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卒業式と号泣した日。


3月1日。私たちの学校の卒業式であった。

中高一貫で6年間を共に過ごした皆とのお別れ。

もちろん彼とも。


私はその日赤色と緑色の袴を着て学校に向かった。

教室に到着するとみんなが写真を撮り合っている。

そこの輪に私も入りたくさん写真を撮った。

ガラガラガラ・・・・

扉が開く音がして振り向くと彼の姿が。

彼は男子としては珍しい、きちんとした袴を着ていた。

「美嘉。写真撮ろうか。」

写真を撮るためにわざわざ隣のクラスに着てくれたのだ。

ちゃんと顔を合わせるのは12月ぶり。
涙目になりながら私はうなずく。

友達たちもその姿の私を見て「よかったね」と声をかけてくれ、写真を撮ってくれた。


しかしなんとなくお互い表情も硬く、緊張しているような写りであった。
久しぶりすぎて距離感がわからなくなっていたようだった。


そのまま卒業式を終え、卒業パーティーへ。

私はドレスに着替えて、彼もスーツに着替えていた。

美味しい物をみんなで食べて、談話して、写真の撮り合いをまた行っていた。

今度は私から彼に声をかけた。

「写真撮ろ!」

彼はうなずくが、少し私と距離をとっているような気がした。
皆がいるから恥ずかしいのか・・・?

少し不安になったが、それ以上その日は話すこともなく終えたのだ。



3月3日。

卒業式から二日後。彼からラインが入る。

「美嘉、今電話できる?」

電話のお誘いなんていつぶりだろうか。

「もしもし、美嘉。ちゃんと話すのひさしぶりだな。」

「うん。どうしたの。」

この時彼の口調から言われることがなんとなく勘づいたのだ。


え。これもしかして。終わりの電話ですか。?


「・・・俺らさ、今後のこと考えて別れた方がいいと思うねん。」

私はその言葉になにも声が出なかった。

「俺、美嘉が第一志望の国公立に合格してたら浪人してでもそこ行こうかなって思ってたけど・・・。あんまり自信ないって友達に言うてるの聞こえてさ」

「センター試験が絶望的やったから・・・たぶんあかんかったと思う・・・。」

「美嘉の受けた私立に行くっていう選択肢はないし・・・。俺第一志望でいってたところ落ちたんよ。だから後期試験で○〇大学受けたんよ。俺のセンター試験の成績と後期の偏差値のレベルで行ける大学がここしかなかったんだ。ここ落ちたら浪人するつもり。」

○〇とは以前彼が言っていた第一志望の学校と真逆の方角の端であった。
=私たちが住んでるエリアからはかなり遠い場所であった。


「美嘉前言ってたやん。遠距離無理って。なんとかしようと思ったけど、やっぱり現実的じゃないって思った。浪人したとしても、美嘉は大学1年生で楽しい時期やのに俺は一緒に居れることできないからさ・・・。」

私は涙をボロボロ流しながら話をきいた。

「いつか・・・・。俺ら同じ職種やし、またどっかで出会えたら運命ってことやと思うねん。だから、今は別れてほしい。」

私は泣きすぎてしゃっくりが出始めた。

「・・・っ。そうよな・・・。現実的じゃないもんな・・・・。」

「ごめん、美嘉。」

「・・・別れたくない・・・・この電話で終わりにしたくない・・・。」

そのあと会う約束をとりつけ、涙を拭いてパンパンの目で彼の元へ向かった。

思い出の公園に入り、ドリンクを飲みながらもう一度話す。

「美嘉、ごめんないっぱい泣かせちゃって。」

「ううん。」

「これはな、悲しいお別れじゃないんだよ。お互い好きな状態で別れるんだから。」

「うん。」

「俺、受験の間、辛い時絶対美嘉のこと思い出してた。連絡とりたかったけど、そこはちゃんとけじめつけて、連絡とらないようにしてた。美嘉もだよな?」

「うん。」

「この一年半くらい、美嘉っていう彼女がいて本当に精神的に救われてた。大好きだった。今も大好きだから、すげぇ辛いけど。これが俺らにとって一番いい選択なんだと思う。」

改めて面と向かって言われて公園で号泣してしまった。

私のことを抱きしめて彼は続ける。

「いっぱい受験のせいで寂しい思いさせてきたと思う。でも俺とこれからも一緒に居たらそれ以上に寂しい思いさせると思う。だから・・・。美嘉に幸せになってほしいから。・・・。」

彼もその言葉を言って涙を流し始めた。

私が続ける。

「うん、もう、ね。仕方ないと思う。でも、私たち絶対またどこかで会えると思うよ。同じ業種だし。その時お互いがどんな生活してるか想像つかないけど。もしその時お互いに相手がいなかった・・・ね?また、ね?」

彼はうなずく。


そのあと軽くカフェにいって、たくさんバイバイして。お互いの家に帰った。


私は家に着くなり布団にくるまってたくさん泣いた。

それを心配し、母が私の部屋に来る。

「今日、焼き肉行こうってお父さん言うてるけど。行けそう?」

家族からの最大の励ましだったと今思えばわかる。

私は食欲はなかったが家族について焼肉に行った。




私の最大の青春時代はここで終了した。


私の青春時代。

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