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フィルム写真が語る曇天のロンドン
My film journey -あの旅を綴る-, 2nd roll 第三話
25年前のネガフィルムをデジタル化しながら写真を見返すと、旅の記憶が鮮やかによみがえる。
「あの時、何を思って撮ったのだろうか」「これはどこだったか?」と、思わず独り言が漏れる。Lightroomを使って構図を少し整えたり、水平を調整したりしているうちに、1999年にRicoh R1sで撮影した旅の瞬間が現代の技術で新たな命を吹き込まれるように鮮明になるのだ。
写真や絵画は時とともに劣化する運命にある。フィルム写真も例外ではなく、経年劣化によって色が褪せたり、傷が入ったりすることがある。しかし、修復技術の進歩によって、失われかけた記憶を取り戻せるのは幸運だ。
もちろん、「ありのままの状態を残す」という選択も尊い。だが、私は可能な限り修復を施し、当時の色や記憶をよみがえらせることに価値を見出している。それは、あの瞬間に込められた想いや風景を子どもたちや妻、そして機会があれば友人にも伝えたいからだ。
今回修復した3枚の写真は、テムズ川沿いを歩きながら撮影したものだ。
ビッグベンからウェストミンスター寺院、大聖堂、バッキンガム宮殿へと続く散歩コース。曇天の空の下、ロンドン特有の小雨に打たれながらシャッターを切った記憶が鮮明によみがえる。1999年3月当時、ロンドン・アイはまだ工事中で、テート・ブリテンは存在していなかった。だが、今ではテムズ川沿いに数多くの魅力的なスポットが点在し、散歩や観光が一層楽しくなっていることだろう。
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ロンドンに降り立った当時の私は、旅の興奮と、これから約1か月もの間ヨーロッパを巡るという期待と不安を胸に抱えていた。友人と黙々と歩き続けながらも、初めて目にする街並みや景色に圧倒され、慣れない環境に緊張していたのだろう。それでも、友人の存在は心強く、若き日の旅をより鮮やかで力強い思い出にしてくれた。
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曇天のロンドンで切り取った写真たちは、そんな瞬間を今でも静かに呼び起こし、語りかけてくれる。当時の空気感や心の動きが、写真を通じて鮮明によみがえるのだ。
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これらのフィルム写真が、今になってこんなにも貴重な宝物になるなんて、当時の私は全く思いもしなかった。写真は、過去と未来をつなぐ素敵なアイテムだと、改めて感じる。
All photos of my journey were taken by abeken with Ricoh R1s.
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