確定であった。

これで一緒に居れるようにというのは彼にどういう意図があったのであろうか。


「実際最近、美嘉と全然会えてなくて、連絡もとれてなったやん?俺も美嘉と一緒でふとした時に思い出してたし、会いたいって思ってた。
俺らってさ。会わない間でもこんだけ思いあうことできてるんだよ。」


その言葉にハッとした。


ずっと隣に居ることだけが「一緒に居る」ということではなくて、ずっとお互いに想い合うことも「一緒に居る」ということになるのではないかと。


私は最近不安に思っていたことが一気に解決したように感じた。


「・・・安心してくれた?」


彼の言葉にうなずく。彼の言葉を信じるしかないとその時は思った。


もちろん隣に一緒に居れることが一番望ましいけど、それは私たちには不可能。だからそれ以上に相手を信じて思い続けていこうと決意した。



ここからお互い引退試合まで一か月を切り、気持ち的にもピリピリする期間が続く。

そういう時にもお互いをお互いに応援し、想い合えるようにしようね、と二人で約束し、その日は解散した。




私の青春時代。


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