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大阪の街並みは油断している

大阪の街並みの良さは歴史と生活感と近代的ビルディングがごった煮になっている点にあると思う。

写真は淀屋橋から京橋方向を向いて撮った写真だが、煉瓦造りの大阪市の中央公会堂の川向かいには屋台かと見まごうふぐ屋が軒を構え、その奥には脈々と立ち並ぶ近代ビル群が。大阪の街を歩くと至る所で、歴戦の覇者とも言える建物と、人々が油断できる夜の場所と、規律正しく経済を回す現代の城が肩を並べて建ち並ぶ様子が渾然一体となって飛び込んでくる。

東京は空襲で街が焼けてしまったからか、都市の機能が分化してしまい、街の景色は、歴史のある場所、人々が遊興にふける場所、そしてホワイトカラーが幅を効かせる場所といった区分がしっかりと分けられていて、それぞれの場所で襟を正す(乱す)必要があり、なんだか興が削がれる思いがする。

その点、大阪は面白い。街の姿がごった煮であるからだろうか、お酒を飲む場でも老若男女の垣根を越えて、わあわあ言いながら杯を傾ける様は同じ空間にいてとても微笑ましい。西の方らのコミュニケーションの距離の取り方の絶妙さは、大げさに言うと街に鍛えられているのではないか気づかされる。

様々な年代、役割、立場を吸収し、それを楽しく笑い合う大らかさが大阪の魅力だと思う。そしてそれを体現する大阪の街並みはとても良い意味で油断していて、外から来た私なんかも迎え入れる隙間をどこか内包している気がする。

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