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乗り物と建物、時を超えるフォルムの魅力
My film journey -あの旅を綴る-, 2nd roll 第十一話
旅先で写真を撮る際、私は乗り物を被写体にするのが好きだ。実を言うと、乗るよりも撮る方が好きである。乗り物に乗っていると、景色を楽しむよりも本を読んだり、つい眠ってしまうことが多いからかもしれない。とはいえ、「撮り鉄」というほど専門的ではなく、旅先で乗り物が目に入ったら、そこにある風景とともに撮影する程度のものである。
写真に写る乗り物は、その土地や時代を象徴する存在であることが多い。当時は何気なく撮った一枚でも、年月を経て見返すと、そのデザインや背景にさまざまな発見があるものだ。最新のデザインだと思われていた車両が、時の流れとともに古めかしく見えることもあれば、逆に、いつまでも「永遠のフォルム」と称えたくなるような洗練されたデザインもある。一見シンプルに見える「乗り物」というテーマにも、時間の経過とともに広がる豊かな物語が詰まっている。
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この感覚は、建物にも通じるものがある。ヨーロッパの街並みには石造りの建物が多く、何世紀も前に建てられた建築物が今もなおその輝きを放っている。内部は現代的に改装され、快適な空間が整備されているのだろうが、外観の持つ重厚感や歴史の風格は、他に代えがたい魅力だ。一方で、日本の建物は地震などの自然災害への備えから、定期的に取り壊され、新しい建物へと更新されることが一般的である。経済的には合理的かもしれないが、老舗の建物や思い出深い宿舎が消えていく光景には、どこか寂しさを感じずにはいられない。
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だからこそ、その時代や場所を写真として残しておくことは、大切なものをつなぎ留める行為のように思える。最近、アムステルダムでのフォトウォークで撮影した写真を見返しながら、そんなことを考えていた。あの街は26年前と今とでどれほど変わったのだろうか。変わらずに残っているものもあれば、新たに生まれた風景もあるだろう。そのすべてが、写真を通じて語りかけてくれる。
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写真は、その瞬間に発信することで鮮度を楽しむこともできる。しかし、数年、あるいは数十年を経て見返すことで、新たな価値が生まれる。「記録」としてだけでなく、「熟成」させることで深みを持つ物語となる。そんな写真の魅力を、私はこれからも大切にしていきたいと思う。
All photos of my journey were taken by abeken with Ricoh R1s.
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