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ハイデルベルク、絵本の世界と自分の陰
My Film Journey -あの旅を綴る- 1st roll. 第三話
フランクフルトでの初日を終えた翌朝、私は南ドイツを目指し、最初の目的地であるハイデルベルクへ向かった。中世の面影を色濃く残すこの街は、ありきたりな表現かもしれないが、本当に絵本から抜け出してきたような美しさだった。ネッカー川沿いを歩き、その穏やかな雰囲気に心が解きほぐされていく。狭い石畳の路地を進むたびに、絵画のような風景が次々と目の前に広がり、自然とシャッターを切る手が止まらない。
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ハイデルベルクは学生の街として知られ、ドイツ最古の大学であるハイデルベルク大学がその中心にある。そのアカデミックな空気感に触れると、自分の大学生活を振り返らずにはいられなかった。アルバイトに明け暮れていた日々よりも、もっとその時しかできない勉強や読書、趣味に時間を費やせば良かった――そんな思いが心をよぎる。地元仙台で最先端の研究を行う大学に入学したものの、希望の学部ではなかったため、学びへの意欲をなかなか持てなかった。だからこそ、授業に真剣に向き合い、知見を深める努力を怠った自分を、今さらながら悔しく思う。
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それでも、一般教養で履修した文学部の「行動科学特論」の授業は特に心に残っている。人の行動が環境や内面の意識によって変わることを学び、当時の自分が置かれていた状況を客観的に考える機会を得た。しかし、毎回の手書きレポートは大変で、途中で単位を諦めようかとも思った。それでも、あの経験こそが自分に新しい視点を与え、今の自分の土台を築いたと思える。
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赤い石造りのハイデルベルク城は、街全体を見下ろすようにそびえ立ち、その堂々たる姿に圧倒された。かつて雷で天井が焼け落ちたと言われるこの城は、補修を受けつつも、天井がないままの姿で威厳を保っている。まるで「ありのままの姿」であることを誇っているように見えた。そう、年齢を重ね老いを感じる今、私ももっと自分に自信を持ち、ありのままで堂々としていたい。どんよりした曇り空の下、少し肌寒さを感じながらも、この静かな街で流れるゆっくりとした時間を満喫した。
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大学生活の中で、何をしていいか分からず、ただなんとなく過ごしていたあの頃。けれど、このハイデルベルクでの経験が、私にとって大きな転機となったのかもしれない。旅という楽しみを見つけ、人生に対する視点が少しずつ変わり始めた。この日から、旅は私の人生に欠かせないものとなっていった。
専門とは全く異なる「行動科学特論」での学びの中で、特に心に響いたのは、「行動を変える」ための具体的な意識と実践の重要性だった。それを通じて、自ら一歩踏み出すことの大切さを理解した。そして、その気づきが私を旅という新たな世界へと導いてくれた。ハイデルベルクの街並みを歩きながら、学んだ理論が自分の行動や選択にどれほど影響を与えたかを改めて実感したのだ。
All photos of my journey were taken by abeken with Ricoh R1s.
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